📖洗顔の手に、アメーバーはいないか？

　モーニング・ルーチンは、やっと歯みがきが終わったところから始まる。

　これから顔を洗うのだ。しかし、歯みがきで洗面台に散った水滴が気になる。何気なく、手で拭った。

　拭った後、ふと、「アメーバーは洗面台の周りにも生息している。」と何かで読んだのを思い出し、急に手のひらに何百匹ものアメーバーが蠢いているイメージが湧いてしまった。なんで、近くに置いてあるティッシュとか、布巾で拭かなかったのだろう？後悔しても遅い。このまま、アメーバー蠢く手で顔は洗えない。

　また、アメーバーつながりで、以前ニュースにもなった脳を食べるアメーバー（フォーラーネグレリア）のことも思い出してしまった。

　私は基本的に記憶力が弱いのだが、このように思い出したくないことを、急に思い出すことがある。

　ありがたいことに、フォーラーネグレリアは塩素などを含んでいない暖かいプールや池などに生息するらしいことも思い出せた。つまり、家の洗面所まわりにはまずいないはずなのだ。

　脳を食い荒らすアメーバーのイメージがあまりに強烈で、「怖ろしさと気持ち悪さ」が「冷静な論理的判断」を阻んでしまった。

　いそいで、コロナ禍で準備してある７５％アルコールで除菌した。

　そうだ、まだ顔を洗っていなかった。

　綺麗になった手のひらに固形石鹸をなすりつけ、顔を洗おうとしたとき、今度は、この固形石鹸が信用できなくなってしまった。

　この石鹸の表面は本当に信用できるのだろうか？私が使う前に家の者が、外から帰ってきた手を洗ったのではないか？だとしたら、いろいろなばい菌や、あろうことかCOVID-19まで表面についているのではないかと、急に不安がこみ上げ、固形石鹸以外を探す羽目になった。

　しかし、残念なことに液体洗剤などは我が家にはなかった。私は、分からないことはネットで調べる習性がある。本当に、固形石鹸の表面は安全か危険か調べてみた。

　どうも、界面活性剤が入っていれば、COVID-19であっても、洗い流してくれるらしい。固形石鹸も界面活性剤を含んでいるので、大丈夫らしい。

　「ああよかった！」と思ってその先の説明を読んでみると、但し書きが書いてあった。小さくなった固形石鹸では、泡立ち成分が水に溶け出し、洗い流す効果がかなり減少しているらしい。洗面台に置いてある石鹸はと見ると、・・・案の定小さくなって、泡立ちも悪い。使う前に表面をよく洗い流せば、ばい菌やCOVID-19も除菌できるらしいが、「小さくなった石鹸には除菌効果がない」と一回頭にインプットされると、柔軟性のなくなった脳からは削除しにくいのだ。　

　仕方がない。その石鹸で顔を洗う覚悟を決めた。次のミッションは、しっかり泡を立てることだ。ここで、テレビで美容研究家が「泡をしっかり立ててから洗顔しましょう。」と言っていたのを思い出した。

　早速、Youtubeで検索し、その奥義をゲットした。「最初に手を洗い、手の油を洗い流す。人差し指、中指、薬指の3本を泡だて器のように回転させて、空気を混ぜ込み、泡立てる。」

　なるほど、石鹸を泡立てるだけでもプロは違う！と感動した。学習したので、次は実践だ。
　だが、現実は厳しい。石鹸からかなり泡立ち成分が抜けていたらしく、プロの技をもってしても、そこそこの泡立ちだ。

　私は、根は神経質なのかもしれないが、諦めはいいほうだ。そこそこの、泡立ちで、まあいいやと顔を洗うことにした。

　まだ、モーニングルーチンは終わっていないが、また紙面が尽きてしまった（ことにする）。

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