最近にじさんじやVTuberに興味を持った人にすすめたい、月ノ美兎の短め配信3選
最近のにじさんじの活況を受けておすすめを書くよ
ここ一ヶ月ほど、VTuberグループのにじさんじが話題になることが多くて、これまでにじさんじやVTuberを見てなかった人も興味を持っているみたいです。
海外にじさんじとの交流、志摩スペイン村をバズらせた周央サンゴさん、爆発的に人気になってる壱百満天原サロメさん、にじさんじの運営会社であるANYCOLORの株式上場などなど。
VTuberのファンでありにじさんじのファンである私は活気があって嬉しいです。
にじさんじは、所属タレントも過去の動画も沢山なので、最近興味を持った人が何を見るか迷っている姿も見ます。
そこで、にじさんじの中でも面白さの間口が広い、月ノ美兎(つきの・みと)、通称「委員長」の配信の中から、笑いのテンポと密度がとりわけ高い配信を選りすぐって3つ紹介しようというのがこの記事です。
月ノ美兎さんは、バーチャル女子高生で学級委員長。インターネットどっぷりのオタクノリと、油絵や映像制作を学んだり歌配信でたまの『夏の前日』をカバーするようなオルタナで自由を好む感性、オードリーや藤井隆を愛するテンポのいい話術、私物として手品道具を買っていて人に披露するような豊富なエンターテナー精神が調和しためちゃおもろバーチャルライバー(にじさんじはVTuberではなくバーチャルライバーと名乗る)です。今年のエイプリルフール配信も話題になっていました。
オタクはすぐに「配信全部面白いから全部おすすめ」とか言いたくなりますが、たとえ激ウマ居酒屋でもメニューにオススメマークがついているとそこから一品と自分の好みで適当にチョイスみたいな頼み方がしやすくて助かるわけで、押しつけじゃない指針ってのはあらまほしきことなはず。
カバー画像はにじさんじ公式Twitterのヘッダーに、月ノさんのTwitterにアップされた画像をペタペタ貼り付けました。ANYCOLORの二次創作ガイドライン的に大丈夫だろうと判断して使用します。
チョイス基準について
今回選ぶ際に重視したのは見やすさと面白さ、具体的には以下の3つです。
a.配信時間が1時間程度
b.面白くなるのが早い
c.前提知識が要らない
サンゴさんやサロメさんへの評として言われることと重なる部分もあります。VTuberは日活ロマンポルノやゼロ年代エロゲみたいに玉石混交で表現の実験場な何でもあり分野だと思うのですが、知らない人でも見やすいということに限ればある程度の共通点があるのかもしれません。
それぞれの基準のザックリした説明もしておきますが、本題であるオススメ動画の埋め込み部分まで飛ばしてもいいです。
a.配信時間が1時間程度
VTuberの配信の中では短めです。
まあ1時間でも長いっちゃ長いんですが、オールナイトニッポンとかの深夜ラジオも1~2時間やってるし、トークコンテンツとしてはこのくらいがちょうどいいんだろうな。
月ノさんはしゃべりが魅力なので、画面に集中しなくても、ゲームのレベル上げとか、料理や掃除をしながら聞くのをオススメ。
b.面白くなるのが早い
月ノさんは掴みへの意識とサービス精神が豊富なので、しばしば配信の最初に寸劇をしたり、ゲーム実況で画面を映す瞬間にキャラに変なポーズをさせていたりします。
特に今回は再生して1分以内に喋りだし、4分以内に本題に入るという、面白さの初速に優れた配信を選びました。
この記事はこうやって前置きしていて初速がイマイチな、悪い見本です。
c.前提知識が要らない
VTuberに限らず、活動が長くなったタレントや、グループで活動しているタレントは、過去の活動やグループメンバーとの関係を前提としたトークが増えがちです。それがファンにとっては嬉しいんですが、初見にはよくわからないというアンビバレントがあります。
月ノさんはここに自覚的で、過去活動や同僚を話題に出す時はたいてい軽く説明を入れてくれるんですが、今回は特に前提知識が要らなそうなものを選びました。
オススメ1.『も〜っと!ひとり属性別生放送』:いわばロバート秋山の美少女キャラ版
ここから本題!
最初に紹介するのは、『も〜っと!ひとり属性別生放送』。
萌え属性(死語か?)の口調を真似つつフリートークをするという企画です。
属性は「お色気おねえさん」「アホの子幼馴染」「ロリババア」「シークレット(サムネに出てるが)」を各10分。
これは月ノ美兎のかわいさを堪能する企画……ではない!
