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世界で広がる「自然資本」の新たな指標

日経新聞でテーマ「カイシャの未来」というコーナーが面白くて毎日楽しみに読んでいます。

その中で新しい価値観に随分シフトしてきているなぁと感じる記事も多くて、今日はその代表的な資本に関する考え方について勉強しました。

参考文献はイギリス財務省がケンブリッジ大学の名誉教授に依頼して経済活動と自然の関りを分析した600ページにも及ぶ報告書「ダスグプタ・レビュー」で、明らかになったのは不都合な事実でした

今日はそこで述べられていることを

*ダスグプタ・レビューで語られたこと
*失われた大切なもの(加速度的に失われる自然資本)
*最大のステークホルダー(利害関係者)地球に利益を

という切り口でみながら

人間の経済は自然の外にあるのではなく、自然の中に組み込まれている
企業は財務指標と自然資本の両立が求められる時代になった

という今後の指標を理解していきたいと思います。

600ページって絵本でもきついなぁと思う私でした、、、
恐るべしケンブリッジ

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*ダスグプタ・レビューで語られたこと

このレポートで語られていることを最初にまとめれば

今日まで経済学が本質的に自然をとりいれていない

ということです。

つまり、人間の経済は自然の外にあると考えられていて、世界経済を主導する公的機関も、生産や消費のために自然が使われたことによる生物圏への影響を記録してこなかったのです。

それがなぜ起きたかといえば、

道路や建物などの「人工資本」、教育や健康などの「人的資本」を蓄積することを成果と考えていたからです

その間に、限りある自然の過剰利用の結果、環境を劣化させたんですよね。

温室ガスも少々じゃ地球規模にまで影響はしなかったでしょう。

「経済成長には限界があり、ルールなどにとらわれずに自由気ままな経済開発は生態学的に無理だ」
と主張する経済学者は、昔から煙たがられてきました。
計画が遅れて利益を損失するという気持ちが強かったからです。

でも今は、経済成長至上主義者とは相いれず、特に北米では大学の経済学部から追い出されるほどになりました。

*失われた大切なもの(加速度的に失われる自然資本)

世界各地でもこの自然は加速度的に失われています。

インドネシアではこの30年で森林6割減して、その土地の75%が育てやすい12種の穀物栽培と5種に家畜の飼育に使われています。

世界的にみても、熱帯雨林は生物多様性の最大の宝庫ですが、赤道周辺の熱帯の国は貧困国です。

今、地球では東南アジアなどで森林が伐採されて、富裕国へ輸出されています。
川の上流の森を減らすことは、下流での洪水や土砂崩れを増やし、土壌劣化によって農家の収穫物を減らすことに結果的になります。

しかし、そうしたコストは輸出価格に含まれていないんです。
森林伐採や輸出をしている会社は、ダメージを受けている人々に補償金を支払わなくてもいいからです

そのことに誰も気づかないのは、国の統計に記録されないからです。

1992年から2014年までに1人あたり人工資本の価値は2倍に、人的資本は約13%増えたが、自然資本は40%近く減少した」というデータがレポートに書かれています。

私たちは生物圏の質や量が低下するまで収穫したり使ったりして、人工資本や人的資本に変えてきました。
そのツケが今世界を取り巻き始めているんですね。

*最大のステークホルダー(利害関係者)地球に利益を

ダスグプタ・レビューのポイントとして挙げられるのが、

国内総生産(GDP)ではなく『包括的な富』を経済指標にしよう」や、

自然保護のために金融などの制度を改革しよう

と提言していることです。

つまり自然資源を持っている地球に対しての資源利用した時に何を得利益としてステークホルダーである地球に還元するか?という考え方にシフトしないといけないということです。

GDPは誤った指標と認識されるようになってきました。メートル法は何が良いかを測るために使われているだろうか?と同じようにGDPは成長しているかもしれないが、自然資本の無駄遣いによって得たものだと考えられるようになってきています。

WTOは自由貿易の推進ではなく、自然資本の値付けに取り組まなければならない、ということです。

そしてそんな流れを受けて日本でも

100年後の豊かな地球を考える
そんな技術を見極め、必要なすべてを研究開発型ベンチャーに惜しみなく注ぎ、世界を変える力に育て抜く。

を理念にベンチャーキャピタルを運営する
リアルテックファンド
のような会社が台頭してきました。

この会社の出資で、フィリピンもプロペラなしで台風でも耐える風力発電機が設置されています。

このリアルテックファンドは、

研究開発型ベンチャーを成功に導いた経験のある
ユーグレナ、

研究者メンバーがテクノロジーを深く理解している
リバネス、

豊富な上場支援実績で的確なアドバイスと支援を行う
SMBC日興証券

の3社によって創設されたベンチャーキャピタルファンドです。

ユーグレナが創業時500社回って1円も得られなかった15年前と違い、5月に30社から134億円の資金を調達していることからも、この流れがトレンドが分かります。

そして結論は

人間の経済は自然の外にあるのではなく、自然の中に組み込まれている
企業は自己資本率(ROE)などの財務指標と自然資本の両立が求められる時代になった。

ということを理解しておかないと、時代に取り残されることになるかもしれませんね。

#ベンチャーキャピタル #ダスグプタ・レビュー #人工資本 #自然資本

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