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『ぼくがかいじゅうになっちゃった!』


ぼくがかいじゅうになっちゃった

かいじゅうになんてなりたくなかったのに


ぼくがかいじゅうになっちゃった

かいじゅうにだけはなりたくなかったのに


ぼくはやさしいこになりたかったんだ

ままもぼくに「やさしいこになりなさい」って

そういっていたから

ぼくはやさしいこになりたかったんだ


かだんのおはなにおみずをあげて

「おおきくなぁれ!おおきくなぁれ!」

つまずいてころんでるこがいたら

「げんきになぁれ!げんきになぁれ!」


みんなみんな、はっぴーハッピー

みんなみんな、しあわせしあわせ


そんなときにきまってかいじゅうはやってくるんだ


「そんな事して何になる?」

「やっぱりお前は無能だな」


ぼくはいっしょうけんめいにみみをふさぐ


「そんな事しても意味ないよ?」

「この知恵遅れ」



でも、ぼくはいいかえせない

いいかえしたら、ぼくがかいじゅうになっちゃうから


でも、ぼくはいいかえさない

いいかえしたら、ぼくはかいじゅうになっちゃうから


かいじゅうたちはこころをふみつぶして

どしーん どしーん

かいじゅうたちはきもちをふみにじって

どしーん どしーん


ぼくはじぶんのなかのかいじゅうが

おおきくならないように

ぼくはじぶんのなかのかいじゅうに

のっとられないように


みみをふさいで

じーっと じーっと

あたまをかくして

じーっと じーっと


そんなようすをげんきになったこたちは

なにもせず、こちらをながめている

そんなようすをおはなたちは

なにもせず、かぜにゆれている


ぼくはひとりぼっちで

じーっと じーっと


どしーん どしーん

じーっと じーっと

どしーん どしーん

じーっと じーっと


『戦わないからダメなんだよ』

どこからかこえがきこえてくる

『やられっぱなしでいいのかよ』

そのこえはだんだんとおおきくなる


でも、ぼくはたたかうのじょうずじゃないし

でも、ぼくはかいじゅうになりたくないし


『戦わなくちゃ今のまんま』

ときにはちいさいこえで

『戦わなくちゃ今まで通り』

ときにはおおきいこえで


そのこえははどんどんどんどん大きくなって

ぼくのからだはどんどんどんどん大きくなった


気がついたら



僕はカイジュウになっちゃったんだ



かいじゅうになんてなりたくなかったのに




劇団での企画や、自分の企画の制作費として有難く使わせて頂きます。髙頭祐樹がやりたいことを出来るだけ多く皆さまに届けられるように色々と作っていきたいと思っています。