芸人で近い芸風をあげるなら、友近、ブルゾンちえみ、ゆりやんレトリィバァ、ロバート秋山などの、誇張したイイ女イイ男キャラをやるコントの美少女キャラ版みたいな配信です。
なので、気楽に笑いやすい。
属性タイムの合間の休憩時間に、それぞれの属性に当てはまるキャラクターとその魅力を自作イラスト付きで解説しており、萌え属性に詳しくない人にもわかりやすく、オタクあるあるとしても面白いというのもいいですね。
ただし、前述のキャラ芸人たちはたいてい真似の完成度を高めに仕上げてきていますが、この配信の月ノさんの萌え属性再現度はかなりガバガバです。
それに視聴者が「はよ次にいけ」「勘弁してくれ」などと辛辣にチャットを送ることでボケとツッコミが成立しているわけです。
TVでたとえれば、狩野英孝のクセがスゴいネタ映像を見ながら、スタジオで千鳥がツッコミを入れている構造に近いとも言えるでしょう。
でもそれだけでなく、そのツッコミを月ノさんが拾って「そんなこと言ってお前ら本当は嬉しいんだろ!」と強弁するのでボケツッコミボケになっていますし、音声だけ聞いていても問題ないようになっています。
漫才のボケツッコミほど一体ではなく、芸人とスタジオMCほど一方通行でもなく、ライブの演者と観客のように断片的な声援だけが届くのでもなく、有象無象の視聴者のツッコミを適切なタイミングで演者が拾ってネタに組み込むというのは、生コンテンツであると同時に観客の反応が文字なのでいくら盛り上がってもネタを遮らないWEB配信の特徴だなと思います。
同主旨の企画は二回目で、一回目も面白いのですが、そっちは活動初期で音質などが悪いので、二回目のこちらをオススメします。
「漫画家の初期作が物語的には面白いのだが、絵柄が古いので初読者におすすめするのは向かない」ってよくあることですが、VTuberの場合はそれが音質とかアプリのぎこちなさに相当するんですね。
ちなみに、この配信の萌えキャラっぷりはガバガバですが、月ノさんは『新年なのでいまから時空を歪めます』や、『★初心者歓迎★月ノ美兎ちゃんのなりきりチャット★』など、本気でキャラクターとしての完成度を高めることもできます。
この2つは多少月ノ美兎のパーソナリティに触れてからの方が楽しめるかなと思ったので当記事のオススメからは惜しくも漏れましたが、どちらも傑作です。特になりきりチャットの方は小劇場演劇みたいなサブカルめいた興味深さがある。
オススメ2.『夏休みの宿題みてこうね』:面白さを分け与える語り口
委員長が夏休みにやったことを絵日記に書いて紹介する……という体裁で、夏以前も含めて、オモシロ体験をイラストつきで語る『夏休みの宿題みてこうね』。
月ノさんは、死ぬまでにやりたいことリストとか、面白そうな施設とかをストックしており、それを体験した感想をイラストつきでトークする配信を時々やっています。
彼女の名物コンテンツの1つである、「イラストレポ雑談配信」です。
話のネタも準備し、絵も準備し、おおよそ1時間にタイムキープしているのに雑談と呼ぶのは謙遜しすぎじゃないっすか、トークショーじゃん、と私は思っています。
そのようなレポ雑談配信の中でも、とりわけ傑作の一つだと私が思っているのがこの配信です。
この配信のトークテーマになっているのは10個。
10個も!? 1時間の配信で!?
月ノさんの雑談配信の中でもこれだけ沢山話題を詰め込むことは珍しく、かつその内容も「話すほどでもなかったやつを一斉放出」とかではなく、面白いものが並んでおり、気合を入れたっぽい雑談回です。
その話題は「遺伝子検査サービスを試してみる」「フグチリ食べてみた」「猫カフェ行ってみた」「パフェのおいしさを知った」「すべりそうですべらないちょっとすべる話」「泥パックしてみた」「執事喫茶行ってみた」「上海でタクシーに乗った」「ダッチワイフ(ラブドール)デリヘルを利用してみた」「お絵描き教室で吹き戻しの絵を描いた」。
コメント欄でどの時間から話しているか書いてくれている人がいるので、気になる話題だけ聞くのもいいでしょう。
一番目を引くであろうラブドールデリヘルが、その後もちょくちょく引き合いに出される鉄板の話なので一番キャッチーかな。
しかし通ぶったことを言わせていただければ、一見他愛の無さそうなパフェの話がとても好きです。
ちょっと紹介してみましょう。
これは、月ノさんはパフェが物凄いご馳走扱いされていることにずっと疑問があったが、でもそれは自分が「良いパフェ」を食べたことがないからかもと思って、タカノフルーツパーラーに行ってみたらパフェの存在理由が分かった、という体験談です。
そのめちゃおいしい桃のパフェを食べた感想が、とても美味しそうで、かつ感動が伝わってきて非常にいいのです。
文字起こしだけでは伝わらない感動のこもった口調、それまで過大評価と思っていた物を自分で体験して確かめようという行動力と好奇心、それでよいものはよいと言う素直さ。めちゃ好きなエピソードです。
これで終わらずに、そのあと「でもピザは、みんなで食べるパーティー感で味が底上げされていて、過大評価だと思う」と言ってリスナーにつっこまれるオチがあるのも月ノさんらしい。
最後の「お絵描き教室で吹き戻しの絵を描いた」というのは、「型破りな表現」についての彼女のポリシーみたいなものについての話です。
VTuberという、しばしば定義論が語られるジャンルのトップランナーの感覚であることも含めて、面白い話です。
音楽家のkzさんが最近も言及するなど、発言から3年経ってもクリエイター精神に響くものがある。
表現の型とはなんぞやという話題は大上段のデカい話になりがちですが、あくまで月ノさんの個人的ポリシーとそれを形作った個人的思い出について語ってるところも好ましいです。
オススメ3.『クソザコ英会話伝言ゲーム』:TVバラエティのフォーマットとかわいさを生かす
この前後編は、『関ジャニ∞クロニクル』というバラエティ番組でやっていた英会話伝言ゲームを、にじさんじ所属のライバーでやってみたという動画です。
これだけ3Dボディだし、生配信ではなく編集済み動画だし、テレビ番組のパロディだし、前編後編があるしで、前述の2つとは毛色が違います。
前提知識が要らないと言ってたのに、おもいっきり多人数参加じゃねーか、とつっこまれるかもですが、これは各ライバーの情報などは分からなくても楽しめると思います。
やっぱTVで人気になるような企画は、出演タレントのことをよく知らなくても楽しめるキャッチーさがあるっすね。
シンプルにバラエティとして面白くてにぎやかで力があるので、あれこれ能書きを述べるより見りゃわかる!
