自#083|「親父の小言」解説(自由note)

 プレジデントに寿司屋で出される大ぶりの湯呑みなどに、良く書いてある「親父の小言」が、掲載されていました。「親父の小言」は、江戸時代あたりがルーツで、市井の処世訓として、広がって行ったものです。「親父の小言」的な処世訓を、子供の頃、大人たちから聞かされましたが、今は、そんなお節介な大人は、限りなく少なくなってしまったので、雑誌に掲載して、啓発・啓蒙しようとしてるんだろうと推測できます。

 「年取ったら楽をしろ」
 これは、嫌と云うほど聞かされました。主眼は「だから今は苦労しておけ」なんです。「若い頃の苦労は買ってでもしろ」とも言われましたが、これも、趣旨は同じです。親も含めて、信頼できる大人が周囲にいることが、子供にとっては大切です。目の前に苦労があったら、それは、したくない、やりたくないと考えるのが普通の防衛反応です。それを敢えてやってみようと考えるのは、信頼できる大人が、親身になってアドバイスしてくれるからです。言葉を伝えるためには、信頼できる人間になることが、まず前提条件だと言えます。「年取ったら楽をしろ」は、実際に年を取らなければ、解らない言葉です。仕事は、もう若い者に任せてしまうと云うことです。仕事の現場の主人公からは、年を取ると引退すべきなんです。若い人、後進の人たちが困っていたら、あまり喋り過ぎないで、必要最小限度のアドバイスをする、これが年寄りの役目です。

 「朝きげんよくしろ」
 まあ、これは結構、難しいです。朝起きた後、勉強のような個人的なtaskはやれますが、対人的に笑顔を振り撒くと云ったことは、(朝は)テンションが低くて難しいです。が、朝から、にこにこしていて、明るく、元気なお年寄りは、確かに、子供の頃、周囲にいました。今、自分が年寄りになって、はっきりと判ったことは、不機嫌な年寄りは、カッコ悪いと云うことです。不機嫌とかメランコリー、憂いに沈んだ表情などが、サマになるのは、若者だけです。年寄りは、その歳まで、生き延びて来られたと云うだけで、幸せです。そんな幸せを享受して来た年寄りが不機嫌とかって「それ、どうよ?」ってことにやっぱりなります。ハイテンションで喋れるかどうかは別として、年寄りにとって、笑顔は必須のアイテムだと多分言えます。

 「恩は遠くからかへせ」
 人は、受けた恩を直接返すのは、照れとか恥じらいとかがあります。大きな視野に立ってみると、サービスは上の世代から下の世代に施すものです。私は、お世話になった職場の先輩だったAさんにも、恩師のS先生にも、受けた恩のお返しはまったくしてません。が、先輩や恩師から恩を受けたからこそ、その恩に報いるために、生徒や教え子にサービスして来たとは思っています。まあ、これが「恩は遠くからかへせ」の意味だろうと、私はsimpleに考えています。

 「女房は早くもて」
 晩婚化が進行し、奥さんも、御主人も、年を取ってから持つと云う傾向になってしまっています。私自身も晩婚でした。が、遅く結婚するよりも、早く結婚した方が、やはり、いろいろメリットがあります。夫婦生活は苦労するものです。折れ合って、我慢すると云うことを、お互いに学びます。子育ても思い通りにはなりません。子供は、自分とはまったく違う、別個の人格ですから、思い通りにならなくて、当然ですが、とにかく、試行錯誤の連続です。ところで、早く結婚していると、夫婦生活や、子育てを通して学んだことを、自分自身の仕事に活かすことができます。若い頃(20代前半)先輩に「結婚しないと人生の半分が解らない」と言われたことがあります。結婚をして、三人の子供の子育てをして、今の年齢(65歳)に到達し、確かに、先輩の言った通りだったと実感しています。もっとも、人生の半分が解らなくてもいい人はいるでしょうし、解りたくない自由も尊重すべきだとは思います。ただ、いい仕事をすると云う観点に立つと、人生の半分が解らないよりも、解っている方が、いい仕事ができます。今、流行の言葉を使うと、あらゆる活動が相乗効果で、質が上がって行く「work life integration」ってやつだと言えます。仕事、家庭、コミュニティ活動などが、integrateされて、人生は、彩りゆたかな、幸せなものになります。

 「大めしは食うな」
 これは、本当にそうです。「腹八分目」と云うのは、正直、ギリギリ譲れないlineだと私は思っています。人は、腹二分目くらいでも、生きて行けます。私は、一週間くらいの断食を、何回かやったことがあります。断食をやれば、そんなに食べなくても、普通に生きて行けると云うことが解ります。子供の頃は、栄養バランスとかを考えながら、三食食べた方がいいと思いますが、大人になれば、三食食べる必要は、まったくないです。私は、高校生の頃から、ずっと一日二食です。大人になってから、お昼は紅茶(砂糖なし)は飲んでいますが、昼食はしたことがないです。いっぱい食べてしまうと、それを消化、吸収するために、エネルギーを使ってしまうので、頭が働かなくなります。普通に健康に暮らすためにも、大めしは避けるべきですが、受験生や資格試験の勉強をしている方は、小食を心がけて下さい。取り敢えず、腹八分目から始めて、腹六分目くらいまで落とすことができれば、合格は一気に近づいて来ます。

 「大酒は飲むな」
 私は、20代の頃、大酒を飲んでいたので、偉そうなことを語る資格はありません。20代の半ばくらいに、ビデオカメラが出回り始め、四万十川でオールナイトのキャンプをやっていた時の様子を、同僚が録っていたんです。編集段階で、録画を見て、まったく記憶にない箇所が、相当数あることを知って、衝撃を受けました。本当に、全然、覚えてないんです。自分が自分でないと言っていいと思います。結局、30歳で、アルコールを止めましたが、自分が自分でない状態が、多分、許せなかったからだと想像しています。これも、自分が自分でない状態が、平気な人もいるでしょうから、何とも言えませんが、健康面のことを考えても、大酒はやはりNGです。 

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