📖朝起きると、杖でカーテンを開ける

朝起きてまずすることは、杖でカーテンを開けること。

　人間の体内時計は1日が25時間なので、朝の太陽の光でリセットして、1日24時間に帳尻を合わせるのだ。リセットするには2500ルクス以上あればいいらしいので、曇りでも大丈夫らしい。

　杖でカーテンを開けるのは、無精からではない。加齢から来る足の病で、このような残念なことになっている。杖の先でカーテンに触るのは、はばかられるので、杖の柄の方でカーテンを引っ掛けて開けている。

　私としては、ずいぶん気の利いたことをしていると思っていたのだが、家人からは、「手を消毒しなさいよね。」ということになる。「アー確かに。」と気付く。私の気の利いたことというのは、この程度なのだ。

　私が今やっていることは、TwitterとNoteとMy blogと、食事作りである。ずいぶんなご身分だという意見もあるだろうが、そこはなかなか肩身が狭い。

　そのように居心地が悪かろうが、歯みがきくらいはする。このご身分になってから、歯みがきには時間をかける。以前は歯ブラシを水に浸してから、歯磨きペーストを絞り出していたが、朝のテレビで、歯科医が「歯みがきペーストの効果を薄めてはいけないので水はつけないほうがいい。」などと言うのを観てしまったせいで、乾燥したブラシにペーストを少し多めに乗っけてから、歯を磨いている。

　私は、このような専門家の意見に弱いのである。しかも、理に適っているような雰囲気が漂っていると、完全に信じてしまう。

　今度は、歯を磨く作業だ。以前は前面の歯は歯ブラシを上下に動かしていただけだったが、歯ブラシのCMで、「斜め45°の角度で左右に磨くと、歯垢をかき出すことができる。」というのをたまたま観てしまったので、その通りにしている。そのようなそれっぽい意見に従っていると、10分近くは歯を磨くことになる。

　1ヶ月ほど前までは、この後、何も考えずに口をゆすいで、洗顔に移れたのだが、また、家人が毎朝観ているテレビ番組の歯科医のアドバイスが耳から侵入してきたのだ。
（いったい、世の中にはどれほど多くの歯科医がいるのだろうか？）
その歯科医は口をゆすぐのは歯磨きペーストの効果が薄まらないように、1回でいいと言うのだ。「？！」

　いくら理に適っている雰囲気があるからと言って、これは承知しかねる。だいいち気持ちが悪い。その上、「歯みがきペーストが世に出てから、その安全性をきっちり科学的に証明した論文はあるのか？」とテレビに向かって突っ込みたくもなる。

　さすがに、１回のゆすぎは却下したのだが、今度は、本当に歯磨きペーストは口の中に残留していないのだろうか、ということが逆に心配になって来た。

　そこで、１回目のゆすぎはペーストがかなり残っているので、１０分の１に希釈したと考えよう。２回目以降は１００分の１ずつになるとして、１０００分の１、１０万分の１、１０００万分の１。４回目のゆすぎで１０００万分の１になる計算だ。このくらいの残留量だったら安心できそうなので、そこで諦めることにした。これで、１カ月以上、心安らかな日々を送れたのだ。

　しかし、近頃ネタ探しにネットで調べ物をしていたとき、たまたま「環境ホルモン」の論文を見つけてしまったのだ。この環境ホルモンって奴は、「タンク車６６０台分のトニックにジンを１滴たらした濃度」で生物のホルモン系に影響を及ぼすらしいのだ。しかも、どの物質が環境ホルモンに当たるかどうかは、まだ研究途中だというではないか。私のゆすぎの回数は６回に増えた。

　朝のルーチンはまだ終わっていないが、紙面が尽きてしまった（ことにする）。

「たまには、エッセイぽい」のが書きたくなったので・・・。

「好き」が多ければ、続編を書く勇気が湧きます。(take_futa)

💛「ECSワークショップ」という会社のような名前の個人ブログを、教育をテーマに、開いています。覗いてみてくださいね。⏬😀