見出し画像

里山移住でもらったお金、出ていったお金// 移住STORY7

移住にあたって問題になるのが、仕事、住まい、そしてお金

今回は、都心部から里山に移住を考えている人が最も気になるポイントの一つ、「お金」について赤裸々にお話しします。
移住の際に問題になるのは、仕事住まい、そしてお金、と言われています。お金については、国、都道府県、地方自治体が色々と支援金や補助金を準備しているので、それらの制度を存分に活用することがおすすめです。とはいえ、補助金や支援金はややこしい条件がつきもの。移住を検討している段階では、自分が当てはまるのかどうかよく分からないと思います。さらに、移住にあたって出ていくお金も、実際にステップを踏んでみないと想像しづらいというのが正直なところではないでしょうか。そんな方々へ、東京から群馬の里山・高山村に移住した私たちファミリーの経験をぜひ参考にしてください。これを読んだ方々が少しでもリアルに移住のイメージ、準備ができるようになりますように……。

山中ファミリーの前提条件

まず、私たち山中ファミリーの前提条件を記します。私たちは2021年10月に、東京都杉並区から群馬県高山村に移住しました。夫はそれまで都内の会社で働くサラリーマンでしたが、移住と第一子の妊娠がきっかけとなり、退職。私が一人で営んでいたワンピースのオーダーメードの事業(Down to Earthアーミッシュワンピースのお店)に参画しました。移住する直前に第一子が産まれ、家族は3人に。
ちなみに、この記事の内容は、2022年7月現在のものです。支援制度や補助金制度は流動的なため、あくまで私たちの経験談として参考にする程度にとどめて頂き、実際の制度はご自身で確かめてくださいね。

もらったお金① 移住支援金100万円

群馬県の移住支援金案内ページからお借りした画像です

移住支援金は、とてもありがたい制度です。国の地方創生事業の一貫の施策ですが、各都道府県ごとに条件が異なるようです。群馬県の場合は以下のような概要です。

東京圏から それ以外の地方に移住して就業・起業する方に、移住支援金を支給するものです。
<移住支援金を受けるための要件>
1、「東京23区の在住者」または、「東京圏在住で東京23区への通勤者」であること。
2、「群馬県内の市町村へ移住した者」であること。
3、地域の担い手として以下の①~⑤のいずれかを満たしている者であること
①支援金対象求人マッチングサイトに掲載された求人に新規就業したこと。(就業(一般の場合)に関する要件)
②地方創生起業支援金の交付決定を受けていること。(起業に関する要件)
③移住前の仕事を移住後もテレワークで継続していること。(テレワークに関する要件)
④内閣府が実施する専門人材事業を利用して新規就業したこと。(就業(専門人材の場合)に関する要件)
⑤転入先市町村がそれぞれ設定する関係人口の要件に該当していること。(関係人口の場合)

私たち①〜⑤のどの条件に当てはまったかというと、⑤の「関係人口の要件」です。この要件は、自治体によって要件がまちまちですが、高山村の場合は以下のような要件が設定されています。

この要件も流動的だと思います。

上記要件の「イ」に該当するということで、私たちは無事に100万円を支援して頂きました。

支援金の使い道は、中古車の購入

100万円って、たいそうな額ですよね。口座に振り込まれた時はさすがにドキドキとしました。「100万円あったら遊び放題じゃーーー♪ 」と思いきや、このお金は中古車の購入で泡のようにはかなく、無くなっていきました。

都心から地方に移住する人の多くは、この「自家用車の購入」というハードルに直面するのではないでしょうか? 都心だと自家用車を持っている人って少ないですから……。
私たちも自分の車など人生で一度も持ったことがなく、移住すると同時にはじめて車を購入することになりました。

右奥にあるファミリーカーを中古で購入

赤ちゃんがいるので、選んだのはファミリーカー。新車を買う勇気はなく、中古車ですが、移住支援金の100万円は一気に飛んでいきました……。支援金だけでは足りなかったので、貯金も切り崩しました。

もらったお金② 創業支援事業補助金

高山村では独自に「創業支援事業補助金」という補助金制度があり、移住に伴いこちらを申請させて頂きました。概要は以下↓

高山村の産業の振興及び活性化を図るとともに、移住及び定住に寄与することを目的として、村内で創業する事業者に対し、予算の範囲内において高山村 創業支援事業補助金(以下「補助金」という。)を交付する

こちらの補助金も、細かい条件があるので気になる方は高山村役場のHPをご覧ください。私たちの場合、事業所を高山村に開設するための費用の一部を支援して頂けました。例えば、寒冷地仕様のエアコン、ワンピースを収納する棚、撮影を行うときに使う撮影スタンドやライトなどを購入しまして、その費用の一部を補助してもらったという内容です。特に、都内に住んでいる時に使っていた暖房器具はエアコンとガスストーブでしたが、高山村は寒冷地に当たるためこの設備だと寒さに太刀打ちできません。新たに強力な暖房器具を揃える必要があったので、この補助金制度にはとても助けられました。

