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『18日目』8月6日の日記

私生活がごたつき、5日も空いてしまったし、投稿も出来なかったが一応まだ続ける気ではある。
『僕のヒーローアカデミア』最終話掲載ジャンプ発売ともあって、コミック派の私はXをまともに見れないでいる。どうせだからもし私が公の場で発言すると力のある人間だったら絶対に批判されるだろうことを書こう。
私はこの作品を連載当時は本誌で読んでいた。というか、その前の連載からずっと応援してたし終わるのが本当に悲しかったしギャングオルカ登場の瞬間にガッツポーズした。あと初期のモブに前作キャラがちょくちょく顔出してくれるの嬉しかった。堀越先生の絵の精密さやキャラデザのシャープでわかりやすいことへの関心は既に実績として見てきたのだ。まあ、家庭事情諸々が変化していって本誌を買わなくなったので続きを追いたかった私は単行本を追いかけるようになった。
私は体育祭編の頃からヒーロー社会に疑念を持っていた。ヒーローを職業にした世界は、悪化と衰退しかないのではないかと。敵が居る限りヒーローが居るというのは、ヒーローがいる限り敵は居るということにもなるのではないか、と。体育祭で『洗脳』が個性の子に対して敵に向いてる、は流石に頭の悪い発言すぎる上に、既に歪な社会が見えていて怖かった。そうだ、ヒーローを目指すのは当たり前、みたいな社会にも、気持ち悪さを感じていた。何故? 自らを削って、誰かを守って死ぬのが栄光のようにされることを、虚像を押し付けられることを誰もが当たり前に望む? 終わってるだろ、と。当時は私も若かったので個性の使い方云々は分かっていても、本人が強くなる努力をして、走り続ける覚悟がないとヒーローにはなれないのだと分かっていなかった。この考えの浅さが青いと思う。当時の私、彼らより年下だったし。ステインの登場で嫌に納得してしまったのも助長した。そう、象徴として在り続けるのならば、それに優るとも劣らない人間が台頭してくるまでは在り続けろと。ただそれ以下の人間がヒーローを騙るなと。傲慢で理不尽だ。私もそう思っていたのだから。
最近は「五条悟」という最強のキャラクターを見て、「ああ、こういうことか」と妙に納得したのを覚えている。雨が当たらないからと言って傘を差さない人間に、傘を差す人間くらい居ないと悲しいよな。本人が平気だとしても、それを黙って見ていられない人間は沢山いるよなと、当たり前のように考えられるようになったが。それまではこの社会を作った象徴が崩れ落ちたその瞬間に世界の均衡は崩れ落ちるだろうと思っていたし、敵の登場につれて、ああこの世界一度すべてまとめて滅んだ方がマシじゃないかとすら思った。当時の私はまさか本当に滅びかけるとは思わないじゃないですかヤダー!
閑話休題。私はどうしてもあの社会が嫌いだった。誰も報われない、個性のせいで利用される人間も、迫害される人間も絶対にいる。私はオーバーホールの行いは当たり前に横行するし、私も敵ならばやるのではないかと思った。それくらい、生まれ持ったもので決まってしまうのだと。勿論、それを覆していくから主人公が輝くのだが。それはそれとして、幼馴染が主人公を忌み嫌う理由も高校からならばではあるが、分からなくはなかった。だって、怖いだろう。誰でも持っているのが当たり前の社会でそれすら持っていない上に、少し前までは何もできない、してない人間が自分に届きそうだなんて。個性にあぐらをかかず、ストイックに努力してきたはずなのに、急に隣に立つのではないか、上に行くのではないか、なんて。個性至上主義故の若さがもたらすものだったのだろう。分からないものは怖い。その典型だ。この作品の社会を見る目が変わったのはあるヒーローの死からだったと思う。最期には報われたのだと、次代に繋いだのだとやっと感じとれた。そこからはヒーロー科を応援できた。大分遠回りをした。
最終章に入ってからは単行本が出るたびに泣いている。敵も苦しんだ結果、社会に適応出来ない結果として敵になってしまったり、心が折れていたり。私の視聴しているVtuberなんかは「敵に感情移入出来ない。なぜ出来るのか分からない。敵は敵」と珍しく英雄らしい跳ね除け方をしていたが、私は弱者なのでとても感情移入してしまうのだ。親に失望されてると思い、社会に適応出来ず、手を伸ばすことも下手で。あの世界に生まれたならば、臆病さよりも疎ましさが優って敵になっていたかもしれないな、と思う。ヒーローにせよ敵にせよ市民にせよ、無意味な死はすぐ側にあるのだし。どうせならやりたいことをやるかもしれない。それくらい、道を外すのは簡単で、だからヒーローが必要になるのだろう。強いものがいるなら弱いものもいる。それくらい簡単な話で、困ってる人を助けたい、それが出来なくても優しくしたいという感情だって、当たり前のもののようでかけがえのないものという、ただそういうことをいいたかったのだと。
と、長々と書いてしまった。強者は孤独で弱者は群れるという思想を持った人間の考えることだ。これまで通り鵜呑みにしないで欲しい。
冬に出る最終巻を待ちながら、この夏を乗り切ろう。

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