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『X』の『物語』の終焉(レッスルマニアXL初日総括)

ザ・ロック=ドウェイン・ジョンソン主演のの最高傑作はレッスルマニアXLである!そう語って過言では無いレッスルマニア初日のメインだった。
もちろんストーンコールドとメインで2回に渡って繰り広げた試合を上回ると迄言う気も無いが、あの試合ではあくまでロック様は助演男優賞的な役割だったし、ハリウッドでの活躍は間違いなくプロレスラーでは№1と思うが例えばジョン・シーナの『ピース・メイカー』の様な圧倒的な代表作が無かったのもまた事実である。プロレスとは本当に面白いジャンルである。キャリアの早い時期にハリウッドに転向したロック様にとっては致命的な怪我を抱える事無く51歳の今こそが最高に円熟した状態だったのである。

今日のメインが組まれた時点でロック様のモノポリーは完成していたのだが、リング上でコスチュームを脱ぎ向かいあった時点でパートナーのローマンを含めてロック様の存在感は圧倒的で既に勝利していたのである。そして結果的にも今日の勝利でレッスルマニア40年の歴史で10年を象徴するスーパースターをレッスルマニアで総なめ(18でホーガン、19でストーンコールド、28でシーナ、そして今回)してしまった。但し今回良かったのはロック様の独り勝ちでは無かった事である。今日メインに出場した4選手は所謂タッグ屋さんのお仕事ではない大物同士によるタッグマッチのメインイベントを成立させた事を誇りに思って良いと思う。

さて若干個人的な話になるが。。。ロイヤルランブル直後に『Ⅹ』の『物語』や『ヴィンスサーガ』を調子よく語ってきた矢先にコロナウィルスに感染し3週間くらい何もできない状況になってしまった(苦笑)。その間ウズウズしていたのだが完治する頃に何とも言えない違和感を感じ始めたのである。もっとハッキリ言えば日に日にレッスルマニアXLに対するワクワク感が薄れてきたのである。それは正直当日の今日になってもウーソズの兄弟対決辺りまで続き乗り切れない自分がいた。その理由は明確である。ヴィンスが排除された世界に『Ⅹ』の『物語』はもう存在しなかったからである。

レッスルマニアXLはトリプルHの『New Era(新時代)』宣言から始まった。
否、正確には前日のHOFセレモニー(ブル様!英語スピーチ最高でした!)でのポール・ヘイマンによるHHHへの賛辞から既に始まっていた。
もちろん私はヴィンスのやり方が正しいと思っている訳ではないしHHHに替わってWWEの風通しが良くなった事は良い事だと感じている。またオカダ・カヅチカがWWEに行くことなく3年20億稼げるオルタナティブ(AEW)が存在した事でベストテクニカルレスラー達は必ずしもWWEで窮屈な思いをする事も無い時代に成りつつある。HHHの短いスピーチを聞いた時『X』の『物語』はもう終わった事なのだと冷静に受け止めたのである。

ところがである!後半3試合が始まると一気にレッスルマニアに引き込まれて行く。まずはジェイド・カーギルである。そしてそれは今回イヨ・スカイ(紫雷イオ)との『X』の『物語』だと睨んでいたが残念ながら期待したリア・リプリーとの対戦ではなかった。直前のSmackDownまで、更には本日の6人タッグでさえも散々勿体ぶって登場したカーギルは。。。2024年版のレックス・ルーガーそのものであった(苦笑)。是非とも明日『四皇』イヨは『バギー』ではなく『ルフィ』である事を証明して貰いたい!

