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第2話 ##な人類の結末/

私は、我々の宇宙とは別に存在する所謂パラレルワールドの二ホンという国に存在する「World One研究所」という奇妙なウェブサイトに魅了されていた。

そこには、一定の権限が与えられたもののみがアクセスできるウェブサイトが存在していた。そこでは、アイデアがポストされていて、人類がどうやって発展させていくべきかの仕組み作りが記載してあった。私はこの驚くべきアイデア達を果たして自分たちの国ハポンに使えないかを考えた。腐敗しきり、過去の祖先の努力を踏みにじり、他国の属国にしかなれない、このはポンに。プライドを捨て、夢と誇りを捨て、諦めと惰性に身を任せるこのハポンに・・・。

また、私は、このブログでのコメントを見ていてあることに気が付いた。それは、コメント欄には、一般的な用語を使っている人と、一般的には理解できないような専門用語を使っている人がいるということだ。そしてその専門用語を見ても分からない人についての書き込みを目にすることもあった。

「皆さん、リーグメンバーではない人に専門用語を使ってもわかりません。分かりやすい発言を心がけましょう」

一体、リーグメンバーとはなんだ?

そしてこの専門用語とは一体何なんだ?

そうこうしているうちに、武藤から連絡があった。それは、我々の国ハポンについて、未来を覗くことに成功したというとんでもない連絡だった。ノーベル物理学賞を取る才能を持つ彼なら無理はない。加えて、彼は別の宇宙だってこうやって覗く機会だって作っているんだから、自らの宇宙の未来を除くなどたやすいことだろう。

「いいニュースと悪いニュースがある」と、武藤は言った。

私は、悪いニュースから聞きたいタイプだ。最後に幸せな気持ちで終わりたい。だから常に悪いニュースを先に聞く。いいニュースから聞く人がいるがこれは間違いだ。そして、イチゴを最初に食べる人も間違っている。人生における幸福度は常に右肩あがりじゃなきゃならない。

「悪いニュースは、ハポンの人たちはこのままいくと、ますます貧しくなり、永遠に搾取される国民になってしまうということだ。カウントダウンはもう始まっている。どうやら君はリタイヤまで働いても死ぬまで理想の生活を手に入れることは出来ない。その他99%の国民と同じようにね」

なんてこった。武藤は、私の右肩上がりの人生プランをぶち壊してしまった。私の人生は右肩上がりどころか右肩下がりらしい。

「じゃあ、いいニュースは?但し、飛び切りいいニュースにしてくれよ。俺は靴を脱いで10階のベランダから下を覗きながら君と電話しているところなんだから」

「おいおい、悪い冗談はよせよ。いい知らせは、まだ手を打てるってことだ。2022年12月までに手を打てばたった10人の貢献で何とかなる。しかし、それがだめなら2023年6月には100人、2023年12月であれば1000人の助けが必要になりそうだ」武藤は落ち着いた声で言った。

「つまり、指数関数的に必要な貢献人数は増えていくってことだな。貢献ってどういう意味なんだい?」

「貢献ってのは、つまり、ハポンの為に行動を移すことってことさ」武藤は淡々と答えた。

「俺たちに何が出来るってんだい?」私は言った。

「それは君の仕事だ。私は物理専門なんだから。ただ、君一人では到底できっこない。仲間が増やしておいた。君を訪ねる様に伝えておいた。」

ピンポーンと、ドアのチャイムが鳴った。

私は、ドアを開けて驚愕した。


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