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自#072|私は、スタンディングのプロ(自由note)

 「座りっぱなし解消術」と云う記事を読みました。テレワークが多くなって、自宅で座りっぱなしの主に高齢者に対し、注意を喚起している記事だと思われます。私ももう、充分に高齢者です。シニアなどと云うこじゃれた言葉ではなく、爺さんと言ってもらった方が、自分としてはしっくり来ます。

 私が子供の頃に見た故郷の漁村の爺さんたちは、歳を取っても、船に乗って仕事をしていました。船と云っても定員3名くらいの小さなポンポン船です。舵はスタンディングで、操作していました。船での作業は、基本、立ち仕事です。陸(おか)で釣りをする時も立っていました(座って釣りをするのは小学校の低学年の子供たちだけです)。岸壁で、ぼーっと海を眺めている時も、立っていました。公園にあるベンチの類いのようなものは、私の田舎の漁村のどこを探してもなかった筈です。爺さんたちが、座っているのは、飲んでいる時だけです。農業は、座りの作業が結構ありますが、漁師の仕事は、座り作業なしです。無論、デスクワーク的なことも一切ありません。私のスタンディングの生活スタイルは、漁村で過ごした子供時代に培われたと、思っています。

 一日に座っている時間が、4時間未満の人に較べ、8~11時間の人は15%、11時間以上の人は40%も総死亡リスクは高いそうです。
「仕事は、サラリーマンの方がええけど、運動をせんと、サラリーマンは早死にするで」と、若い頃、先輩から聞いたことがあります。私が県庁に勤め始めた頃、定年は55歳でした。55歳から年金は貰えましたが、還暦まで貰う人は少なく、退職後、2、3年で、多くの人が亡くなっていました。退職して、生きがいを失ったと云うことも、理由のひとつだと思いますが、長年のデスクワークが、身体を不健康にしてしまったと云う面もきっとあった筈です。

 毎日、30分ずつ有酸素運動に取り組んでいても、座りすぎだと、その効果は一部、相殺されてしまうそうです。一部が、何パーセントなのかは解りませんが、毎日、走っていて、その効果が一部でも相殺されたら、やっぱり損をしたように思ってしまいます。
「座っていると、足の付け根の部分、膝の部分の血管が圧迫されるため、下肢の血液量と血流速度が低下。すると心臓が強く血液を送り出そうと働き続け、高血圧になってしまう」そうです。

 飛行機に8~10時間乗るだけで、エコノミー症候群を起こしたりします。知り合いの先生で、職場でエコノミー症候群になって、亡くなられた方がいるんですが、確かに、彼は基本、ずっと座りっぱなしでした。

 前に勤めていた学校の教室に置いてある教卓の約半分は、座りのための教卓でした。スタンディングで授業をしていると、教卓が低すぎて使いぬくいんです。座って、授業を実施すると云うことを前提にして、こしらえている教卓です。生徒は、座っているわけですから、教員も目線を下げるために座ると云う考え方に、基づいているのかもしれません。あるいは、立って授業をすることがしんどい先生のために、発明されたものなのかもしれません。

 前の学校には、ラーメンの大好きな、ラーメン屋のラーメンの汁を、礼儀として全部、飲みほしてしまうような、明るくて、元気な、ラーメン兄弟みたいな方が、何人かいました。全員、太っていました。学校の先生が、太っちゃいけないってことは、まあ、モラル的にも、社会通念的にも、別にないと思います。太っている先生の方が、愛されキャラで、生徒とも、よりフレンドリーに、おしゃべりすると云う傾向は、あるかなって感じもします。が、私自身の中学、高校時代、教育実習も含めて、振り返ってみても、太った先生はいませんでした。まだ昭和で、今のように飽食の時代ではなかったと云うことも、理由だろうと思います。座って授業をしていた先生も皆無でした。肥満も座りも、昭和、平成、令和と、時代の移りゆきとともに増えて来たと想像しています。

 私は、昨年度までバンドの部活の顧問でした。軽音連盟の大会は、座席に座ってlisten toする発表会でした。中1からライブハウス通いをして来た私は、「えっ、マジか?」と、ずっと思っていましたが、今やバンドライブでさえ、椅子に座って聞く時代です。クラシックは、ステージの演奏者も、基本、座っています。バンドのライブも、早晩、座って演奏する時代が来るのかもしれません。

 時代は、スタンディングから座りに移行。テレワークは、それをさらに助長してしまったわけですが、先進国(?)のアメリカのHHS(保健福祉省)は、2018年に「可能な限り、座っている時間を少なくする」ことをガイドラインに明記WHOも、近々、同様のガイドラインを打ち出すと云う風な世界情勢に、実はなって来ています。
「3時間座り、30分立ち、また3時間座る」のと「1時間座り、10分立つの繰り返し」のどちらが、体に良くないかと言えば、3時間座り続ける方が、血圧や血液検査の数値が悪くなるそうです。つまり、こまめに立ち上がることが、大切だと言うことです。

 小学校の授業で、立ち歩きとかする子供、結構います。私もそういう子供でした。が、考えてみると、立ち歩きをする方が、自然で、当たり前じゃないかと云う気がします。故郷の漁村で過ごした小学5、6年の頃、海や山や野原や洞窟で、毎日、遊びました。座って実施するように遊びは、皆無でした。

 私が学校から帰って来る頃の時刻に、中高校生の男の子たちが、駅のフォームのベンチに座って、ゲームをしています。この状態は、やっぱり異常だと、昭和人間の私は、思ってしまいます。ベンチに座りたいお年寄りの方にとっても、超迷惑です(だからと言って、学校にクレームをつけたりはしませんが)。

 スタンディングの机を導入している研究室のスナップが掲載されています。私は、昔から(高校生の頃から)自宅ではスタンディングです。スタンディングのプロと言っても過言ではありません。研究室の机は、机の高さは調節できるようになっています。が、それだけでは不十分なんです。パソコンを打つ時と、本を読む時と、文章を書く時とは、微妙に高さが違うんです。高さをこまめに調節する必要があります。そのために、机の高さをだいたいの所で合わせておいて、あとは踏み台をいくつか用意して、高さを変えます(写真で見る限り、踏み台は準備してなくて、正直、この研究室は、スタンディングに関しては、まだまだビギナーだと思ってしまいました。スタンディングの机は、すでにかなり高い金額ですが、発売されています。が、踏み台の必要性は、まだ考慮されていません。本気でスタンディングに取り組んでいる方は、まだそう多くはないと云うことです。ちなみに、私は、ルーブル全集1と、平山郁夫さんの美術集を、踏み台として使っています。ルーブル+平山郁夫、ルーブルのみ、平山郁夫のみ、踏み台なしの4パターン準備しているわけです。美術集を踏み台にしていることに、多少の罪悪感はありますが、作業の効率をupさせるためには、やむ得ないと割り切っています。 

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