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免疫チェックポイント阻害剤の新たな投与経路とは?(4200文字)

先日、「免疫チェックポイント阻害剤」における記事を公開したが、思いの他、良い反応を頂いていたので第二弾の報告として情報開示しています。

過去記事はこちら

この免疫チェックポイント阻害剤は、「抗PD-1抗体」「抗PD-L1抗体」「抗CTLA-4抗体」という系統に分かれており、現在では幅広い癌種でがん治療薬として臨床応用がされています。

これらの薬剤は、もともと本来ヒトが持つ「免疫機能」を用いて、がんを排除しようという考え方から成り立っています。一説によると一日に約5000個のがん細胞がヒトの体では発生するといわれてます。ただしこれはあくまで説であり、ヒトによって大きなばらつきがあるという事が言われています。

本来、癌がなぜできるかというと、ヒトの組織を作るたんぱく質を作り出す遺伝子(DNA)が様々な影響(先天的、環境要因、加齢など)によって変異が折り重なってくることで、異常なたんぱく質が体の中で作り出されることになる。これががんの元にもなるといわれており、これら「間違った設計図(DNA)によって作り出された異物(タンパク質)」を免疫機能が察知して除去してくれるので、がん細胞が作られても健常者はがんを発生することなく駆逐することができていう機序となっています。

この免疫細胞が何かしらの原因で、これらのがん細胞を認知できなくなってしまった場合に、癌細胞が異常増殖を繰り返してガン化してしまうという流れです。

この察知できなくなった免疫細胞に免疫チェックポイント阻害剤が働きかける事によって通常の機能を取り戻し、がん細胞を排除するように仕向ける事ができるようになります。

この免疫細胞の場所をうまく活用して、これらの免疫チェックポイント阻害剤をどのように投与すれば治療効果を高められるのか?という研究が様々な所で検討されてます。コンセプトとしては、いかに治療効果を高め、問題となる副作用(irAE:immune related adversed event)を抑制できるか?という点にあるでしょう。

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