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abstract pop | Kumo 99, Gretel Hänlyn, Ogi...5 Best Songs:2022-19

今週もまた先週に続いてリリースラッシュでしたね…。Arcade Fireも大復活の超大作だったし、フェスで観たいですね…。
個人的にはWarpaintの新作は、マジでやばかったと思いました。彼女たちの作り上げてきた音楽性をさらに昇華し、今までにない磨き抜かれた透き通ったインディーR&Bみがあって最高でした。
さらにSigridもさらなる高みを駆け上った2枚目もかなり聴き応えがありましたね。これからの朝にピッタリな仕上がりでした。

それでは今週の紹介にいきましょう。「abstract pop」では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Kumo 99

先週のリリースの中で個人的に大注目していた、エレクトロニック・デュオ、Kumo 99が新作『Body N. Will』をリリース。彼らは、日本をルーツに持ちLAで活動するAmi Komaiと、〈Ninja Tune〉からソロアーティストShuttleの名義で出したり、元Passion Pitのメンバーという異色の経歴を持つNate Donmoyerによる2人組です。しかも彼らはApple WatchのCM楽曲にも起用されています。
そんなスーパーコンビの彼らが作り出す音楽はマジで最高の一言に尽きる。ボーカルのAmi Komaiの日本語によるアンニュイでエキゾチックなフロウに、Nate Donmoyeが作り出す様々なダンスミュージックビートに、パンクやハードコア、グリッチの要素も組み込んだ次世代のレイヴ・ミュージックを作り出しています。まるで近未来のダンスフロアにいるみたいで、UKガラージや2ステップ、ダブ・ステップ、レイヴ、ハウスなどを縦横無尽に行き来しており、楽曲によってその多彩なムードを存分に味わうことができます。もう何周もしてしまうほど中毒性の高いもので、久しぶりにこんな最高なアルバムに出会ったかも知れない、、、。


Gretel Hänlyn

ロンドン拠点に活動するSSW、Gretel HänlynがデビューEP『Slugeye』をリリース。収録曲のM1,2,6がMura Masaがプロデュースで参加しています。ちなみにアーティスト名は、ドイツ人の大叔母と先祖のドッペルゲンガーという架空のストーリーにちなんで付けられたものらしい。
そんな幻想的な架空の名前のように、彼女の作り出す音楽は、幽玄でメランコリックな世界観を作り出しています。NirvanaやNick Cave、The Velvet Undergroundに影響を受けたという彼女は、ポスト・パンクやグランジ、ゴシック、アンビエントなどを巧みに組み合わせ、退廃的なムードの中に独特なオルタナティヴ・ロックサウンドを奏でています。さらに彼女の歌声は堕天使のように物悲しくも透明感のある美声で、その絶望の中にも神々しさを纏っているような声は唯一無二ですね。というのも彼女自身、10代の頃に横隔膜の筋肉を失う病気で入院したとのことで、一度は歌えなくなったそう…。そこから回復し、自分自身のボーカルスタイルを探究した結果、このような歌声になったそう。そんなストーリーも合わせて聴くとより彼女の歌声の素晴らしさがダイレクトに伝わるかもしれません。確実にスターになると思います。


Ogi

ナイジェリアをルーツにもち、シカゴで生まれ育った新星のR&Bアーティスト、OgiがデビューEP『Monologues』をリリース。現在Snoh Aalegraと共にツア中とのことで、既にZane Loweなど含め、さまざまなメディアでも注目されている中でのリリースとなりました。
シルキーでソウルフルな美声が特徴的な彼女は、その洗練された歌声を武器に、R&Bやネオソウル、ジャズなどをブレンドさせたスモーキーで優雅なサウンドに乗せて、滑らかでメロディカルな音楽に仕上げています。ベース音やリズムもずっしりと体にくるグルーヴィーな出来となっていて、そこに彼女の上質で研ぎ澄まされた歌声が密接に重なり合い、結果的に多幸感あふれる音楽になっているのが最高なんですよね。そこ知れぬOgiの美声の才能に今後も要注目です。


Wallice

LA拠点に活動するアーティスト、Walliceが新作EP『90s American Superstar』を〈Dirty Hit〉からリリース。今作もmarinelli(この企画で以前紹介していますので併せてぜひ!)が全曲プロデュースしています。また今作はユタ州の祖父の家に訪れた際に1990年代の映画のビデオが入った引き出しを見つけたそうで、そこから着想を得て今作を制作し、セレブな生活を仮想した作品になっているとのこと。
疾走感あふれるリズムに、グランジやオルタナ、パンクなどを組み合わせたサウンドが重なり合った、まさにタイトル通りの"90年代"を感じる作品に仕上げています。気怠げだけど可憐な歌声も特徴的で、パンキッシュなサウンドに彩りを与え、ポップな質感を醸し出していますね。


Kisskadee

LA拠点に活動するマルチ奏者/SSW、Kisskadeeが新作アルバム『Black Hole Era』をリリース。
カラフルな花々が色鮮やかに一面に咲き誇っていくような華やかさと、万華鏡のようなサイケデリックさを併せ持ったチェインバーポップに仕上げています。作品全体的に不穏なローファイサウンドがありつつも、そこにオーガニックなムードや彼女の甘美で包み込むような温かい歌声で、面白い均衡を保った音楽を奏でています。どうやらこの作品は、恐怖、魅惑、侵食、消滅といった彼女のリリシズムを通して、彼女本人の歴史や精神の深層部へと探求していく作品となっているとのことで、そのちょっとした不協和音やファンタジックな音像は、そういった自身の感情を表現しているのでしょうね。作品通して聴くと、アーティスト自身の宇宙空間を彷徨っているような妙な浮遊感があって、そこは非常に魅力的です。


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