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[note12]中学入試の先にあるもの

勤務する中高一貫校でも中学入試、高校入試が終わり、いよいよ新年度の足音が聞こえてきた。来年度の高校1年生は新学習指導要領の下で2025年に新しい大学入試に向き合うことになる。先日、国大協が大学入学共通テストにおいて新科目「情報」をほぼ全ての大学で課すことを発表した。
激動する変化の中で、どのように進路指導をデザインするべきか改めて考えていかなければならない。そんなことを考えている時に目に留まった1つの記事からの抜粋。

「合格おめでとう 次は東大」
「中学入学はそれ自体がゴールなのではありません」
「大学受験の準備は早ければ早いほど有利となります」
「東大合格のための最も確実で合理的な方法を伝授します」

東大合格は現在において学校の評価の大きな指標になっている。もちろん東大だけでなく、国公立〇名、早慶上智〇名、東京理科大〇名、GMARCH〇名…ここ数年で合格者が激増した高校etc週刊誌の見出しで毎年のように目にする記事だ。進路指導部として、大学入試の結果を整理、データを送る。これにより学校は序列化され、生徒募集にも大きな影響が及んでくる。

改めて、上のフレーズ。「次は東大」「大学受験の準備」「確実で合理的な方法」…こうした世界に身を置き、入試結果に恩恵を受けている立場として否定できるものではないけれど、中学入試が終わって、「もう東大を意識するのか」というのが、正直な感想であり、少なからず抱く違和感。
毎年、次年度、中学に入学する保護者を対象にオリエンテーションでお話する機会があって、その時に必ずお伝えしていることが「どんな中学校生活を送りたいか、春休みに生徒さんとフラットな目線で作戦会議をしてみて下さい」というもの。変化する大学入試の話も少しだけするけれど、「大学入試に向けて努力していきましょう」とは言えない…というか、この段階で話すことではないと思っている。

難関大に合格した生徒達、そこに向かって努力を重ねた生徒達に対しては心から敬意を持っている。でも、中学高校の6年間は学習はもちろん、自らの進路や将来について考え、チャレンジする時間でもある。
何のために大学に行くのか、そこが不明確なまま、とにかく受験勉強というスタンスには危うさを感じる。ここから先の人生の決定権は、より生徒自身が持つようになる。そのために可能な限りのサポートができたらいい。でも決めるのは彼ら自身。彼らが学びたいと思う場所、輝きたいと思う場所に向かっていって欲しい。当然だけど、進路指導は「受験指導」だけじゃないよな…これが常に心の中にある。

4月に正門をくぐる生徒達には輝かしい3年間(6年間)を送って欲しいなと心から願っている。

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