身体のリセットボタン
リセットボタンという便利なものがある。ゲームやパソコンなどに搭載されたものだが、ひと度それを押せば何でも初期化する。
初期化というと、面白いのが身体である。人間の身体は単純にエイジングを重ねるだけで、すり潰れていくだけのものだと思われていた。
この事に否を唱えた有名な研究がiPS細胞で有名な山中因子である。もともと、身体の細胞というのは文化はすれど、逆行はしないと思われていた。しかし仔細に調べていくと、一定の条件が整えられると、身体はリセットする。
例えば睡眠。人間はどんなに頭が疲れたとしても、一晩寝れば大抵の場合スッキリする。これは何も休んで疲労が回復したという単純な話でもない。実は睡眠は脳のゴミ掃除としての機能があり、キチンと寝ると脳はきれいに掃除される。
脳の機能不全として有名なのは認知症だろう。認知症になると、脳の中にアミロイドというタンパク質が沈着する事が知られている。
かつてはアミロイドは一度沈着したら取り除けないと思われていたのだが、実は最近は沈着したアミロイドも再び生体反応にて取り除かれるという事が知られている。
このように睡眠はとても有益な擬似的な身体リセットボタンなのだけど、じゃあ寝れば何でも解決するかというと、ことはそう単純ではない。
単一の何かをすれば全てが解決するという方程式は残念ながら人間にはない。しかし…それでも複数の有益な行動というのは知られている。有酸素運動しかり、今回話す断食(ファスティング)もそうだ。
断食というと、なにやら苦行じみたもののように思われる人も多いだろうが、実は断食はキチンとお作法にのっとってやれば厳しいものではないのだという。
統計によると、一週間程度にわたる断食経験者の75%は再び断食をやりにくるんだそうだ。ちなみにこれはディズニーランドのリピート率とほぼ同様である。つまり…断食はやってみる前に思うシンドさとは打って変わって、経験したらヤミツキになる何かがあるのである。
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