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【次は何を折ろうかな #1】使う紙を先に決めて折り紙作品を創作してみる

どうも、折り紙作家のたけたけです。

【次は何を折ろうかな】では、
次回作のコンセプト設定ややってみたいこと、
前作から得た反省点など
私が作品を作る前に考えていることについて
発信していきます!

第1回目は、
出会った素敵な紙の使い道についてですっ!

はじめに

竹尾の見本帖はご存知ですか。
紙の専門商社である竹尾が各地に展開している
ファインペーパーの魅力が詰まった
スペースです。
ここでは紙に触れながら、お気に入りの紙を
探すことができ、実際に購入することも
できます。

竹尾の見本帖

そこで私は『きらびき』という紙に出会い、
この紙の魅力を活かした作品を
作りたくなりました。

今回は、
魅力の引き出し方について考えるところから、
モチーフ選びまでを記述します。

『きらびき』の魅力を引き出したい!

さて、この『きらびき』という紙。
私が手に取ったのは、
『きらびき M』のシルバースカイでした。
連量は110kgで、やや厚手な印象。

この独特な艶感。
ギラギラしすぎない光沢、
画用紙のような凹凸。
淡い水色の美しさに惚れ込みました。
湾曲した時に生まれる光の反射が美しい......

私はこの魅力を折り紙作品にすることで
多くの人に伝えたい、と思ってしまいます。
折り紙作家であるが故、当然。
折り紙という手段を介して伝えるのだから、
魅力を引き出して増幅したい。

でも、どうやって......?

折り紙作品にすることで引き出せる魅力とは......?

何も考えずに作品を作っても、
かえってその魅力を殺しかねない。
魅力を引き出すのに適切な方法を
模索する必要があります。

私が今回伝えたい『きらびき』の魅力は、
湾曲した時の上品な光沢です。
複雑に折り込んでしまったら、せっかくの
テクスチャが潰れてしまいます。
となれば、作品の構成要素に
無垢な広い湾曲した面を取り入れたい。
この要素は、造形として比較的シンプルに
まとまりそうですね。

紙を湾曲させて表現する作家といえば、
私は真っ先にGiang Dinh氏が浮かびます。
しかし私の技量的に、ここまでシンプルで
説得力のある造形に落とし込む自信は
ありません......
何かしら複雑な要素と広い曲面を混在させ、
作品としてインパクトを与える方針で
行こうと考えました。

ところで。
デザインの4大原則というものがあります。

・近接
・整列
・反復
・対比

伝えたい情報を分かりやすく伝えるための
代表的な手法です。
この中でも対比
伝えるべきことの優先順位を操作するのに
便利な手法です。

この手法を今回取り入れてみます。
要素は以下の2つ。

・シンプルな湾曲した部分
・複雑に折り込まれた部分

この時点で対比が成立していますが、
このまま並べたら後者が目立ちそう。
そこで前者を目立たせるために
大小関係を与えます。

・大きくてシンプルな湾曲した部分
・小さくて複雑に折り込まれた部分

これなら、前者を効果的に見せることが
できると予測します。

モチーフ選び

大きくてシンプルな湾曲した部分、
小さくて複雑に折り込まれた部分......
これらを同時に持ち合わせたモチーフは
すぐには浮かびませんでした。
悩んだ末、私はこの考えに落ち着きました。

2つのものを1つにまとめちゃえ!

ジオラマ的な発想です。
湾曲した部分をエフェクトと捉え、
複雑な形状をした何かの
とあるワンシーンを描写してみよう、と。

シルバースカイという淡い水色から
頭に浮かんだのは、やはりでした。
水の流れ。その先にいるのは......魚。

モチーフは水と魚に決まりました。
メインはあくまでも水の方です。
魚の部分はもちろん
説得力のある造形に仕上げますが、
水以上に主張させないバランスを
実際に折り進めながら精査していきます。
魚の種類も近いうちに確定させたいですね。

おわりに

出会った紙の魅力を引き出す方法とは、
それを実現できるモチーフとは。
これらは創作において
構造云々ではない領域です。

今まで私の創作は
好きなモチーフをただ再現するだけに
留まっていました。
実践している人は少ないですが、
たまにはこういうスタイルで創作するのも
いいんじゃないかな、って思います。

他の作家さんがこのようなスタイルで
創作した作品も見てみたいです。
是非やってみてくださいね。

では、今回はこんなところで。
じゃっ!

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