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アイドルグループ「RAY」のライブ映像を編集した(2)愛はどこいったの?

この記事は、ライブ映像の動画編集に初めて挑戦した個人的な記録パート2です。
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初めての動画編集に選んだRAYの楽曲は、「愛はどこいったの?」です。使用したソフトなど技術的な部分のメモと、私なりの編集の方法について書きます。

「愛はどこいったの?」について

RAYの「愛はどこいったの?」は、1stワンマンライブに先立つ2020年7月14日、1stアルバム「Pink」発売記念の配信ライブで初披露された曲です(補足1,2)。1stワンマンライブが行われた2020年8月24日の時点では、この曲にはまだ振り付けがついておらず、メンバー4人がステージ上で横並びになって歌唱する、という形でした(3)。

愛はどこいったの_スクショ2

左から内山結愛さん、月日さん、甲斐莉乃さん、白川さやかさん。

私はこの「愛はどこいったの?振り付けなしバージョン」を、できるかぎり4人全員の立ち姿を収めた映像として、誰もが観れる形で記録しておきたいと思い、動画編集しました。完成した編集動画はこちらです。

使用した動画編集ソフト

macOS 10で動作する無料のソフトを使いたかったので、Apple社のFinal Cut Pro X (以下FCPX) のフリートライアル版をインストールしました(4)。フリートライアル版はインストール後90日間、無料で利用できます。

FCPXは直感的に使いやすく、1週間ほどの期間で1本の編集動画を完成させることができました。ウェブ検索すると解説動画がすぐに見つかるのも良い点です。

実際の動画編集は、複数のカメラで同時に撮影した映像(と音源)を同期させて、良きタイミングで映像を切り替えていく、という作業になります。FCPXでは「マルチカムクリップ」を作成してこの作業を行います(5)。FCPXの場合、各カメラデータに含まれる音声データをもとに自動的に同期してくれるので、前準備はとても簡単でした。

どの映像を、どのタイミングで選択するか

自分の手で動画編集に取りかかる前は、漠然と「かっこいい画を順次選んでいく」くらいのイメージしかありませんでした。しかし実際に作業を始めてみると、映像には無限の選択肢があり、どのように編集したらよいか迷ってしまいます。メンバーのこの表情は魅力的だけど、こちらのシーンも捨てがたい...。また、カメラを切り替えるタイミングによって、映像が不自然な印象になってしまうことがあります。

そこで、今回の動画編集では、もともとのコンセプトである「RAYのメンバー4人の立ち姿を記録する」をきちんと実践することしました。つまり、できる限り複数のメンバーが映っているカメラを選び、映像をつないでいきます。

カメラを切り替えるタイミングは、前後の映像に同じ人物が映っているよう調節しました。また、切り替え箇所では「クロスディゾルブ」という効果を使用しています。これは、2つの映像が徐々に切り替わる効果です(6)。映像がゆっくり変化するので、切り替わるときの不自然さを解消できます。

下の例では、甲斐莉乃さんが画面の中央にくるタイミングで映像を切り替えています。同じ人物をとらえつつクロスディゾルブで切り替えると、映像の繋がりが自然になると思います。


1パートだけ、クロスディゾルブを使わなかった部分があります。終盤の最もドラマチックな場面、月日さんの「暗闇の先にあるもの......ただ、触れていたいの」という歌唱部分です。月日さんの感情的な歌声が力強く響く、大好きなパートの一つです。

ライブ映像では、音楽の展開に合わせて照明も変化しています。これを利用し、照明の変化にあわせてカメラを切り替えることで、迫力のある映像になりました。

動画投稿後に気づいたこと

4人の立ち姿を記録するという目的は果たせたし、映像の切り替えの拙さはクロスディゾルブという技で解消......ということで、自分なりに納得のいく編集ができたので、早速YouTubeに投稿しました。

アップロードした動画を再生して気がついたのですが、動画が終了すると、直後に次の「おすすめ動画」を促す画面が表示されます。このため、楽曲終わりの余韻を感じる余地がなくなってしまいました。個人的には一番の反省点です。曲の終了後に急に画面が切り替わらないよう、1~2秒ほど無音の暗転映像を動画の最後に付け加えればよかったかな、と思いました(7)。

ライブ映像の編集は楽しい

RAYのパフォーマンスの大きな魅力の一つは、彼女たちの表現力豊かなダンスですが、この時の「愛はどこいったの?」ではそのダンスが「封印」されています。しかし、それによりRAYの魅力が半減してしまうのか、といえばそんなことは全くありません。それどころか、4人の歌声の繊細さ、立ち姿、表情、目線の美しさがフォーカスされ、とても感情に溢れたパフォーマンスとなっています。

愛はどこいったのスクショ_1


ライブ映像を編集すると、ひとつのパフォーマンスを何十回も観ることになります。それによって、これまで見落としていたメンバーの表情に気付くことができました。自分の歌唱パート以外の場面でも、目を閉じて音に神経を集中させる姿や、自分のパートに向けて徐々に感情を高めていく様子が、カメラに収められていました。RAYの魅力にたくさん気付けたことが、動画編集で得られた一番の収穫です。

一つ編集動画を完成できたことで、もっと編集技術やFCPXの使い方を学んで実践してみたい、という欲が出てきました。FCPXの機能で遊びつつ、RAYのライブのカッコよさを活かせる曲はどれか...ということで、次に動画編集に挑んだ楽曲は「Blue Monday」です。

次の記事「アイドルグループ「RAY」のライブ映像を編集した(3) Blue Monday」に続きます。

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補足

(1)「愛はどこいったの?」初披露時のパフォーマンスは下記リンクの公式動画からご覧になれます。


(2)「愛はどこいったの?」の音源は「Total Feedback 2020」コンピレーションアルバムに収録されています。下記リンクはApple MusicとSportifyのリンクです。


(3)2020年9月19日のライブにて「愛はどこいったの?」の「振り付けありバージョン」が初披露されました。ウェブ配信として初めて披露されたのは2020年10月11日のライブになります。また、2020年11月15日に行われた、内山結愛さんの生誕祭ライブ(1部と3部)の配信映像のアーカイブで「振り付けありバージョン」を観ることができます。下記のリンクは1部の映像です。


(4)インストールするにはmacOS 10.14.6またはmacOS 10.15.6以降であることが必要です。

(5)FCPXでのマルチカムクリップの具体的な編集方法は、下記リンクのWallyさんの解説動画が大変わかりやすく、参考になりました。

(6)FCPXのトランジション、特にクロスディゾルブの使い方については、下記リンクの山田どうそんさんの解説動画を参考にしました。これのとおりに作業すればすぐに実践できるうえ、詳しい解説が勉強になります。

(7)素材のカメラ映像は、ライブ全編を最初から最後まで中断なしに記録したものです。曲と曲の間には、暗転中にメンバーが移動している場合や、曲間の時間がほとんど無く、すぐに次の曲が始まる場合もあります。このため、編集用に1曲の映像を抜き出すと、曲の開始前・開始後に不自然な場面が生じてしまうことがあります。ファンの方々の動画を見ると、曲の前後を工夫して編集されていて、とても参考になります。例えば、曲のタイトルを挿入してミュージックビデオのような仕上がりにしたり、あえて移動中のメンバーの足元を撮ったカメラを使ってライブ感を演出したり...。私が2つ目に編集した「Blue Monday」も、少し工夫する必要があったので、トリッキーな始まり方になっています。