自#476「小学生の頃、川でも海でも、よく泳いでいました。海だと、4、5キロ、普通に泳げました。小学生の頃が、人生で一番体力があったなと、オリンピックの水泳競技を見て、思い出しました」

          「たかやん自由ノート476」

 毎日、テレビで熱心にオリンピック競技を見ている女房が、昨日
「何か前に問題を起こした人って、神さまが許してくれないのかな?」と、私に質問しました。これはおそらく、以前、不倫事件を起こした水泳の瀬戸選手が400メートル個人メドレーで予選落ちし、やはり以前、賭博に絡んでしまったバトミントンの桃田選手が、男子シングルスで、予選落ちしたことを、言っているんだと想像しました。意外だったのは、女房の口から、「神さま」という言葉が出たことです。ウチの女房は、神のことを、日頃考えたこともないし、おそらく信じてもいない、ごく一般的な(いわゆる)無宗教の日本人です。まあ、多分、深い意味はなく、何気なく口にしたんです。私は、若い頃、神について、考えなかった日はなかったし、一神教の神なのか、多神教のそれなのかは別として、神を信じています。が、キリスト教の神にしろ、ギリシアの神々にしろ、人間界のすべてのディティールに関わる筈もないとも思っています。それに何か、事件を起こしても、殺人のような超ド級の罪を犯さない限り、神は許すだろうと、simpleに考えています。人を殺してしまったら、それはさすがに、生きている間も、その後も、許されないだろうと確信しています。
「不倫とか賭博の不祥事とか、神さまは、もうとっくに許してるよ。ただ、良心の呵責のようなものは、やっぱり本人にはあるだろうし、自分自身が自分を許せているかどうか、それは個人の内面の問題だから判らない」と返事をしました。
 瀬戸選手は、予選の最後のクロールで、少しペースを意識的に落としたそうです。予選は、7月24日の夜で、決勝は7月25日の午前中です。予選でpowerを使い切ってしまうと、決勝でバテます。予選と決勝の全体を見通して、ペース配分を考えることが必要です。予選でトップ通過を果たしたりせず、そこそこのの順位で、通過しておくのが、wiseでcleverなアスリートだろうと想像できます。が、自分が考えていたより周囲の選手のペースが速く、想定以上に自己のペースが落ちてしまっていたので、予選落ちしたんです。神さまは、100パーセント、この予選には関わっていません。
 桃田選手は、試合をしながら、一戦一戦、勝ち進むに連れて、より強さを増して行くタイプです。コロナ禍で、大会が実施されず、そのヘンがマイナス要因だったと想像しています。やはり神さまは、無関係です。
 400メートル個人メドレーで優勝した女子の大橋悠依さんも、瀬戸さんと同じ作戦で、予選では力を温存したようです。予選が土曜日の夜、決勝が日曜の朝という日程の組み方が、無茶すぎます。午前と午後とでは、身体の動きもまるで違います。ちなみに、私は、午前中の授業で「I did it !!」と快哉を叫びたいような、バカ受けした授業を行ったことは、過去の37年間で、一度もないです。そもそも、そういうバカ受けする、「神回」のような授業は、年に数回もないです。例外なく、こういう現象は、週末の午後の授業で発生します。
 授業とスポーツとでは種類がかなり違いますが、一般的に言って、身体は午後の方が動きます。頭は午前中でも、普通に活性化されますが、身体は午後じゃないと、フル稼働できません。スケボーの予選は、男女とも朝イチでやってました。スケボーのようなストリート系のカルチャーを、朝からやるとかって、それはさすがに無理っしょというのが、偽らざる感想です。夕方から夜にかけてが、ストリートカルチャーは、輝きを持つ時間帯です。まあ、でもオリンピックだから、しょうがないんです。アメリカのテレビ視聴者に合わせています。何たって、アメリカのテレビ局が、一番のクライアントだからと言われてしまえば、それまでです。
 大橋悠依さんは、200メートル個人メドレーでも、優勝しました。400メートルは中距離で、200メートルは、やや短距離です。当然ですが、泳ぎ方は違って来ます。400メートルで優勝して、その3日後に200メートルでも優勝する、つまり3日間(実質1日半くらい)で調整したんです。トップアスリートに求められている要求水準の高さに、ただただ驚いてしまいます。
 200メートルで優勝したレースの大橋さんの水中での写真が、新聞に掲載されていました。幻想的な雰囲気のプールの水は、もしかしたら、CG加工しているのかもしれません。バタフライで泳いでいる時の瞬間ですが、肩から腕、手にかけて、両手ともにまっすぐ、きれいに伸びています。肩と脇の筋肉が、申し分なくpowerfulで、雄渾な感じです。前に進んで行く、そのベクトル以外の余分な力は、身体には一切かかってないと、写真を見ても判別できます。
 大橋さんは、高校時代までは、まったくの無名だったそうです。私は、キッズのダンスを、何回か見たことがあります。小学校の低学年くらいの年齢なのに、とんでもなく上手い女の子がいます。日本のキッズダンスは、おそらく世界のNo1だと想像できます。が、小学生にヒップホップ(バリバリのヒップホップではなくsophisticatedしたガールズヒップホップてすが)をやらせたりして、本当に大丈夫なのかという、素朴な疑問を持っています。小学生の頃、キッズダンスで大活躍していた女の子が、その後も、順調に成長し、ダンサーとして大成するっことは、多分、ないだろうと想像しています。バンドも小中学生の大会を、東京児童館が主催してやってました。小中学生の頃に活躍したバンドが、その後、bigになったという話は、聞いたことがありません。
 スポーツのことは、判りませんが、小中学生の頃に、ジュニアのトップになったりしない方が、将来、伸びるような気がします。大橋さんは、大学3年の時の強化合宿のメンバーからも落とされています。現在25歳です。21、2歳から3年間くらいで、自己を徹底的に鍛え抜いて、世界のトップに登り詰めたんです。オリンピックが、ほぼデビュー。それで金メダル。それも二つ。プレッシャーは、ほとんどなく、楽に戦えたとは、推定できます。
 200メートルの決勝の前、スマホの通知設定をオフにしてあったそうです。400通くらいはメッセージが届くらしく、それにひとつひとつ返事をしていたら、腕が疲れてしまうのでと、テレビのインタビューで、語っていました。そもそも、オリンピック期間中、スマホは不要だろうという気はします。ごく普通の25歳の女の子が、何ごともなく、金メダルを二つ取ったというサクセスストーリーを、感じてしまいました。

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