建築士の葛藤

私は工務店にて住宅をメインに設計したり、工事の管理をしたりしています。そんな葛藤を書いていきたいと思います。

能力不足

お客様と打ち合わせをしていると、「こうしたい!!」「あーしたい」という要望に応じなければなりません。でも、構造上無理であったり、法規的な問題で無理であったりする場合もあります。「打ち合わせの場はしらけます」(泣)

他の方法で解決できる能力があれば問題ありませんが、私にはその能力がありません。あれも否定、これも否定、そんな時に建築士としての無力さを感じることがあります。

現場ファースト

私は現場の工事管理もしているので、現場での施工のやりやすさも考慮しながら考えてもいます。この間職人さんに「職人がやりやすい方法で客に提案しろ!!」と言われました。何故職人さんファーストで物事を考えなければならないのかムッときました。あくまでも私のお客様は建て主様であるので、使い勝手や、見た目、耐久性などを優先して物事を考えています。でも、日頃やっている職人さんの苦労も知っているからそこに葛藤が生じます。

引き出しの少なさ

私は確認申請に出す設計図書以外にも大工さんなどに渡す細かい図面(施工図)も書いています。こうやって全部1式自分で書くことで、全体的に納まりがよく、整合性の取れた図面が出来上がります。その反対に方法が単一化してその方法が果たして本当にいいのか?疑問になることは多々あります。引き出しが少なすぎるんですよね。心の奥底では常に工事のことを意識して作っています。臆病になるんです。何を最優先しなければならないのか葛藤します。

オーバースペックな建築士という資格

建築は大変幅広い学問です。「人間工学や環境工学」、「電気・設備」、「法律の知識」、「構造や建築材料の知識」、「現場での施工」などの幅広い知識が必要です。

建築士試験はこれらの幅広い知識を問われます。建築士は建物を計画して設計するのが仕事ですが、デザインや機能性だけを重視して、「構造や法規のことは全く知りません」 では困ります。最低限の知識はやはり必要です。ただ、それはあくまでも最低限の知識なので実務では全く役に立ちません。だから、実務では分業制になっていて、それぞれの分野で経験を積みながら専門性の高い業務をします。

ただ住宅などの小規模な建物を扱う人は、この幅広い知識の方が大事だったります。それでも得手・不得手があり自分の能力のなさを痛感すること多いです。建築士は何でも知っているようなことを思われますが、そんなことはありません。少なくても自分にはそうです。経験を積めば積むほど、その資格が遠く感じる毎日です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?