2節 ホーム徳島戦1-1

スタメン

       ウタカ
  宮崎   長谷川   武富
     佐藤   松本
  小林         須貝
    マンシャ  井上  
        河田
ベンチ
渋谷 山本 関口 品田 
鳥海 水野 三平

怪我明けの宮崎、小林が復帰。圧倒的な技術で攻撃のキーマンとなる武富が先発。そして、山本英臣の代わりに井上詩音がスタメンとなる、

守備組織の整備を山本に託していた甲府だが、身体能力に優れる井上を起用したことで更なる崩壊が起きるのか、はたまた機能するのかが注目だ。

【新規先発組】
宮崎は、攻撃面ではボールが足につかない場面もあったが、守備に果敢に走った。長谷川の尋常ではない守備負担が軽減され、長谷川が前を向いてボールをもてる場面が増えたことはとてもよかった。

武富は圧倒的な技術力と戦術眼で、分断しがちな前線とボランチの繋ぎ目として機能してくれた。不利な体勢からでもファールをもらってくれるので、ボール保持がままならない今の甲府にはなくてはならない存在だ。

井上詩音は、圧倒的なフィジカルを披露。カバーリングもよく、常に周りへの声掛けも続けていた。山本英臣から守備の肝を学びとることができれば、マンシャ以上に絶対的な存在になれる。そんな期待ができる選手。そして何より高さ。品田のふわりとしたボールに上半身ひとつ抜け出した高さには度肝を抜かれた。今後の成長も含めて本当に素晴らしい補強。佐久間社長の、浦上に匹敵する補強が彼と言われれば納得感がある。

小林は、経験に裏打ちされたポジショニングや的確なクロス、宮崎との連携などを武器に左サイドに安定と、鋭さをもたらした。ポスト直撃のスーパーシュートも見せてくれた。圧巻としか言いようのないプレーぶり。素晴らしい。

【外れた選手たち】
三浦颯太は、本当に素晴らしい能力をもった選手で、須貝同様に代表に絡んでもおかしくないポテンシャルをもつ選手だと思う。開幕戦で守備面での不出来を監督から叱責され、交代させられ、ベンチからも姿を消した。だが、富士フイルムで甲府の選手の中でいちばん輝いていたのは三浦だ。その攻撃的な能力を活かす方法、守備面での向上を促すこと、そして試合に使うことで甲府の底力は跳ね上がる。小林の壁は厚いが、シャドーやボランチには入り込む隙がある。オールラウンダーの強みを練習から発揮してほしい。

鳥海は、先発からは外れたものの、武富と遜色ないプレーを発揮。重心の低いドリブルを交えてリズムの変化をもたらすなど、途中出場として武富以上の輝きが見られた。宮崎が本調子ではないなか、左サイドの先発としてコンディションの良い鳥海が抜擢されることはあってもよいと思う。

山本は、フィジカル的な部分で当然の不安があるものの、経験と技術に裏打ちされた緻密なプレーと統率力は無二であり、ベンチから局面を絞めに行くクローザーが今季のチームでは最適か。何より若い選手たちに、甲府とは、守備とは、について重みのある指導を行えるのが強み。あらゆる戦術にも深く精通している。オーガナイズがいまだ途上で、コミュニケーションの重みが尋常じゃない現甲府において浮上のキーマンだ。

【マンシャ初ゴール】
今季の攻撃の形として、実を結んだマンシャのゴール。本当に素晴らしいゴールだった。マンシャのインターセプトから湧き上がるように徳島ゴールに迫る選手たち。これは、去年まではほとんど見ることのできなかったもの。リスク覚悟でゴールを全力で奪いに行く。大木時代のマリノス戦のロスタイムのフルカウンターを思い出した。

見ていて本当に気持ちがいい、チームコンセプトが見えた場面だった。

【課題】
経験のある選手たちがスタメンに名を連ねたこと、徳島も発展途上で状態が悪かったことから、強烈な強さをもつ、マリノス、モンテディオ戦のような壊滅的な崩壊は起きなかった。

だが、ボール回収後に不用意な横バスのズレを起点にクロスカウンターを喰らう場面が多く、セットプレーという武器をもたらしてくれた品田もキッカーでもある小林の復帰と自らの横パスによって、ポジションの維持は難しくなったと思われる。

佐藤の負傷があり、品田も現状厳しい。林田、遠藤、荒木ら守備や運動量に長ける選手たちが軒並み負傷離脱していることも痛い。だが、蓮川、野澤、山本、三浦など守備的なボランチとして佐藤のポジションに入れる選手はいる。松本を中心に守備負担が増大するが、武富もボランチは可能だろう。監督の選択にも注目だ。

最大の課題である、プレス時の距離感の取り方について、まだまだボランチと最前線の距離感がよくない場面も多かったため、ボランチ脇に差し込まれて素早く展開された時は崩されるだろう。

その意味では、東京ヴェルディは難敵である。そんな難敵に挑むにあたり、大切なのは監督だけがヴェルディと戦うわけではないという意識。選手、コーチも含めたチームヴァンフォーレがヴェルディ対策をどう考え、どう共有していくかに注目したい。

篠田さんは、調整、モチベーティング、選手の話を聞くことに長けた監督であると聞く。であれば、落とし込みはコーチの裁量を増し、選手からの具申を調整してチームをまとめ、試合に向けてモチベートしてというのがチーム力を高める今季の形だと思う。

篠田監督就任で長きに渡る甲府のフットボールスタイル構築の歴史は終わった。それはこの3試合を見るに、事実である。凍てつく波動をキャンプで施したの如くだ。しかし、選手たちの中に伊藤、吉田の意思は生きている。

ティーチングで学んだ伊藤時代、+コーチングで主体性を身につけた吉田時代。彼らの薫陶を受けた多くの選手たちは関口や荒木に代表されるように、チームに必要なことを発信し、高めていけるようになっている。

監督主導の融合は難しいが、選手が主体となり、篠田サッカーの良いところと、甲府フットボールを融合させることはできる。融合こそが変化を求めた多くの人がもつ理想の姿。

それを追う一年に。
そんな希望をもって応援したい。

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