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Babebee, George Gretton...今週のおすすめ 5 best Songs:2022-36

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新しています〜

Babebee

アトランタ拠点に活動するSSW/プロデューサー、Babebeeが新作アルバム『mind over matter』をリリース。このアーティストは久しぶりにベッドルーム・ポップ系のアーティストで頭ぶち抜かれるほど衝撃的な異才です。名前の由来は全く関係ないですが、beabadoobeeとPinkPantheressの中間を漂うような最高の音楽です。
Björk、The xx、Frank Ocean、yeule、Charli XCX、Blood Orange、FKA twigs、underscoresなどにインスパイアーを受けたそうですが、幕の内弁当になりそうな予感がしますが、全くそんなことありません。しっかりと上記のアーティストたちの音楽性をBabebeeなりに昇華した、淡くもカラフルなポップサウンドに仕上げています。ハウス、UKガラージ、ダブステップ、トラップなど多彩なビートを織り交ぜたトラックから、インディー・ポップ、エレクトロポップ、インディーR&Bなどを溶け合わせたアブストラクトな音楽性が特徴的です。このフューチャラスティックな世界観を1人で作り上げてしまうのだから驚きです。さらにBabebeeのたゆたうようで繊細なウィスパー・ヴォイスもかなり独特です。とにかくやばい16曲が収録。絶対に要注目アーティストです。


George Gretton

UKのノッティンガム出身のSSW/マルチ奏者、George Grettonが新作EP『Ordinary Life』をリリース。
彼の音楽はとても多才で、まず注目するべきはトラックメイキングの部分です。Lo-Fiヒップホップ的なビートからブレイクビーツなどを組み合わせ、そこにアンビエントや電子音、ストリングスなどを混ぜ合わせ、カレイドスコープのように緻密に練り込まれたトラックに仕上げています。そこにシルキーで渋みも含んだ彼の美声が重なり、幽玄で陶酔的な音楽を奏でています。まるでJai PaulとJames Blakeの狭間を感じさせるような途轍もない才能を感じます。


S. Raekwon

NY拠点に活動するシンガー・ソングライターSteven Raekwon Reynoldsによるプロジェクト、S. Raekwonが新作EP『I Like It When You Smile』を〈Father/Daughter〉からリリース。今回の作品ではじめて知ったのですが、去年のアルバムもめちゃくちゃ良いですね。
今回のEP収録の4曲とも2分くらいのかなり短い曲なのでさっくりと聴けてしまうのですが、内容の濃密さがすざましくて驚きの連続。全体的に陽気でポジティブな気持ちに変えてくれるような、タイトル通りの楽曲に仕上げていますね。ソウルやR&B、フォーク、インディー・ポップをブレンドさせた、まろやかでメロウなサウンドに、優美で味わい深い彼の歌声が溶け合った音楽で、心に沁み渡ります。そしてなによりこのブレイクビーツ最高。


Cryalot

ロンドンのエレクトロポップ・トリオKero Kero BonitoのSarah Midori Perryによるソロプロジェクト、CryalotがデビューEP『Icarus』をリリース。
可憐でメルヘンな彼女の歌声に、ハードな電子音が絡みある、とても攻めた作品に仕上げています。SOPHIEやArcaからCharli XCXなどにも通ずるような、バキバキのグリッチやエレクトロサウンドを織り交ぜたhyperpop的な音像にしつつも、EDMやハウス、トラップなどのビートを絡ませた実験的な試みがKero Kero Bonitoっぽいなとも感じました。さらに「Hell Is Here」なんてメタルやスクリーモ的な要素を絡めているのもなかなかすごいなと。「See You Again」の日本語のナレーションがエヴァっぽくてそれもかなりグッときました。EPのタイトル通りの神話をベースに制作されているため、ダークでメランコリックなムードが漂い、曲の後半になりにつれてどんどん壊れかけていくような感じだけど、どこか希望にも満ち溢れている、そんな作品だと感じました。


Ira Nor

ノルウェー・オスロ出身のシンガー・ソングライター、Ira Norがデビュー
EP『Swim Ira』をboy pabloとその仲間たちが立ち上げたレーベル〈777 Music〉からリリース。
彼女は070 ShakeやCharli XCX、Troye Sivanから影響を受けたとのことで、それを感じることのできる瑞々しく鮮やかなエレクトロニックサウンドと、ドリーミーでポップなメロディーが重なり合った音楽に仕上げています。80年代の煌びやかなシンセや、グリッチ、インダストリアル、エレクトロポップなどを組み合わせた独特な浮遊感とSci-Fiな音像がかっこいいです。



今回は「5 Best Songs」とは関係なしに、最後に触れておきたいアーティストがいるので、記しておきます。

cry2jodii

以前Phoebe Bridgersのレーベル〈Saddest Factory Records〉とも契約を交わしたScruffpuppieですが、性的暴行疑惑によって、契約を破棄され、そのことについてSNSにて投稿したのち、ここ1年ほど沈黙していました。かなり彼女なりに苦しんだようですが、この前Scruffpuppie名義での新曲「heaven song」を発表しています。正直いろいろ調べたのですが、その後その疑惑がどのように進展したかのは見当たりませんでした。経緯についてはこちらのサイトにまとまっています。(おそらくなにかしらの進展があったからアーティスト活動をインディペンデントで再開したのだと思いますが…。)
なので正直彼女の音楽を紹介して良いものなのか分からず個人的にもいろいろな葛藤がありつつも、新たにScruffpuppieがスタートした別名義のプロジェクト、cry2jodiiのデビュー作『cerebral kisstex』がカッコよかったのでどうしても紹介したくてこのブログ内で貼っておきます。最近僕自身もこういったアーティストをどう聴けば良いのか分からずですが、両者の間で解決していれば良いなと祈っています。(Rhyeなどはこの前続報がありましたが、まだ内容が事実だと思うと聴けずしまいですが、LANYなどみたいなあからさまに何も対処してない音楽は正直聴けないですが…。)





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