オーディションを受けるまでの葛藤

こんな私が応募していいの?

私はプロフィールに書いた通り、歯科衛生士をしており、今は正社員で働いています。

朝8時に家を出て、夜8時に帰るという生活の中で、仕事の日に楽器を吹くということは難しいです。その代わり休みの日には2時間は練習するようにしていますが、それもできない時もあります。
そんな状況で、オケやアンサンブルも、そしてモーツァルトのソリストも務まるのか?人前で恥をさらすだけではないか?夢だからといっても、甘い考えではできないであろうと本当に悩みました。

夢の曲ファイル

私がクラリネット吹きとして、いつか演奏できる機会があるといいな。と楽譜を用意して練習している曲があり、ファイルしてあります。
その中の筆頭、モーツァルトとブラームスのクラリネット5重奏曲は、オケの仲間が一緒に演奏してくれて、夢が実現しました。
ブラームスのクラリネットソナタ2曲など、ピアノ伴奏付きの曲は、なかなか実現できません。1人ではできないことなので、練習しながらチャンスを待っている状態です。
一番チャンスがないだろうなと思いながらも、やってみたい夢の曲がモーツァルトのコンチェルトでした。そんな奇跡みたいなチャンスが、手に届くところにあるのに、つかまないのはもったいない、いや、私には無理、その葛藤でした。

背中を押してくれた人たち

悩む私の背中を押してくれたのは、レッスンを受けている先生でした。オーディションを受けてみようかと思う。と相談したところ、先生の目の色が変わりました。おもむろに楽器ケースからモーツァルトのコンチェルトの楽譜を取り出し、「いいですね!私も応募したいくらいですよ。」と話してくれました。先生にとってはいつも楽譜を持ち歩くほど、大切な曲なのだと驚きました。
そして、先生は、応募に必要な伴奏者の手配や、録画するスタジオの予約、伴奏合わせの日程など、さっと決めてくださいました。

そしてオケの仲間や、大学オケのクラ仲間や、現在大学オケでバイオリンをやっている息子に相談したところ、みんな応援してくれて、さらに引っ込みがつかなくなりました(笑)
こんなチャンスはもう一生巡ってこないかもしれない。とりあえず応募だけはしてみよう。と決意しました。

応募までの3ヶ月

ソリストのオーディションは、3楽章の演奏を伴奏付きで録画して送るというものでした。伴奏と合わせるため、勝手なテンポで吹いてはいけないので、メトロノームを使い、確実に指が回るゆっくりテンポから始めて間違えずに通す録音練習を繰り返しました。8分音符=178からなかなかテンポアップできなかったのですが、3ヶ月練習したら急に8分音符=208の目標テンポで吹くことができるようになりました。
ひたすらゆっくり通しをするばかりの練習を聴いていた主人は、「通してばかりじゃない。出来ないところだけ取り出してやればいいのに。」とアドバイスしてくれました。それも少しはやっていましたが、とにかく間違えずに通す練習をスマホで録音し、何十回もやりました。そうやってテンポ感をメトロノームで身体に叩き込んだことで、伴奏ともうまく合わせることができました。
それにしても、何故急にテンポを大幅アップできたのか、自分でもわからないのですが、身体と指が覚えて不安なく吹ける状態になったから、テンポを上げてもできるようになったのかもしれません。

そして、応募!


先生が予約してくれた音響のよいスタジオで、伴奏の先生の温かいご協力のもと、5回録画したうち、一番ミスが少なかった録画を選び、メールで送り、応募しました。
もう、スタジオで演奏できたことだけでも満足。ソリストになれなくてもいいやと思うくらい、素敵な1日でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?