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Jalen Ngonda, Ralphie Choo...今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-34

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Jalen Ngonda

アメリカのメリーランド州・ワシントンDC出身で、現在はUKのリバプールを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Jalen Ngondaがデビューアルバム『Come Around and Love Me』を名門レーベル〈Daptone〉からリリース。既にもうこのアルバムを聴いてゾッコンになっている人も多いのでは無いでしょうか。
70年代から80年代のモータウンやクラシカルなソウルを想起させる、煌びやかで深みのあるサウンド、そして甘美で艶やかな歌声に酔いしれてしまう。一瞬聴いたとき70年代の名盤と時代錯誤もしてしまうのではないかという、圧倒的な音作りとレトロな音質には驚いてしまいます。彼の歌声もきめ細やかでシルキーなファルセット・ヴォイスから、ソウルフルで心を揺れ動かされる力強さまでを持つレンジの広さにも惚れ惚れしてしまいます。さらにドラマティックなストリングスや渋さ溢れる金管楽器のアレンジ、心踊るパーカッションの数々。隅々までこだわり抜かれたこのアルバム、今年の個人なベストには間違いなく入りますね。しかしこのポップさを追求したのは彼の意図的な意志も含まれているらしく、もっと前衛的で自分の好きな音楽を詰め込みたい作品を作りたいとインタビューで語っています。今作をポップに仕上げた目的としては下記の理由があるらしいです。それを聴くと今後より彼が次作でどんなアルバムを作るのかとても楽しみです。

"あまり頑固になりすぎないようにしているんだ。もし自分を貫いた路線に進んだら、アルバムはきっとサイケなものになっただろうね。特に最初に聴かせるアルバムとしては、あまり前衛的なものにしたくないんだ。"

DIY Magazine


Ralphie Choo

スペイン・マドリード出身のSSW/プロデューサーJuan Casadoによるソロプロジェクト、Ralphie Chooがデビューアルバム『SUPERNOVA』をリリース。作品にはMura Masaをはじめ、Paris TexasやWetまで、ジャンルを超えたアーティストが客演で参加しています。彼を知ったのは去年Instagramを経由して見つけて、その時以来謎のアーティストとして追っていて、個人的には念願の待望アルバムとなります。まさかMura Masaとかとコラボするとは思ってもいませんでしたが、彼の作り上げるサウンドはかなり先進的でエクスペリメンタルに満ちた音楽性を聴くとそれも納得。2019年にRosalíaとOzunaの「Yo x Ti, Tu x Mi」の独特なリメイクをBandcampに出して以来、徐々に注目し始められたというアーティストです。
スペイン出身というのもあり、フラメンコのようなラテンミュージックをベースに、グリッチやインダストリアル、ダンスミュージックに、ヒップホップ、アンビエント、ポスト・クラシカルまでも取り入れた、摩訶不思議な音楽世界を今作で表現しています。彼はスムースなラップから優美でとろけるような美声も魅力的です。ArcaからからJames Blake、Mura Masa、ROSALÍAなど、最近のポップスの橋渡しとなるような稀有な存在かと思います。


Dayo Bello

このブログで紹介するのは初ですが、以前2018年の個人的なベストEPにも選出したサウス・イースト・ロンドンを拠点に活動するSSW、Dayo Belloが新作EP『Outside』をリリース。彼は数々の有名アーティストを輩出してきたBRIT School出身で、Rex Orange Countyとは同期というアーティストで、まとまった作品を出すのは2018年の『360』以来。
やはり彼の特筆すべき点は、神々しく蜂蜜のように甘い唯一無二の美声。そこにソウルやR&B、ジャズなどが織り交ぜた、しっとりとしたロマンティックで流麗な音楽と共に溶け合っていきます。心に平穏を与えてくれる彼の歌声はスペシャルで、ミニマルでシンプルなサウンドだけでも聴き入ってしまいますね。今後も彼の活躍は楽しみにです。


Allen Anjeh

カメルーン出身で現在はデンマークのコペンハーゲンを拠点に活動するアーティスト、Allen AnjehがデビューEP『Ó mmɛ ne’』をリリース。収録楽曲の「Once In A Million」は作曲にAzekelが参加しています。
ネオ・ソウルやジャズ、ダブ、アフロミュージックなどを混ぜ合わせたスムースで魅惑的なサウンドに、彼女の優雅でメロウな歌声が融和する作品に仕上がっています。トロピカルなムードを醸し出しているパーカッションのアレンジも光っていて、それがまた魅力的です。


Joey Valence & Brae

あまり日本では騒がれていないけど、アメリカのペンシルベニア出身のヒップホップデュオ、Joey Valence & Braeはご存知だろうか?彼らはついこの前にデビューアルバム『PUNK TACTICS』をリリースしたばかり。2021年に自分たちベッドルームで作りはじめてそれを発表し始めたら、TikTokを筆頭に各所で話題になっている2人組。正直1曲目からBeastie Boys丸出しのサウンドではあるのですが、楽曲を追っていくごとにどうやらそうではないらしい。
90年代のオールド・スクールなブレイクビーツに、パンクやダブステップ、レイヴ、UKガラージ、ドラムンベース、ゲーム音楽など、彼らの多様なカルチャー的な背景を詰め込んだ音楽性には驚きました。さらにはOdd FutureからBROCKHANPTON的な現代的に要素も絡めたトラックもさすがの一言。Beastie Boys的なパンクとヒップホップを組み合わせたポップさから、The ProdigyのUK独特の中毒性を組み合わせたというような、独創性が彼らの魅力なのかも知れないです。とにかく両者のメロディアスで耳に残るラップのフロウも心地よく、アルバムの曲を追うごとに彼らの世界観に引き込まれていきますね。

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