見出し画像

『奇跡のCOMEBACK!Crossing Switzerland』エピソード3−2

Crossing switzerland 2022 

『奇跡のCOMEBACK!Crossing Switzerland』

エピソード3−2

・第2ENGELBERG〜第3ライフベースLauterbrunnenまで約237km累積標高D±13,359m D-13,025m

目覚めてスタッフと会話をしていると
悪天候でレースが4時間ストップしていると・・・
4時間経過して、天気予報を確認して大丈夫そうならレース続行
悪天候が続けばレースは中止になる模様だと…
寝ている間に、なんてことが起こっていたんだ。

スタッフや選手と雑談や今までの状況のことを話していたら
あっという間に時間が経過した
レース中断から4時間後、天候は少し荒れるが概ね回復するらしいと判断されレースは再開された。

レース再開後、夜明け前AM4時過ぎは真っ暗で雨が降り続いていた。
湖の周りをぐるっと周りなが登っていくルートなのに
男女2人ペアについて行ったら、自分のCOROS時計が警告を繰り返す。
まさかロストだ。
1kmくらいロストしていただろう。
ペア2人にロストしていると伝えても、何言っているの?って感じで
一瞬立ち止まってくれたが、間違った方向に進んでいった。

ボクは、引き返しエイド付近まで戻り再びルートに復帰した。
幸先悪いが仕方ない。知らない選手について行った自分が悪い。
湖畔の周りをぐるっと周りゲレンデを登った。
急登だ・・・
(ゲレンデルートは、基本的に急登・急降り)

夕方見た湖畔の周りをぐるっと一周するのだ

登りきったあとは、山頂付近をぐるっ、ぐるっと回って
一気に降りに突入だ。2,303mから616mまで降りだ。距離は13km。

切株をくり抜いてベンチに!


これだけの下りっていうのは、なかなか暮らしている地域ではないので
脚にダメージがきやすい。極力、脚にダメージが残らない様に走ることと
補給食のことを考えながらエイドへと進んでいった。

眼下に見える街へ


トレイルは、林道やアスファルトなどが多く、テクニカルな岩などは少なかった。
脚が、丈夫な方は走れるトレイルだから時間短縮ができるだろう。



高山植物

Meiringenエイドは、レストランをまがいしている簡易なエイド。
食べるものもは少なかった。
パンやサラミ・チーズなどがあるのでブイヨンスープに浸し
しっかり食べるように心がけた。
次のエイドまで23kmあり、高低差1,318mの山を登りその後約800mほど降らないといけない
かなり体力が必要になる区間だった。

エイドを出てしばらくは、ロードを登りトレイルへ入っていく。
トレイルへ入ると滝がすごい水量で流れていて圧巻だった。


その後、一旦平坦めいたトレイルを通り川沿いを歩いて行った。

川沿いのトレイル


すると、レストランが見えてきて登山者が大勢いた。

ホテルレストラン


ボクは、小さなカフェ小屋を見つけて手作りアップルパイとアイスクリームを頂いた。

立ち寄った小屋


アップルパイは甘さ控えめだけど、すげ〜美味かった。

アイスクリーム
手作りアップルパイ🍎



思わず店主の対応が悪いおばちゃんだったけど・・・
めっちゃ美味しかったよって、伝えたら態度が変わり笑顔でどうもありがとうって挨拶してくれた。





ライフベースで補給出来なかた分を山小屋を利用することでエネルギー不足を補っていた。
また、トレイル脇には、ブルーベリーの実が成っているので先行く選手同様にボクもブルーベリーを🫐摘んで補給していた。


山頂にあったホテル


Grosse Scheidegg1934m 201km(13km登りを終え)を過ぎて降りに入って行った。
傾斜の緩やかな降りに脚のダメージは少ないと思っていた。
時折、ロードを走るのだが
バス🚌の運転があらくクラクションを頻繁に鳴らし煽ってくる
ちょっと恐怖を感じた😥


目指すエイドステーションGRINDELWALDまで残り5kmくらいにさしかかった時だった

突然

ボクは、両膝からトレイルに崩れ落ち転がった・・・

脚に力が入らない

冷や汗が一気に噴き出てきた

大変なことが起こったと自覚した

脚が折れたか?
両脚をさすって確認したが、折れてる感じはない

じゃ
筋断裂か?!
もう一度、脚全体をさすって確認した

ん?!
大丈夫そうな・・・

じゃ、なんで力が入らないだ
焦る、汗は大量にかく💦

なぜ、立てない
トレイルの端に寄らないと他の選手や登山者の邪魔になると思い身体を動かそうとするけど思うように動かせない
いったい自分の身体にどういう事が起こっているのか訳が分からない囧rz
転んでしまった時に脊椎損傷したのか?
手や頭は、動かせる。大腿四頭筋だけがおかしいんだと気付き
腕と上半身でゴロンと転がり何とかトレイルの端へ移動できた

