代表取締役等住所非表示措置(法人登記の話)
固い言い回しの言葉です。これ10月1日から始まりました。詳しくはこちら。
何のことかと言いますと、法人の登記、例えば株式会社の登記簿には、代表取締役の名前と氏名が載っています。ちなみに代表権のない取締役は名前だけ。
当然ですが、登記事項証明書(謄本)は誰でも取得できます。取得する理由を言う必要もありません。登記というのは、公に誰でも見ることができる、という点に意義があるわけですから当然です。
代表取締役の名前はいいとしても、住所が全部載っているというのは、安全面(いわゆるプライバシー)で問題があるとも言えます。例えば女性が社長で、その女性の住所が公にさらされていると考えると誰しも危ないかもしれないと思いますよね。
また、大会社の場合も同様で、大企業の社長の住所が載っていれば、これまた危険な感じがします。強盗に狙われるかもしれません。
これまでは、代表者の氏名と住所は、法定の「登記事項」(登記すべき事項)ということで、これを拒否することはできませんでした。取引の相手方はこの登記簿を見て、代表者がどこの誰だということを確認することができたので、安心材料にもなっていたわけです。こういうのを取引の安全と言ったりします。
しかし、世の中が変わってきまして、取引の安全よりも、個人の私的情報を守べきだと考える風潮になってきています。取引の安全は、住所が公開されていなくても、いろいろ調べればわかるだろうと考えられますよね。インターネットの普及も関係あると思います。
そんなわけで、商業登記規則が改正されたというわけです。
これ、じゃあ、すぐにでも非公開にしたい、ということで、いつでも申請できるのかというと、そうではなくて、登記をするとき(例えば任期満了で重任とか、住所が変わったとか)に同時にしないといけないので、非公開請求を単独ですることはできないということになっています。ですので、通常の登記申請書の下に付記するような形で申請するようです(記載例を見ると)。
これは、推測ですが、事務処理が今でも多いので、これを単独で認めたら、事務処理がパンクしてしまう!という考えがあるのではないでしょうか?単にめんどくさい、ということかもしれません。
では早く非表示にしたい!というときは、住所を一旦変更するとか、定款変更して任期を短めに変更し、任期満了を早めにしてしまう、などということが考えられます。
あと、気をつけたいのは、住所が100%非表示になるわけではなく、最小行政区画は表示されるということ。○○県○○市、とか東京都港区などという表示は残ります。ここは元々の制度趣旨とのバランスを取ったのだろうと思います。
いずれにしても、こういう制度があるということは知っておいた方がいいと思います。特に女性の場合は、旧姓でも登記できるということも合わせて知っておきましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?