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猪谷さんの靴下を編んだ

昨年末に、前々から気になっていた「猪谷さんの靴下」を編んだ。

「猪谷さんの靴下」とは、過去に「暮しの手帖」に掲載された手編みの靴下のパターンなのだが、考案者の猪谷さんが編み物畑の人ではなかったので独特な表記のため、一般的な編み物表記に慣れていると非常に難解に思え、手を出しにくかった。
数年ぶりに掲載誌を眺めている時、ふと「今ならネットに情報が出ているのではないか?」と思い、早速調べてみると、パターンを解読した方々がテキストでも動画でも発信されていた。ありがたい。
「暮らしの手帖」と有志の方々の記録を頼りに編んでみることにした。

最初のものは、余り糸のみで編んだ。
使用針は7号60cmの輪針。
糸はウール50%、アクリル50%の合太ぐらいのものとウール100%の中細での引き揃えにした。
爪先と踵部分で1~2本追加するのが指定の編み方だったので、どちらも中細を追加した。
ネットの情報では「自立するほどしっかりしている」とあったが、仕様針が太かったのか、それとも糸数が足りなかったのか、自立することはなかった。が、かなり分厚い靴下ができた。

続いての二足目は中細3本引き揃え。
使用針は7号60cm。
ウール75%+ポリアミド25%のソックヤーンと、ウール100%の中細を2本。
こちらも爪先と踵では中細を1本追加した。
前回よりも糸数が増えたので、しっかり度合いが上がったように感じた。
自立はしなかったが、かなり温かく、特に底部分の分厚さが心地良い。

これですっかり「猪谷さんの靴下」にハマってしまい、知り合いに一足編み、自分用に更に一足編み足した。

知人用のものは、一目ゴム編み部分をウール100%の並太と中細で編み、その下からは中細をソックヤーンの中細に変更した。
爪先と踵は中細を1本足しての3本に。
摩耗しそうなFoot部分はソックヤーンのほうが丈夫で良さそうだが、履き口のほうはウールだけでも良いのではなかろうかと思い試してみた。
自分用ではないので使用感がわからず。選択を間違えた。

三足目は5号針で、ウール100%の並太とソックヤーンを中心に、踵と爪先に中細を足した。
並太の糸もソックヤーンも黒が入った派手な段染め糸だったのだが、できあがりはそれほど派手でもない……と思うが目が慣れているだけだろうか。
爪先から編む方法だったのと、使用針を細くして目数調整したので今までとは仕上りが違った。
目数は二足までと同じで良かったかもしれない。フィット感が無くなってしまった。

使用していて感じたのは、安心感と、自然さだった。
冬の靴下売り場に並んでいる機能靴下を二足ほど使用しているのだが、それ以上に温かく、フィット感がかなりある。
足首から脛にかけて減目、増目で調整が入っているのが、足首周りのもたつきを無くしているのだろうか。
分厚さもあるが、布ではない、複数本の糸で編まれているので、それぞれが伸縮して足に寄り添っているのかもしれない。
それと、ウール使用率が高いからなのか、足裏に汗をかいて冷たくなることがあまりないように思う。
私は足の裏に汗をかきやすいのか、普通の靴下だと履いている内にしっとり&ひんやりして気持ち悪くなってすぐに脱いでしまうのだが、今回の靴下にはそれを感じなかった。
普通の手編みの靴下よりも使用針が太いために、丁度いい塩梅の通気性になっているのだろうか。そのあたりも気になるところだ。

三足揃えたことで、ワンシーズンで使い回すのに丁度良い具合になった。
冬場にクロックスでも「猪谷さんの靴下」ならば寒いということもなく、歩いていてズレるということもないので、本当に良いものを覚えた。
履き潰してクタクタになったら、底を繕う楽しみもありそうなので、長く履いていきたいと思う。

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