そしてセミのIC戦である!昨年(はまだWWEネットワークだったなぁ)のグンターのIC防衛戦(vsマッキンタイア、シェイマス)を観て私は不覚にも大泣きをしてしまった。ちょっと自分でも気持ち悪いが『かつて熱狂したプロレス(スタイル)がまだ生きていた!』と思わせてくれるド迫力もハードヒットマッチに魂が揺さぶられたのだ。やや脱線するが冒頭の今日のメインの大物タッグ戦も久々に三沢さんや小橋さん世代までがやってきた事を久々に観れて興奮した事に似ている。話を戻すと一方で去年初日のメインでのウーソズvsサミ&KOの試合はあまり乗れない試合だった。これも明確である。サミ・ゼインに感情移入できなかったからに尽きた。。。

フィラデルフィアだから『ロッキー』という安直?なノリもあり、ここまでローマン級に肥えさせたグンターの相手としてサミ・ゼインは到底納得できなかった。更に今日は既にRトゥルースのRAWタッグ王座奪取でそういうノリはもう満足していたので猶更であった。しかしである!一瞬でその考えが変わった。トップロープに登ったグンターにサミのコーナーキック!まるで悪い魔法にかけられて忘れていた何かを思い出す。。。いやでもまさかWWEではあの技は危険なので禁止なのだろうともう何年も前に期待する事を忘れていたエル・ジェネリコ時代の『ブレ~~ンバスター』(雪崩式ブレーンバスターを途中で反転しコーナーポストに脳天を直撃する奇跡の技!)が
遂に解禁された瞬間、私の中で真の意味で『X』の『物語』が終焉した。

Abema実況で武藤さんも少し触れていたが、私にとってDDTでの飯伏vsエル・ジェネリコの2戦は非常に不思議でいて素晴らしい試合として記憶の奥の奥に随分眠っていた。しかし『ブレ~~ンバスター』を封印したWWEのサミ・ゼインはいつしか自分の中で期待感の薄い存在にしばらくなっていた。
ヴィンスへのレジスタンスとしての『Ⅹ』の『物語』を締めくくってくれたのは意外にもそのサミ・ゼインだった。ブレット・ハート(と弟オーエン)やクリス・ベノワ(と盟友エディ・ゲレロ)やダニエル・ブライアン(と同じ舞台には居なかったが同世代のAJ スタイルズ)を継ぐ者として『ブレ~~ンバスター』を解禁したサミ・ゼインは飯伏やケニー・オメガやネビル等の同世代を代表するベストテクニカルレスラーとして納得である。いやむしろこの自由奔放な世代の中で良くここまで何年もあの秘技を封印していた事を考えればサミしかいなかったとも言える。『あまちゃん』で有村架純さん演じた少女時代の天野春子亡霊が成仏したかの如く私の中で何かが気持ちよく昇華していった。。。

さて本日の最後にこの10年の『物語』についても触れておきたい。
レッスルマニア31から始まった10年の主役は『ザ・シールド』と『フォーフォースウーメン』だったと言って間違いないだろう。男女差はあるが90年代の『闘魂三銃士』と『四天王』の関係を彷彿させる。今回のレッスルマニアXLでは共にメンバーが欠けた状態で迎えたが実に対照的だった。
『ザ・シールド』は良い意味で今日のメインタッグ戦でディーン・アンブローズの不在を感じさせなかった。ジョン・モクスリーも独自の活躍が目覚ましい。一方で『フォーフォースウーメン(女子四銃士)』はサーシャ・バンクス(現メルセデス・モネ)の不在が明らかに両女子王座戦から勢いを失わせている。明日のイヨvsベイリーで奇跡の4人勢ぞろいを是非期待したい。

『Ⅹ』の『物語』は本日終焉したがイヨには女子版ベストテクニカルレスラーとして最高の舞台を満喫して欲しい。そして散々煽ってきたコーディだが彼の『物語』は『X』の『物語』では無かったのか?その答えは。。。曖昧だが Yesでもあり、Noでもある。現時点で私なりのコーディ(に期待する私達)の『物語』は実はもうできあがっているのだが、それは明日試合が終わった後で改めてちゃんと整理したい。それにしても何だかんだありましたが

 『やっぱりレッスルマニアは最高である!!』

明日も楽しもう!


















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