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キックコーチ視点で見たFC東京vs川崎。スーパーゴール2シーン徹底解説。

今回は5/12(金)に国立競技場で行われたFC東京vs川崎フロンターレを生観戦した感想を書いていきたいと思います。
本当はJリーグたくさん観に行きたいんですけど、普段土日はお仕事三昧でなかなか行けないので平日開催は僕にとっては貴重ですね。
キックオフ2時間前にふと思い付いてチケット取った割には十分観やすい席で安心しました。56000人ってすごいよなぁ。

友達と一緒に試合を観ていてもお前の観るところは変わってるとよく言われるんですが、まぁキックばっか注目してるのでそりゃそうですよね。サッカーをこんな見方してる奴もいるんだよってのが伝われば良いかなと思ってます。

グラウンド問題。天然芝めっちゃ蹴りやすそう。

まず感じたのが、天然芝最高。

グラウンド別の蹴りやすさとしては天然芝>人工芝>>>>土です。土はしんどいですね。とは言ってもほとんどの場合、一定のカテゴリーまでは土グラウンドで練習・試合をやらざるを得ないし、特に大学生は人工芝を利用することが多いのは事実です。そんな中でそれぞれのカテゴリーで結果を出すことを考えると、それぞれのグラウンドの特性、つまり天然芝ではできるけど土・人工芝ではできないことが何なのかを理解しておくことは非常に重要だと思います。選手本人もそうですが、特に指導者にとっては重要だと思います。

まず、天然芝のメリットとして一般に語られることが多いのは、ふわふわした天然芝の上だとボールが浮いたような状態で蹴れるので特に浮き玉なんかが蹴りやすいという点ですね。
この点が間違いなく天然芝の一番のメリットで、両チームのキーパーのゴールキックなんかはその恩恵をフルに受けていたと思います。

もう一つのメリットはスパイクがしっかりと地面に刺さるので、軸足を安定させやすい、軸足でブレーキをかけやすいという点があります。
以前のデ・ブライネの記事でも軸足のブレーキの重要性については述べましたが、この軸足のブレーキを実現するためには足の接地位置を重心から外す、つまり体よりも前もしくは横に足だけを外しておくことが必要になります。この時、スパイクでしっかりと地面を掴むことができないとバランスを保つことができず前にズルッと滑ってしまいます。

人工芝ではボールが浮いているような状態になることはあまりないですが、スパイクのグリップは天然芝並み、もしくは天然芝以上に効くので、この軸足のブレーキをしやすいというメリットは人工芝のグラウンドにも当てはまります。
一方で、土グラウンドは重心から軸足を外して置くことが難しく、軸足でのブレーキがかかりにくいという非常に大きなデメリットがあります。

キック動作に限らず、単純なストップ動作においても地面を引っ掻くように、過剰に歩数を使って減速する動作はよくあるエラーですが、これは土グラウンドではむしろ適した動作であるとも言えるので、土グラウンドでプレーする弊害だと考えています。

なので、早い内からたまにはキュッとブレーキが効く環境でプレーするのは重要じゃないかと思っています。芝のグラウンドでやることは難しくても体育館でフットサルをやるってのも1つの良い解決策だと思います。

FC東京1点目解説

今回、結果は2-1ということでしたが、特に両チームの1点目は素晴らしく勉強になるゴールだったのでそれぞれ詳しく解説していきます。

球速と回転の関係。ジョルディ・アルバを思い出した話。

僕はちょうどゴール裏で観ていたので、結構近くで見れましたが、球速速いな〜という印象でした。

そして、球速を高めたかったら回転数を減らすことが重要です。
ボールを蹴る時にはボールを叩くようにして力を加えることになりますが、この時加えられた力はボールのスピードと回転に分配されることになります。

なので、同じ大きさの力をボールに加えたとしても、力を加える方向が変わると回転が多くて遅いボールにも回転が少なくて速いボールにもなり得ます。
シュートシーンでは球速を高めることがかなり重要な要素になるので、無回転に近いボールを蹴る必要があります。

この辺は以前の記事で詳しく解説しているので是非お読みください。

ゴールを決めた徳元選手は左利きなので逆足でのゴールなのがまた凄いところです。
このシーンを見て思い出したのはW杯の日本対スペインのジョルディ・アルバのシュートです。ゴールシーンではないし特別ピンチだったという訳でもないのですが、自分の中であまり逆足のイメージがなかったジョルディ・アルバが普通に逆足で無回転の強シュートを打ってくるのは衝撃でした。他の選手も当然のように無回転の強シュートを打つので、世界レベルでは標準装備なんだと実感したW杯でした。

話が逸れましたが、このシーンのポイントは無回転に近い速いボールを蹴れていることです。

インステップ型無回転。足首のスナップを活用する。

では、このシーンのように無回転のボールを蹴る蹴り方を解説します。まずはインパクトしている足の位置に注目して見てみましょう。

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