あ〜、これからどうしよ
レースは、もうダメだと思ったら
涙が溢れてとまらなかった🥺
今まで練習したことは…   練習したこ…
絶望に打ちひしがれていた

こんな身体で残り200kmも山を登り降りするのは、とてもじゃないけど不可能だった。
GRINDELWALDエイドまで行くのも自力で行けるかどうかも分からない

持っていたWi-Fi入れて、電話をかけた。
「ごめん、レースを終えてしまう。応援してくれたのに、期待に応えられなくごめん」
そう言って、電話を切った。

あー、やっちまった。
もう、何なんだ
なんでライフベースを通り過ぎてしまったんだ
どんだけ準備してレースに臨んできたんだ
自分を責めまくった

後方から選手がやってきた
どうしたんだ?
ボクのしゃがみ込んでいる姿・大量の汗に気づいて声をかけてくれた。
状況を説明して先に進んでもらった。

ボクは、選手と話をしたことでふと考えが浮かんできた。
ネット検索をして情報を収集した。
また、今の身体の状況を今までお世話になったとこのある整骨院の3人の方々へ
メッセージを入れた。(日本時間夜9時〜10時頃)
すると、直ぐに返信があった。(丁度、起きていた時間でゆっくりされていた。ラッキータイムだった)

脱水症状気味じゃないか?
エネルギー不足じゃないか?
回復系クエン酸系不足じゃないか?

3人共が、怪我したという判断ではない
補給不足を指摘。一人では、不安だったけど3人が同じ回答だったので
残っていたエネルギー系経口補水系を一気に補給し直し
しばらく座っていた。

すると、立てるようになった。
すげ〜
奇跡的なことに感激して
3人の方々へお礼の返信を行い
降りは、後ろ向き歩きで
登りは、普通にストックを使ってエイドを目指して歩き始めた。

一度は、諦めたレース。
なんて奇跡的なことが起こるんだろう
人体の凄さを改めて思い知った。
こうなったら、絶対完走してやるぞーーーーー!って、
気合いを入れ直した。

GRINDELWALDエイドに到着して
補給して、ゴミが散乱していたからプロキングしてから2時間脚をあげて眠った。
起きたら、汚い段ボールが捨てられていた。ボクのプロキングしていた姿がスッタフさんにも伝わっていた
嬉しかった😄
補給して、エイドスタッフさんにお願いしてサロンパス系の塗り薬をもらい
脚にしっかり刷り込んでエイドを後にした。(夜の9時頃だった)

LAUTERBRUNNEN233km地点ライフベースを目指す。区間22km 約1,250m登り約1,533m降る
夜間パートで肉体的にも精神的にキツイ。

PM9時過ぎの街の灯り


正念場だと思っていたが、早々に眠気が襲ってくる。幸なことに幻覚は、そんなに見えない。(脚が、痛いから正気のままだった)
霧が凄く、フラフラになりながら進んでは立ち止まって寝たり、座って寝たり限界を迎えていた。
そして、危険な小河を渡ったり、崖があったり正気になってないと危ない場所が幾つかあった

EIGERGLETSCHER2,351m手前でボクが休んでいると、ポーランド人が声を掛けてくれ
LET`S GO TOGETHER!!!
COME ON、COME ON
誘ってくれて、一緒にLauterbrunnenライフベースを目指すことになった。
このポーランド人と話をしていると妹さん夫婦が日本にいて、日本に行ったことがあるよって話になり盛り上がった。
彼は、漫画が好きでワンピースを読んで面白かったって話していた。
彼のおかげで、濃い濃霧の中で迷ったりしたけど協力してルートを打開出来てなんとかライフベースへたどり着いた。
ボクにとって彼は、このレースの恩人の一人だった。
名前を忘れてしまったけど感謝している。

まとめ
・知らない人のあとは付いて行ってはいけません。
・人体の回復力は凄い。
・簡単には、諦めない。執念で打開していく気持ちを持ち続ける
・夜間パートは、気軽にナンパしてもらう
・プロキングは、世界共通だ。人の心を動かせる。

エピソード4へ続く

よろしければサポートお願いします。これからの活動費に充てさせて頂き、更なる良い情報をお届け出来るように頑張っていきます