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Yumi Nu,Léa Sen...今週のおすすめ 5best Songs:2022-21 | abstract pop

なんか5月は毎週リリースラッシュで全く追いつかない…じっくり聴かせくれ…と思いつつも、耳は最高に幸せな日々を過ごしています。
今週は特に個人的にも待望でもあった、LA拠点のSSW、Charlie Hickeyがデビュー作をPhoebe Bridgersのレーベル〈Saddest Factory〉からリリースしました。彼のEPは去年の個人的なベストEPにもセレクトしました。
柔和でフォーキーなサウンドに、彼の優美でメロウな歌声によるポップなメロディーが溶け合った快作でしたね。Elliott SmithからPinegroveへと繋がるような叙情的な作曲センスはずば抜けていました。

それでは今週の個人的なおすすめ新人アーティストを紹介していきます。
「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Yumi Nu

NY拠点に活動するアジアにルーツを持つモデルでありシンガーである、Yumi NuがデビューEP『hajime』をリリース。モデルとして世界的にもかなり評価されており、数多くのランウェイを歩き、アメリカと日本の『Vogue』の表紙を飾ったことでも有名です。ちなみにSteve Aokiが叔父らしいです。そんな彼女が発表した今作は、他人の判断に縛られない、世代間のトラウマから癒す、堂々とした存在感を示すといった彼女が何年も考えてきたモチーフを詰め込んだものとなっているとのこと。タイトルは彼女の祖母の人生の自伝的なものを読んだときの最初のページに"Hajime"という言葉を見かけてそこから取ったそう。
音楽的にはネオ・ソウルやR&B、ベッドルーム・ポップなどを織り込んだ、滑らかで落ち着きのあるサウンドに、彼女の妖艶で透明感あふれる美声が重なり合った極上のものになっています。水面に漂うような独特な浮遊感も最高です。特に彼女の神秘的で優雅な歌声は天にも召されるようなほど美しいです。


Léa Sen

フランス出身でロンドン拠点に活動するプロデューサー/SSW、Léa SenがデビューEP『You Of Now, Pt .1』をリリース。2019年にロンドンに移り住んだそうですが、楽曲を発表してすぐにKwake BassやWu-Luの耳に入り、世界が広がって行ったそうです。そこから彼女は昨年のJoy Orbisonのアルバムに客演で参加したり、Nilüfer Yanyaのツアーに参加したりと、既に界隈ではかなり注目されているアーティストです。個人的にはOkay Kaya、Tirzah、ottaなどに続くような才能あふれる音楽家だと感じました。
そんな彼女の作り上げる音楽は、アンビエントやエレクトロニックミュージック、R&B、フォーク、インディーなど様々なジャンルを横断したもので、彼女の独創性あふれる音楽は驚きです。荘厳さや奥ゆかしさのある音像によってメランコリックでダークさを纏いつつも、アンニュイで優美な彼女の歌声が加わることで、一筋の光が見えるような希望も感じられるテイストに仕上げています。Alex GとBon Iverを掛け合わせたような、シンガーソングライターのフォーキーさと幽玄な電子サウンドを持ち合わせた最強なアーティストなのかもしれません。


Tamzene

スコットランド出身のSSW、TamzeneがデビューEP『Details』をリリース。私自身、彼女を2019年のThe Great Escapeのライブで見ていて、その時から「最高の歌声だ…」と思って注目していたのですが、悲しいことにそのときリリースしていた楽曲がストリーミングサイトから消えていた…。
そんなことはさておき、彼女はAretha FranklinやEtta Jamesなどのクラシック・ソウルに影響を受けているようで、その片鱗がそれぞれの楽曲で感じ取ることができます。繊細でシルキー、かつソウルフルな美声と、柔和でシンプルなサウンドが絡みった叙情的な音楽に仕上げています。楽曲それぞれで、ピアノやオルガン、アコギ、ストリングス、アンビエントサウンドなど極力ミニマルに抑え、彼女の壮大な歌声にフォーカスしたサウンドデザインになっているのも個人的にはグッときました。


fanclubwallet

カナダ・オワタ拠点に活動する​​Hannah Judgeによるソロプロジェクト、fanclubwalletがデビューアルバム『You Have Got to Be Kidding Me』をリリース。彼女はGarageBandで作曲し始めたのがきっかけで、その後友人とバンドを組んだりして、いまのソロに落ち着いたとのこと。
個人的にも久しぶりに良質なベッドルーム・ポップ・サウンドに出会えた感じで、全曲通してとても親しみやすいポップなメロディーと、彼女の甘美で心地よい歌声の組み合わせが最高です。程よいローファイなギターやドラム、煌びやかなシンセが合わさり、気持ちのいいインディー・ポップ作品に仕上げており、少しレトロなテイストが絡み合っているのも◎。


kelz

ベトナムにルーツを持つカルフォルニア・オレンジカウンティーを拠点に活動するプロデューサー/マルチ奏者のKelly Truongによるソロプロジェクト、kelzがデビュー作『5am and I Can't Sleep』をリリース。○代目齋藤飛鳥涼さんのツイートから知ったアーティストなんですが、海外のメディアでほとんど取り上げられていないけど、素晴らしいインディーサウンド奏でるアーティストなんですよね…。
ノスタルジックで淡い電子サウンドに、ドリーミーで浮遊感たっぷりなインディーサウンドが折り重なった多幸感あふれる音楽を奏でています。仕上げに彼女のたゆたう儚げなウィスパー・ヴォイスが溶け合うことで、もうインディー好きを殺しにかかってますね。こんなの最高以外の何者でもない…。
個人的にはMen I Trustみたいな切なく淡いドリーム・ポップに、Vegynみたいな儚く叙情的な電子音楽がブレンドされた才能あふれるアーティストだと感じました。深夜の夏のドライブとかに合いそう。


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