自#295「テレビやYou Tubeなどで、ひたすら一方的に視聴覚的な情報を受容してしまうと、心に負担がかかりすぎてしまいます。テレビ、You Tube 、SNS、ラジオ、本、映画、音楽などを、バランス良く受容した方が、精神衛生的には、望ましいと、多分、言えます」

「たかやん自由ノート295」

今の若い人は、radikoというアプリを使って、ラジオを聞いているそうです。K高で担任をしていた頃、推しの声優さんがパーソナリティを務めているラジオ番組を録音して、それを学校の行き帰り、自転車に乗っている時、聞いていたIくんという生徒がいました。20年以上前のことです。Iくんは、ラジオ番組をテープに吹き込み、ウォークマンで聞いていました。今は、わざわざ録音しなくても、スマホがあれば、過去一週間以内の番組は、無料で聞くことができますし、月額350円払って、プレミアム会員になれば、全国のラジオ番組を聴取することも可能です。

 全国におそらく、100局以上、ラジオ局はあると思います。私は、子供の頃、ラジオを聞いていました。テレビ同様、ラジオもRKC高知放送と、NHK第1、2の三択でした。テレビのNHK第2放送は、今にいたるまで、ほとんど見たことはありませんが(そもそも、テレビそのものを積極的には見ません。ウチでは基本、テレビをつけっぱなしなので、食事の時、やむえず、ヴァライティ番組を見ているんです)、ラジオのNHK第2は、子供の頃、時々、聞いていました。物語の朗読とか、座談会とか、子供向けの科学講話のようなものを聞いていた記憶があります。

 東京に上京して、洋楽ばかり流しているようなラジオ局(FEN)があって、驚きました。子供の頃に、これが高知でも聴取できていたら、多分、私は音楽ライターになっていたと思います。洋楽ロックが、モトクロスバイクだとしたら、Jazzやクラシックは、車のようなものです。車の方が、活動範囲が広く、よりハイレベルの文化のように思えてしまいます。私も、洋楽ロックから、Jazz、クラシックなどの方に行って、ロックに戻って来るまでに、10年くらい、ロック以外のいろんなジャンルの音楽を聞いていました。ですから、1975年から、1985年あたりまでの洋楽ロックは、リアルタイムでは聞いてません。ニューヨークやロンドンのパンクのムーブメントも、まったく知らなかったということです。

 昔は、ラジオを聞く大きな目的は、音楽を聞くためだったと推測できますが、今は、音楽はYou Tubeなりサブスクなりで、いくらでも聞けます。今のリスナーは、音楽ではなく、音楽以外の何かを求めて、ラジオを聞くんだろうと想像しています。

 どのような人が、パーソナリティを務めているラジオ番組を、最も良く聴きますかと云うアンケートでは、声優さんやタレントさんは、そんなには多くなくて(声優4.2%、タレント7.6%)一番、多いのはラジオ専門のパーソナリティの方で、35.4%です。テレビやYou Tubeとは違う、ラジオ専門に特化した声質や話術、それとある種の雰囲気に惹かれて、ついつい特定のパーソナリティの方のラジオ番組を、聞いてしまうんだろうと思います。私が大学生の頃ですと、TBSの城達也さんがパーソナリティを務めていた「ジェットストリーム」が、そういう番組でした。

 テレビは、まあそうは言っても、影響力は大きいです。たとえ、視聴率が1%でも、120万人の方が、見ていることになります。ラジオは、コアなリスナーの心には突き刺さったとしても、さほど影響力を持たない、気楽さがあります。今や、SNSの方が、影響力は、圧倒的です。Qアノンだって、SNSで作り出された虚像です。

 私も、受験生の頃は、人並みにオールナイトニッポンなどを聞いていました。深夜放送となると、もう普通に下ネタが飛び交っていて、放送倫理的な縛りは、深夜になると、かなりゆるくなってしまっていました。が、さすがに天皇ネタは、出なかったので、いくら深夜放送であっても、絶対的なタブーには、触れてはいけないんです。

 沖縄のRBCiラジオ「ラジオBar南国の夜」と広島のRCCラジオ「平成ラヂオバラエティごぜん様さま」は、下ネタ満載らしく、この二つの番組のパーソナリティ同士が、下ネタでつながって、コラボできている様子です。OBSラジオ「夜のイチスタ☆」も、女性パーソナリティが、下ネタをしゃべりまくっているそうです。まあ、女性も下ネタ大好きな人は、沢山いますから、需要はあるわけです。需要があれば、(下ネタの)供給も必要です。

 西日本放送の「メンズヘルスラジオ~ラジオで男性の健康を考える~」は、香川県高松の泌尿器科病院の院長がパーソナリティで、地元企業の社長さんなどをゲストに呼んで、シモの話をするそうです。田舎のスナックにおっちゃんたちが、メタボを気にしながらも、シモの話に食いついて来る、そんな光景が瞼に浮かびます。男たちって、案外とヘンな生き物で、血糖値や血圧が高く、医者から相当ヤバいと警告されても、それを宴席で自慢のように語って、で、下ネタにも容赦なく食らいついて行って、で、ある日、突然、脳溢血や心筋梗塞の発作を起こして、その後、大変なことになるみたいな、リスクいっぱいの人生を、ハクナマタタな感じで、送ってたりします。男はバカだと、多くの女性は、心の底では思っている筈ですが、それは、たしかに、しばしば真実です。

 ラジオ沖縄の「ROK技術倶楽部」は、ラジオ沖縄の若手技術者が、ラジオ放送の裏側を語る番組です。ラジオ電波塔の話をしたり、放送局に届く「受信報告書」を紹介したりと、マニアックな世界を徹底的に追求していて、あまりにも専門的すぎて、韓国や台湾のラジオ技術者にも注目されているそうです。これだけマニアックな番組に、地元企業の広告とか入るのだろうかと、疑問は感じます。You TubeやSNSと云った巨大な黒船が登場してしまって、ラジオ局は、今やきっとどこも戦国時代なんです。戦国時代特有のカオスとエネルギーが、今のラジオ局の活況を作り上げていると想像できます。

 東日本大震災のあと、radicoの登録者は増えたそうです。これは、分かります。大震災のようなリアルの大災害の映像を、見てしまうと、精神に負担がかかりすぎてしまうんです。イスラム過激派が、処刑のシーンをネットで公開した時、それを見た、高校生はたくさんいました。人間が、リアルに処刑される場面を見るのは望ましくないです。心が弱っている人でしたら、いっきにうつになってしまいます。esという映画があって、うつになりかけの人が見ると確実にうつなると云う「前評判」でした。で、うつになりかけの私の教え子が見たら、やっぱりうつになったと、かなり歳月が経過してから、教えてくれました。で、私もesを見ました。映画として、荒削りで完成されてないと感じました。映画として完成していれば、うつになる危険性は、低いと推定できます。

 テレビのコロナ関連の映像とかで、不安を煽られると、心の弱い方は、うつが進行したりするのかもしれません。ラジオですと、たとえ泌尿器科の先生が、このままだと、前立腺ガンに向かってまっしぐらだぞと、まくし立てても、言葉のイメージを、自分自身で映像に変換するので、受け身にならず、冷静に判断できるような気がします。精神衛生的には、テレビやYou Tubeよりも、ラジオの方が、よりリスクは低いと想像できます。

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