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僕の20代、これまでの人生この人抜きでは語れない。①【拗らせ男子の革命日記】

大学生の頃、僕は内定が取れなかった。 

政治の仕事に興味が向いて、
会社面接でも決定打に欠けていたからだ。 

コミュニケーションにも問題はあるけど。 

21歳大学四年次、就活に嫌気がさして、 

8月に青春18きっぷと今も現役のショルダーバッグで旅に出た。 

青春18きっぷの購入金額の倍の金額を使えるのか試したかった。 

早朝鈍行に乗り、東は信州松本、西は博多(途中新下関からこだまに乗ったが。)南は徳島。
北は富山。 

行き当たりバッタリの旅。 

この旅の中で、一番印象に残り、その後の行動を決定する場所に出会った。 

上月にある『高杉晋作終焉の地』。
近くに『奇兵隊発祥の地』がある。 

草木は生い茂り、山と海が見える以外は何もなかった。 

高杉晋作の生き方を知りたくなったのは、龍馬伝の影響が強い。

それ以前に、父が僕に手渡した高杉晋作の伝記の影響もあるが、生き方が鮮やかだった。 

何もないところから結果的に維新という言葉になっていったが、
僕自身にも維新は起きた。 

高杉晋作のお墓まいりをした時である。
(お墓まいりの数年後、萩の高杉晋作生誕地にも行った。)
時代経過からか、お墓は青い苔も少し生えていた。
『東行墓』 


近くにまた別の石があった。 

以下引用 

(正面)
面白きこともなき世を面白く 高杉晋作
住みなすものは心なりけり 野村望東尼
(右側面)
吾すれば人もするかと思ひきに
人々そなき人の世の中
(左側面)
西へ行く人を慕ひて東行く
わが心をば神や知るらむ 


僕はこの石に刻まれた文字を触り、 

『僕って政治に興味があるんだよな?今の方向違うくない?というか、全く面白くないやん今。』 

ボソリと呟いている自分がいた。 

27歳没。 


僕は当時21歳。 

これでいいのだろうか。 

面白きなき世を面白く。 

僕は今楽しいのか。 

と。 

旅から戻ってからは、就活をやめて、
経営者と学生が集まる会に友達と参加した。 

体育会系の人ばかり、体格の大きい人ばかりだった。 

たまたま同じテーブルになったメディア系の経営者と話をした。
ただデカイ地味なメガネ男だった。
彼はイベントを企画していたらしく、メインターゲットは大学生だと話していた。
大学生がたくさん欲しい。
ニュースに取り上げられるから、人を集めてくれる人を探している。と言っていた。 

僕はただただテレビに興味があっただけだが、困っていそうだからとその場で電話を掛けまくった。 

3人くらいは集まりそうです。

と僕は目の前で即答した。 

その姿を見たからか、地味なメガネ男と連絡を取り始め、
企画も無事成功したのもつかの間、 

また頼み事があると電話がきた。 

あのお兄さんと関わるのパワーいるし、めんどくさいんだよなぁ。 

愚痴と興味半々。 

用件を聴き、集合場所を教えてもらい向かった。 

うん?
オフィス街やなぁ。
もう就活嫌やねんけど。
でも仕事探さないとあかんしなぁ。
政治にも興味あるし、どうしたらいいんやろなぁ。
こんなことしてる場合なんかなぁ…。 

と思いながら、胡散臭いお兄さんと合流し、目的地に到着した。 

〇〇法律事務所。 

だった。 

綺麗なオフィス、綺麗なお姉さんが受付にいた。 

パーカーにジーンズは場違いだった。 

オフィスの一番広い応接室に通された。 

実は高校時代の友人と一緒に行った。
地味なメガネお兄さんと関わる僕を心配したからだ。
『お前のような奴に関わるやつはロクなことがない。この目で見極める前に断ってやる。』 

意気揚々としていた彼を見て、僕は内心、胡散臭いお兄さんの恐ろしい顔を想像し、冷や汗をかいていた。 

応接室で3人で待つと、明るいグレーのスーツを着た長身の男前がきた。 

この人が弁護士かぁ…。
仕事出来そうな顔してるわ。 

と思いながら、なぜ弁護士が学生に用事があるのだと不思議だった。 

話を聴くと、 

どうやら次の統一地方選で立候補を予定していて、
ボランティアスタッフを探しているらしい。 

僕は議員に興味があるから快諾しようとすると、隣にいた友達が、
『まだ貴方を知らない。だから今からゆっくり話しませんか?』と言い出した。 

その男前は快諾し、近くにある、みかん箱の椅子と木箱だらけの古びた店に行った。 

会話は覚えていないというよりも、友達が男前と話をしていたのを覚えている。 

意気投合したのか、
僕の快諾よりも、 

目の前で僕に、 

『俺はこの男を手伝う。というより、お前、手伝え。』

と中ジョッキを一気飲みして言い出した。 

ちなみにご飯代は割り勘。 

割り勘というのには理由がある。 

法律遵守。というのもあるが、

自分たちの活動は自分たちで捻出するというのは僕らとその男前とが対等であるという表現の1つであるからだ。

僕らの明日はどうなるのか全く考えられない、暇を与えない旅、学生生活最後の想い出作りという風が吹き、船の帆を広げた。

続く

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