ストレイン・カウンターストレイン

今回はオステオパシーの間接法の代表的なテクニックである、ストレイン・
カウンターストレイン(SCS)について書きたいと思います。
リハビリ業界ではポジショナル・リリース・セラピー(PRT)だと思います。

これはオレゴン州で開業医をしていたローレンス・ジョーンズ
DOにより発見されたものです。

SCS発見のきっかけは、何回治療しても効果の出ないある腰痛患者に、
なんとか寝るときだけでも楽になるようにと、いろいろな姿勢を取らせ20分ほど寝かせて置いた。ジョーンズDOが戻り、手助けにより元の姿勢に戻った時、その患者の腰の痛みがすっかり無くなっていた。

というものです。この原理の解説を本から抜粋するとこんな感じです。
1、これは器質障害ではなく、いまなお進行中の有害な機能障害である。

2、この治療を成功させるには、最大限に短くたるませた筋肉を中立位の長さに戻すとき、ゆっくりと戻す必要がある。

3、ストレイン(伸張)を受けた筋肉には患者の訴える主観的な痛みや筋力低下があるが、その拮抗筋には客観的な証拠(圧痛、緊張、浮腫)がある。

4、らくな姿勢をつくり痛みを永久に消失させるには、拮抗筋を最大限に短くしてたるませ、痛みのある筋肉をもういちど引き伸ばし、それからゆっくり中立位に戻せばよい。

ゆっくり戻せば機能障害が再発することはない。
持続的なストレイン信号はどのようにして生じるのだろうか?

それは拮抗筋の一次終末がもっとも短くたるんでいたとき、突然
予期せずに引き伸ばされたからである。

そのスピードがあまりに速く、ストレイン信号を送る前に中立位の
長さになってしまうのである。

すると、その後まったくストレイン信号がないのにストレイン信号を
出すようになり、その関節があたかもストレインを受けているように
振る舞うのである。

ストレイン状態が続くと、不快な愁訴や痛みが取れない。

SCSの治療はストレイン状態を報告している固有受容器を最大限に
短くたるませ、ストレイン信号を出さないようにしてしまうのである。


要するに、、、イメージ的にはシートベルトと同じ原理。

筋肉は、急激に引っ張られるなど、無理な力が加わったり、負担がかかると、損傷から守る為に反射的に収縮します。「縮んで守れ」という信号を出してシートベルトのようにロックする機能が備わっています。

もう少し詳しくいうと、筋肉の中には、筋紡錘と呼ばれる、筋肉の伸縮度を感知するセンサーがあります。このセンサーには、筋肉を保護する機能が備わっています。

筋肉は瞬間的に縮むことで、断裂などの損傷から身を守っているのです。

脳まで信号を送って判断すると時間がかかってしまうので、このような緊急の場合は、筋紡錘の判断だけで筋肉を縮めます。

これが伸張反射(脊髄反射)です。

この時、筋肉への負荷が強く、また急激なものであればあるほど、筋肉が収縮したままで戻らなくなります。
力こぶをずっと作っている状態です。、、、、疲れますね。


そんな状態が体のあちこちであれば、筋肉の中の毛細血管が押し潰されたりして血行障害に陥ったり、関節に負担がかかり続けることで炎症や変形につながること事が想像できますよね。
ちなみに標準医療とか病院ではあまり教えてくれないのであまり聞きなれないと思います。

硬くなった筋肉が、本来の柔らかさを取り戻すためにはどうしたら良いでしょうか。

逆に、筋肉が「もう縮まなくて良い」と認識すれば、本来の柔らかさを取り戻すことができます。
そのためには筋肉を伸ばすのではなく、たるませてあげる必要があります。


揉んだり、ストレッチしたりではなく、ただただ楽な姿勢を90秒から120秒とって、ゆっくり同じ姿勢に戻してあげるんです。これだけで元通り。

思えば、人間以外の他の動物はリラックスしている時間が多いなぁ。

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