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Raquel Martins, strongboi...今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-6

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Raquel Martins

ポルトガル出身で現在はロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Raquel Martinsが新作EP『Empty Flower』をリリース。彼女は既にPoppy AjudhaやAmaarae、GraceyなどのUKの新進気鋭のアーティストと共演をするなど、ここ最近その周辺のミュージシャンやメディアからも注目を集めているそう。
彼女の祖父からの影響で、ブラジル音楽、キューバ音楽、ジャズをたくさん聴いて過ごしたそうで、そのルーツも感じられる、温かみのあるグルーヴィーなサウンドを奏でています。そこにUK独特のソウルやジャズ周辺のメランコリックでジメジメとした空気感が加わることで、より洗練されたスムースな音楽性に昇華されています。優雅で滑らか、そしてビタースウィートな彼女の美声も格別で、クラシックギターや金管楽器、ストリングスが絡み合うオーガニックな旋律にとてもマッチしています。ラテン音楽やソウル、ジャズのバランス感も素晴らしく、彼女の才能に惚れ惚れしてしまいます。ちなみに今作は彼女の宅録で制作したというのも驚き。


strongboi

ベルリンを拠点に活動するAlice Phoebe LouとZiv Yaminによるデュオ、strongboiがデビューEP『strongboi』をリリース。Alice Phoebe Louはインディー・フォーク系のシンガー・ソングライターとしても有名ですが、彼女のサイドプロジェクト的なユニットです。今作では客演にBrainfeederで有名なプロデューサーSalami Rose Joe Louisや、イスラエルのデュオHazizが参加。
今年の初めの方にベッドルーム・ポップのコラムを書きましたが、初期のベッドルーム・ポップ的なアプローチをしています。ローファイな質感のサウンドにチープなサイケポップがあわさる、ゆったりとした浮遊感ある音楽性に。やはりAlice Phoebe Louの甘くメルティーな美声も素晴らしく、楽曲の良さをより引き立てています。万華鏡を覗いたような煌びやかさとレトロな質感のムードが彼らの最大の魅力ですね。HOMESHAKEやTEMPOREX、Banes World周辺好きな人におすすめです。


Jonnine

オーストラリア拠点に活動するHTRKのJonnine Standishによるソロプロジェクト、Jonnineが新作アルバム『Maritz』をリリース。今回のプロジェクトを通してHTRKを知ったのですが、オリジナルのメンバーでもあるSean Stewartが亡くなっているそうです。そこからもHTRKを続けつつも、ソロとしても作品を出しています。2021年のソロ1作目は厳かなアンビエントとエッジーで冷ややかなサウンドが織りなす作品でしたが、今作は生感あるフォーク作品に仕上がっています。
アコースティック・ギターやベース、アンビエント、環境音など実験的な側面もありつつ、ミニマルなサウンドに仕上げており、彼女の織りなす独特な幽玄なムードが全体的に漂っています。壮大な草原が広がる中にポツンと立つ一軒家から流れてくるような、退廃的でありながらも人の温もりが感じられる作品で、冬の時期とかにはぴったりかと。


Marlene Ribero

マンチェスターのサイケデリック・ノイズ・コレクティブGnodのメンバー、Marlene Ribeiroによる初のソロ作品『Toquei no Sol』をリリース。ポルトガル語で「私は太陽に触れた」という意味らしいです。ちなみに彼女はコラボレーターとしてもよく知られていて、Thurston Mooreなどとも作品を一緒に作っているんだとか。
エクスペリメンタル・ミュージシャンとして名を馳せているそうで、今作もさまざまな場所でフィールドレコーディングされた音を使用しているとのこと。そんな自然の荘厳さと映画音楽のような重厚なサウンドスケープに、彼女の妖艶で神秘的な歌声があわさることで、独創的な世界へと誘われる作品に仕上がっています。各楽曲で鳴り響く怪しげな音や、パーカッションを多用した独自のリズムなど、それが合わさることで出来上がる、独特の多幸感のあるサイケさも最高です。


CODY JON

オーストラリア拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、CODY JONがデビューEP『untied shoes』をリリース。彼自身は80年代から90年代のポップスから主に影響を受けたそう。既に本国やアメリカでも人気があるようで、Tai Verdesのツアーのオープニングアクトを務めているほど、デビュー作の時点で注目を集めています。
もうRex Orange CountyやConan Gray、Thomas Headson辺りのベッドルーム・ポップ好きなリスナーは速攻でハマってしまうほど、わかりやすいほどシンプルに良いです。ミドルテンポの心地よいローファイなリズムに、レイドバック気味のギター、そして甘美でピュアな歌声。ノスタルジックかつロマンチックなポップサウンドに包まれる陶酔的な音楽に仕上がっています。

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