田舎ならではの思わぬ出費

里山暮らしの必須アイテム「刈払機」

以前の記事で、引っ越し費用が想像以上に高くついたことを記しましたが、そのあとも思わぬ出費は続きました。

  • スタッドレスタイヤ 約8万円
    高山村では11月頃から3月くらいまで、スタッドレスタイヤが必須となります。雪が降っていなくても路面が凍結するので、ノーマルタイヤだと危険です。スタッドレスタイヤって意外と高いのですね。車本体だけでなく、冬用タイヤも揃えなくてはいけないことは、盲点でした。

  • 刈払機 約2万円
    田舎の家は広いのがメリットです。だいたい、庭や駐車場がついています。それはとっても嬉しいのですが、春と夏の間の草刈りは結構大変です。手で草刈りをしても良いのですが、草の伸びるスピードに追いつきません。というわけで、こっちの人たちはみんな、刈払機を持っています。まさか自分が刈払機を購入するとは、移住前には想像もしていませんでした。購入前に村民の方々に聞き込みをして、刈払機購入のポイントを教えてもらいました。曰く、1万円くらいの安い機械だと、作業がしずらかったり壊れたりするらしく、2-5万円クラスのしっかりとした刈払機を買うように、とのこと。具体的には、排気量25.4cc以上がベターです。(ここ重要ポイント!)

  • プロパンガス代 約1万円強/
    都市ガスって、本当に安いんですね。知らなかったです。田舎はたいていのおうちがプロパンガス。プロパンガスが都市ガスと比べて割高ということは知らなかったので、請求書を見てちょっと驚きました。同じ時期に都内から移住してきた友人は、ガスコンロではなく電気のコンロにしてましたが、そういうチョイスも賢いなと思います。

  • ガソリン代 約15,000/
    これは高山村だけでなく日本全国どこでも同じですが、移動手段のメインが電車から車に変わったからこそ身に沁みる問題です。ガソリン代、随分と高くなりましたね……(遠い目)。しかも、高山村は山の上にあるので、ガソリン代も下界よりもやや高めです。ガソリンの給油は、山を降りたときに済ますようにして、節約に努めています。

もらえなかったお金 出産祝金20万円

子育ては、何かと出費が多い……

高山村には子育て支援、少子化対策の一貫として、なかなかありがたい制度が整えられています。それが、「出産祝金支給事業」。子どもを産むとお金がもらえるのです。出産祝金の額は、以下の通り。
(1)第1子 200,000円
(2)第2子 300,000円
(3)第3子以降は 500,000円
なかなか太っ腹ではないでしょうか? 山中ファミリーの赤ちゃんは第一子にあたり、高山村がふるさとになります。お祝い金がもらえるのかな? と思いきや、こちらは「出産時前1年以上の期間引き続き本村に居住し、住民基本台帳法の規定により登録を有している者」という条件に当てはまらず、残念ながら貰えませんでした。

支援金や補助金についての私の想い

お金をいくら貰えたとか、貰えなかったとか、このように書いていくと良い印象を抱かない方もいるかもしれません。その人、その世帯によって条件が異なりますし、制度自体が本当にフェアなのか、私自身が客観的な視点で追求・納得しているかというと、そうではないです。もし不快な想い、残念な想いをしてしまった方がいたら、申し訳ありません。
が、「都心から地方に移住する」という、いち家族、いち人物の動きは、その人達だけの問題ではないはずです。小さな動きのようでいて、自治体や都道府県に与える影響は少なくありません。なぜなら、税金を払う場所が変わってきますし、日常生活の費用を使う先も変わってきます。「都心から地方へ」の、人の動きを促すために準備されている補助金、支援金ですので、私は頂いたお金について後ろめたく感じてる部分はないです。
もう一つ言えるのは、移住という動きは決して「儲かる」動きではないです。仕事の変化、つまり収入の変化、住まいの変化が伴うので、大きな負担になるのは間違いありません。給与水準が下がるので、たいていの場合、マイナスになるはずです。私たちファミリーも、夫が会社を辞めているため世帯年収はガクっと減りました。支援金、補助金はその負担を賄うのに十分ではないのです。それでも、少しでも応援があることで、この移住という決断を歓迎してもらえているという安心があります。この安心があるかないかでは、一人一人の行動は大きく変わっていくと感じています。


移住について、色々と書いています。これまでのSTORY1から6の記事も参考にどうぞ^^
高山村暮らしの様子は、Youtubeでも発信しています。

山中麻葉 Maha Yamanaka
1984年生まれ。30歳を機にサラリーマン生活に終止符を打ち、ワンピースのオーダーメードのお店を起業。2021年夏、群馬県高山村に、夫と娘と移住。夢は、小さなアーミッシュ村をつくること。

Down to Earth アーミッシュワンピースのお店
> instagram @shop_down_to_earth
> 著書「アーミッシュカントリーの美しい暮らし」

【お知らせ】
2022年は全国でアーミッシュワンピースの展示販売会を開催します。ワンピースを試着して、その場でオーダーが可能です。ぜひご来場ください。
● 大阪
10月5日(水)~10日(月)大阪府大阪市「阪急うめだ本店」
● 熊本県南阿蘇村
10月 詳細は決まり次第アップデート
● 福岡県糸島市
11月 詳細は決まり次第アップデート

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?