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パンで学ぶスウェーデン語単語(2)

以前、パンに関するスウェーデン語単語について書きましたが、意外と(?)閲覧数が多かったので、もう少し書いてみようかと…

今回は、パンに使われる小麦を始めとする関連する単語について見ていきます。まずはスウェーデン語で de fyra sädesslagen(4種の穀物)と呼ばれる、小麦・ライ麦・大麦・オーツ麦から見ていきましょう。

小麦 vete

まず、小麦はveteと言います。英語 wheat、ドイツ語 Weizen と同語源です。小麦(というか小麦粉)の色との関連から、vit (白い、英語 white、ドイツ語 weiß) とも語源的に関連があります。

ライ麦 råg

次はライ麦で、rågと言います。英語 rye、ドイツ語 Roggenであることからも、ゲルマン系で共通の単語であることが分かります。いわゆる黒パンはライ麦で作られます。

ライムギはオオムギやエンバクとは違い、人間の食用としての利用が中心である。古来からヨーロッパではコムギに次ぐ食用穀物として扱われており、主に種子を粉にしてパンの原料とされてきた。21世紀の現在でも、ドイツや北欧諸国など小麦の生育が悪い国を中心に多くのライ麦パンが作られ、文化の一部となっている。ライ麦パンは色が黒っぽいことから黒パンとも呼ばれる。(日本語版Wikipedia ライムギの項)

大麦 korn

スウェーデン語の korn には ① 穀物の実 と ② 大麦 の二つの意味があります。元は①の意味で、語源的には kärna(果物やナッツなどの種)と関連があります。もともとはパンにも使われていたけど、家畜飼料やビールを作る麦芽として使われるようになったようです。

オーツ麦 havre

パンには使われませんが、havre(オーツ麦、燕麦)も重要な単語です。オートミールやグラノーラに入っているやつですね(オートミールに入れるオーツ麦フレークを havregryn と言います)。日本語版のwikipediaによると北欧での消費が多いようです。

1人当たりエンバクの消費量が最も多い国はフィンランドであり、次いでデンマーク、スウェーデン、イギリスとヨーロッパ北部の国々が続く。(日本語版Wikipedia エンバクの項)

Svensk orbokによると、もともとは「ヤギのエサ」という意味から来た可能性があるとのこと。オーツ麦はそもそも飼料としての用途が主なんですね。

エンバクの用途のうち最も重要なものは飼料用であり、特に馬の飼料として盛んに利用されたが、(中略)ただしエンバクはウマがよく好む飼料であり、食物繊維の含有量も高く、ウマの濃厚飼料としては現代においても最もよく使用されるものである。(日本語版Wikipedia エンバクの項)

さて次に、小麦をはじめとした穀類を挽いたもの、つまり小麦粉(穀粉)に関する単語をみましょう。

小麦粉 mjöl

mjöl は正確には「穀物の粉末(穀粉)」で、vetemjöl(小麦粉)、havremjöl(オーツ麦粉)、 rågmjöl(ライ麦粉)などのように使われます。英語の meal(粗びき粉)、ドイツ語 Mehl(穀粉)などと同語源です。スウェーデン語で mala ([穀粒などを]ひく、うすにかける)とも関連があります。以前、ツイートしたことがありますが、以下のような単語とも関連があります。

ところで、下のツイートにもある通り、vetemjöl は日本の中力粉に相当し、日本で一般的に売られている薄力粉は fint mjöl、そして強力粉は vetemjöl special が相当するようです。全粒粉は fullkornで、先ほど見たkornのうち、穀物の実を表す意味で使われています。

「穀物」を表す単語

最後に穀物を表す単語を見ていきましょう。まずは säd あるいはsädesslag があります。英語の seed(種)、ドイツ語 Saat (種[まき])などと同語源なので分かりやすいですね。もうひとつよく使われる単語に spannmål があり、脱穀された穀物を意味します。spann はかつて使われていた穀物を量る単位だそうです。

さて、このシリーズ、果たしてどれくらい需要があるのか…。

記事を読んでいただき、ありがとうございます。