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abstract pop | Christian Alexander, Miso Extra, yunè pinku...5 Best Songs:2022-13

「abstract pop」では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Christian Alexander

イギリスの北部の小さな町、プレストンより現れた、ローファイベッドルーム・ポップを奏でるSSW、Christian Alexanderが3年ぶりとなるアルバム『I Don't Like You』をリリース。2019年のデビュー作『Summer '17』でBROCKHAMPTONのKevin Abstractはその才能に気付き、すぐにコンタクトをとり、そこから彼はKevinとともにBROCKHAMPTONでコラボレーションしていきました(実は2020年リリース予定だった幻のアルバムの収録曲で、Ryan Beattyとの客演でChristian Alexanderも入っている予定だった「twisted」はお蔵入り…でもインターネットの海に音源は残っているんすよね…)。そして時は4年経ち、とうとう待望のアルバムをKevinのレーベル〈VIDEO STORE〉から発表ということで、もう個人的にはやっと本当に待ちに待った作品なんですよ。
音楽的な内容もマジで最高でしたね。彼の今までのアコースティック・ギターのシンプルなローファイなベッドルームのスタイルを残しつつも、叙情的でダイナミックなポップス展開の楽曲から、よりサウンドも上質になりながら、ストリングスやアンビエントを付け加えていくことで、今まで彼になかった音の厚みが楽曲それぞれに生まれていました。彼の魅力はクセのある甘美な歌声なんですが、それを平熱なまま歌い上げるソウルフルなフロウは今作でより磨きがかかっていて、プロデューサーのRomil Hemnaniマジで最高の仕事してる…とも思いましたね。本当に今年のベストアルバムです。


Miso Extra

去年の8月で既にこの企画で紹介済みですが、日本にもルーツを持つロンドン拠点に活動するアーティスト、Miso ExtraがとうとうデビューEP『Great Taste』をリリース。Arlo Parksのマネジメントを行うBeatnik Creativeから発表しています。彼女は各音楽メディアからも注目されていて、最近よくいろんな場所で見かけるようになりました。作品にはNiNE8コレクティヴにも所属する、Nayana IZがフィーチャリングで参加しています。
"Misoverse"と呼んでいる日本語と英語を駆使した斬新な歌詞に、ピッチアップやピッチダウンさせた歌声が行き来する、とても奇妙な世界観を作り出しています。気怠げで囁くようなフロウも非常に独特で、それに重なり合うようにオールドスクール的なトラックから、R&Bやファンクを織り交ぜたグルーヴィーな曲、メランコリックなエレクトロポップの曲など、アブストラクトなトラックもまた素晴らしいですね。ASMR的な音色の仕上がりも特徴的ですし、個人的にも今までにないような独創的な音楽だと思います。これからの活躍も非常に楽しみです。


yunè pinku

マレーシアとアイルランドにルーツを持つロンドン拠点に活動するプロデューサー/シンガー、yunè pinkuが待望のデビューEP『Bluff』をリリース。世界の各メディアや日本からも期待されている新人アーティストとしてよく見かけるようになりましたね。そのきっかけとも言えるのが、以前この企画でも紹介したLogic1000の2021年の作品での客演がきっかけです。その他にもJoy OrbisonのBBCの番組でミックスを流したりと既にエレクトロニック・ミュージックシーンでは一目置かれた存在でした。
テクノやハウス、ダブステップ、UKガラージ、ブレイクビーツ、レイヴなどなどクラブミュージックのさまざまなビートを彼女独特のセンスで組み合わせ、淡く煌めきつつもメランコリックなサウンドに仕上げています。彼女のアンニュイな歌声も相まって、少し哀愁漂いつつ、多幸感溢れる魅惑的な作品となっています。またジャケットやビジュアルなどのデザイン性がY2Kっぽさがあるのもyunè pinkuの独創的な部分でもあります。まさに深夜のダンスフロアで踊り明かしたいやつでマジで最高ですね。
去年からPinkPanthressやNia Archiveなど本当にUKのエレクトロニックミュージックの盛り上がりはすごいです。


cookii

オーストラリアのメルボルン拠点に活動するLucian BlomkampとRosebud Leachによるデュオ、cookiiが新作『popstyle』をリリース。もともと正体不明アーティストで、2020年に発表したシングル「coca cola」と「love yourself (spend forever)」がスマッシュヒットで多くのリスナーを魅了して、今回の作品を機にビジュアルを明かしたらしい。
彼らの音楽的な魅力は、100gecsやunderscores的な2000年代のポップ・パンク的なバンドサウンドに、グリッチの音楽性を織り交ぜた目まぐるしいポップサウンドにあります。煌びやかで鮮やかな電子サウンドと、パンキッシュなギターサウンドのマッシュアップは非常に大胆で、どちらかというとバンド的なアプローチに重きを置いている音楽性が、彼らがシーンでも一目置かれる存在なのでしょう。


Frances Baker

アメリカのナッシュビル拠点に活動するシンガー・ソングライター、Frances BakerがデビューEP『Frances Baker』をリリース。彼女は既にArlo ParksのUKツアーでオープニングアクトも務め、さらにはArlo Parks自身も彼女の楽曲がお気に入りであることを公言していて、それによってかなり注目されている新人アーティストでもあります。ちなみに彼女もArlo ParksやMiso Extraと同じくBeatnik Creativeからのリリースです。 最近のBeatnik Creativeの動きはすごいですね。
そんなお墨付きでもありつつもしっかりとその実力は健在で、楽曲を聴くとわかるように、優雅でソウルフルな美声に虜になること間違いないでしょう。少しハスキーで伸びやかな歌声はとても個性的で、そこに絡み合うように、80年代的なR&Bサウンドやニューウェーヴに、現代的なポップのエッセンスを加えたノスタルジックな音楽がまたすごくいいですね。


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