後編まで見て25分という短さや、3Dボディ特有の動きがわかるのもポイント。他参加者が気になったらその人のチャンネルを覗くのもおすすめ。
今回紹介した3つの中で月ノさんの可愛さを一番味わえるのはこの動画だと思います。
彼女は公称151cmと身長低めで、喋る内容がスレたサブカル女っぽいのに仕草は子供っぽいギャップがあるのですが、それがよく出ている。
また、編集は月ノさんなので、そこんところに月ノ美兎の作家性を見出すこともできます。
番外.月ノ美兎はnoteも書く
月ノさんはnoteでも記事を書いています。
他愛のない話やイラストが多めですが、どこか寂寥感のあるユーモアがにじむことも時々あり、『月ノさんのノート』という全部書下ろしのエッセイ本が出ていたりもします。いいエッセイでした。
noteの記事の中で私が特に好きなのが、上記の、月ノさんが熱心なリスナーだった『オードリーのオールナイトニッポン』との思い出を書いた回です。かくいう私も伊集院光の『深夜の馬鹿力』や文化放送の各種アニラジを聞いていた深夜ラジオリスナーでね。
また、当記事で紹介した『も〜っと!ひとり属性別生放送』についての記事も書かれています。
おわりに
以上です!
わかりやすさを重視するために、芸人、TV、深夜ラジオ、バラエティなどを引き合いに出しつつ語りました。じゃあ月ノ美兎やにじさんじがやってるのはそれらの既存メディアの真似事かというと(部分的には頷けるものの)まるっきりそうではなくて、ただの真似事ではないポジティブな意味での節操のなさ、ワンマン芸人ライブとTVショーとラジオとネットとオタク文化とサブカル文化とゲームと出版とアイドルとロックンローラーと映像作家とゲスなものと上品なものとプロとアマと古いものと新しいものと落伍と成功と、とにかく面白そうな活動を自分のセンスで放り込んでこねくり回して焼き上げようという前向きな混沌さであり、それこそが勃興期のジャンルのエネルギーなのだなと思います。
紹介したもの以外でもいいんで、ぜひ月ノ美兎を見て、チャンネル登録とかしといてください。
また、今回は基本的にトーク系で、ゲーム実況や歌などは選びませんでした。
月ノさんはゲーム実況や歌もいいものが沢山あるんですが、それらは次の記事ででも紹介します。ゲーム実況は視聴者各々が好みのゲームで選ぶ導線があるしね。
私はゲームはアマガミとシャニマスとツッコマニアとマッチングアプリで出会い厨してみたと#こっち向いて_めごちーvとジャッジアイズ、歌は『アンチグラビティ・ガール』と『ウラノミト』と『1000年生きてる』と『ねぇねぇねぇ。』とウィスパー歌枠をすすめたいです。ああ、あまり挙げすぎたら圧がありすぎると思いつつ我慢できなかった……でも好きな動画は本当はもっとある……。
また冒頭で言及したサンゴさんとサロメさんもどれから見るか迷ってる……という人に、それぞれ1個ずつすすめるならこちら。
【朗読(実質歌枠)】ええ歌詞をええかんじに読む【周央サンゴ】
歌詞を丁寧に朗読する30分。ウェカピポを丁寧に読むのがこんなに面白いのずるい。
【おバイオ7】BIOHAZARD 7 ✦ をプレイいたしますわ! ✦1【ですわ】
前半30分は日本地図をうろ覚えで埋めるいわゆるバカ日本地図、後半はバイオ7のゲーム実況と、2つの面白さが味わえてサロメさんを見はじめるならこれイチオシ。
最後に関連商品アフィリンク
月ノ美兎、漫画にもなっている。
にじさんじ、所属ライバーの来栖夏芽さんがラノベ作家デビューもしている。
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