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注文の多い定食屋

先日、不思議な体験をしたので紹介したい。定食屋の女主人は一体なんだったのか?と思う体験である。

仕事柄いつも夕食は21時をすぎてしまい、帰宅してから作るのも面倒な時は、お弁当を購入して自宅で食べることが多い。遠回りをして偶然、自然食を売り物にしている弁当屋さんを見つけた。

実は前日にもその弁当屋を確認したのだが、閉店間際でメニューだけをみせてもらった。玄米を中心としたこだわりの食材で一杯のメニューに心が躍り、次の日にまた訪れたのである。

「すいません、お弁当ではなくてこちらでも食べられますか?」お店は、店舗でも飲みながら食事もできるのである。店の中はカウンター席3席で狭いながらも比較的清潔で、自然食のメニューが壁に沢山貼り付けてある。これは興味深い、値段も手ごろだ。

「もう、メニューもないし、すぐ帰りたいので、しょうが焼ならすぐできるわよ」と言われ、前日も下見に来て飲み物も頼むのでと伝え、イートインスタイルで食べることができた。私は心の中で「やった!」と思い、席についてトウモロコシ焼酎なるものを頼んだ。「麦焼酎のほうがおいしいので」とメニューを変更した。「すいません、閉店間際で大変なのに。」自然食を食べたいので、一人で切り盛りしている女主人を気遣う。

生姜焼き、麦焼酎を頼み、女主人が調理をしている様子を見ている。自然食の話をするかと思ったら、「あなた、バツイチかと思った。旦那さんいるの?」と質問してきた。なんだ、この展開と思いつつ、質問に答えないと生姜焼きを食べられなくなりそうなので、既婚者であることを伝えた。

玄米の話、消費税増税の話をした後「あなた、仕事なにやってるの?」正直仕事が終わった後に仕事の質問は、遠慮してほしいのだが、生姜焼きのために、適当に答える。

「私、介護もしていて介護の専門で講演もするのよ。」「あー凄いですね」と他にも沢山褒めておいた。メニュー等、閉店間際だったので、こちらも気を使いながら、待っていた。

「あなた、料理できないんでしょう。なんで結婚してるのに、一人で食べてるの?」どうも女主人は、私が一人で料理もできないかわいそうなバツイチ女なのか確認したいらしい。そして、「あなた、日本人じゃないでしょう?」と質問してきた。

えっ?先ほどから流暢な日本語を話しているのに、この女主人何を企んでいるのだろうか?いささか疑念が生じてくる。女主人はスナックのママのようにタッパから肉を出して焼き始めた。

私は、当惑しながらも、質問答えるのも面倒になってくるが、女主人は手際よく肉を焼き、他の食材もオープンに入れて、数分で出来上がる感じだった。

自然食品の生姜焼き定食は完成し、見た目は本当に健康的で、孤独のグルメさながら、テンションは上がった。「いただきます!」このために、女主人からの不思議な質問にも答えてきたのだ。

「あれ?」生姜焼き何かが足りない、お味噌汁はお味噌の味がしない、漬物は自家製なのだが、発酵しすぎて妙な味。これは全部食べられない。正直すべてが期待外れだった。これ、他のお客さん何度も食べているのだろうか。

とにかく、さっさと気前よく退散したほうがよさそうだ。生姜焼きとごはん、サラダは比較的おいしかったのでこれだけ食べてお勘定をして帰る。

「今度は旦那さんと来てほしいわ」しきりに「旦那さん」を連発する。こちらも質問したいところだが、本当にこの女主人が離婚バツイチだと地雷を踏みそうなので、そそくさと退散することにした。

食べた気がしなくて、外にでた。秋なのに、じっとりと汗をかいている。あのお店にはたぶん行くことはないだろう。なんとも後味が悪い、1500円も支払っていた。正直コンビニのお弁当のほうが気が楽だ。

素材は確かに自然食なのだが、味や、発酵しすぎた漬物など、味が今一つで正直集客はきついのではないかと思った。逆にスナックのように、女主人と話をしたい人なら別だが。

帰宅後その話を、旦那にその話をすると「面白い。さっさと帰ってくれば」と言って笑っていた。

良くわからないが、不思議な体験だった。




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