天ぷらとはどういう料理か

揚げ物として認識されている天ぷらですが、どちらかというとその本質は蒸し物に近いとされています。衣というコーティングをした上で高温の油の中に食材を入れることで、食材を衣の中で包み蒸しているのです。

この調理過程を通じて食材に適度な火を入れつつ、余計な水分を抜き取るのが天ぷらの料理としての真髄だと言われています。

この調理工程のメリットとして、淡白な食材をみずみずしく仕上げられる事があげられます。脂身の少ない食材は火を直接入れると、どうしてもパサパサしてしまい美味しく仕上げられないのに対し、天ぷらは衣という外套があるがゆえに適度な水分を保って仕上げることが可能です。


本当に美味しい天ぷらがどういうものなのか述べると、例えば海老なんかは生で食べた時では絶対に味あえない「甘み」が引き出され、穴子のような皮目に脂がのった食材だと、ちょうど脂がある部分が「クニッ」とした独特の食感が生まれます。野菜などではまるで天然のジュースのような旨味の汁が口の中にほとばしります。


この3つの美味しさが天ぷらの真骨頂であり、フライやフリットといった他の揚げものと一線を画する部分です。


これらはいずれも揚げるという調理技術以外で演出することが極めて困難な旨味であり、それが味わえるから天ぷらを食べにいく価値があると言ってもいいでしょう。

天ぷらのコースは天丼と比較して値付がだいぶ高いですが、一品一品こういった食材ごとにおける旨味を引きだすという技術料ゆえの値段なのでしょう。これをキチンと演出できる職人が少ないのが難点ですが・・・


本物の天ぷらを食べると、揚げるという調理工程を通して食材がここまで美味しくなるのか!と感動しますよ。

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