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ハーフ・オブ・イット

今年見た映画の中で1番面白かったのはパラサイトだけど、1番好きなのはこれかも。

青春を慈しんでる映画が好きだ。
監督の眼差しはどこまでも暖かく、丁寧で、知的。それに寄り添う音楽も画面の色合いもすごく好きだ。

僕らはみんな他人には見せない顔を持っていて、もちろん相手もそれを持っていて、10代の頃なんかは、乱暴に引っ張ると千切れてしまう(夏祭りの風船釣りの糸のような)強度で、その見せない顔同士は、お互いに繋がっている。
一生懸命バランスを取って、力加減を探りながらそれを引っ張り合って、相手の心の形を探ろうとしている。

でも心のどこかで、それを引きちぎって、ポケットに突っ込んだ相手の腕を強引に引き寄せて、抱きしめ合ってみたいとも思ってる。何かが壊れてしまうとしても。

主人公たちの想いは実らなかったかもしれないが、彼らは今、閉じ込めていた心の殻を剥いて、互いに傷つけ合いながら、それを外の世界に晒してみたところだ。撫でる風は暖かく、擦れる砂は痛い。

でも、これからなのだ。
面白いのは、これからなのだ。

2020.6.9

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