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Sandrayati, Nix Northwest...今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-10

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Sandrayati

フィリピンとアメリカにルーツを持ち、インドネシアのバリ島やジャワ島で育ったシンガー・ソングライター、Sandrayatiがデビューアルバム『Safe Ground』をリリース。プロデュースにはグラミー賞ノミネート経験もあるアイスランド/レイキャビクの音楽家Olafur Arnoldsを招いています。彼女はRY Xのヨーロッパツアーをサポートで一緒に回るなど、すでに注目集めているアーティストです。
音楽一家で生まれ育った彼女は幼少期から自然に囲まれ育ったようで、音楽的なインスピレーションの根源も大自然から生まれるとのこと。そのルーツが音楽にも如実に反映されており、オーガニックで幽玄なサウンドを奏でています。フォークやポスト・クラシカル、アンビエント、エレクトロニカなどのエッセンスを組み合わせた音楽性に、彼女の透明感漂う流麗な歌声が溶け合い、美しい浮遊感のある世界を生み出しています。ピアノやアコースティック・ギター、そして神々しく優雅な彼女の美声のみという最小限のセットでも非常に聴き応えがあるのですが、そこに弦楽器のストリングスアレンジが加わることでより壮大で幻想的な音像に仕上がっていますね。


Nix Northwest

ロンドンを拠点に活動するラッパー/プロデューサー/マルチ奏者のNix Northwestがデビューアルバム『Xin's Disappearance』をリリース。今作では客演にUK注目のラッパーENNYが参加。これまでedblの作品への参加や、BBC Raidio 1やCOLORS、Complexなどでピックアップされるなど各所でも話題となっています。
彼の奏でるサウンドは、ソウルやR&B、ジャズ、ボサノヴァなどのジャンルをミックスさせたクールでメロウなトラックが特徴的。そこに滑らかだけどキレキレのラップからレイジーなフロウまでを巧みに使い分けて、楽曲に抑揚を生み出すことで、よりポップで乗りやすい音楽性に仕上げています。
影響を受けた音楽はGorillazやKendrick Lamar、Mac DeMarco、Marvin Gayeなど、クラシカルなものからインディーなものまで幅広く影響受けており、彼がカラフルでグルーヴィーな音楽を作り上げるのも納得です。


Laura Roy

カナダ出身で現在はロンドンを拠点に活動するシンガー・ソングライター。Laura Royが新作EP『Odyssey』をリリース。彼女はDoja Catの2021年のアルバム『Planet Her』の「Alone」に関わっており、2つのグラミー賞をノミネートしているという実力派のソングライターです。ちなみに前作のEP『Tide』の「Don't Let Me Down」ではLianne La Havasが作曲で参加していたらしいです。
70年代のフォークや90年代のR&Bから影響を受けたというLaura。そんな彼女の作り出す音楽は、深く沈みゆくようなビートとグルーヴィーなベースという重厚な下地に、ふわっとした夢見心地な上物が融和する、シネマティックなサウンドを奏でています。アコースティック・ギターの物憂げな響きや豊かなストリングスアレンジも素晴らしく、そこに妖艶でソウルフルな歌声が加わることでよりドラマティックで鮮やかに音楽を彩っていきます。スモーキーだけど一筋な光が差すような作品でとても魅力的です。


Lily Williams

ロンドン出身で現在はカルフォルニアを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Lily Williamsがデビュー作『How The Story Ends』をリリース。今作はパンデミックの2年間に渡って制作したアルバムとのことで、彼女の人間関係を赤裸々に綴っており、失恋、悲しみ、喪失、愛、そして未来への不安といった感情を詰め込んだそう。
ベッドルーム・ポップ的なアコースティック・ギターの弾き語りをベースに、そこにピアノや弦楽器などのストリングス、アンビエントなどを加えた、叙情的で淡く甘酸っぱいサウンドに仕上げています。彼女の可憐でハチミツのように甘い歌声が重なることで、インディー系の青春映画のようなロマンティックで切ないサウンドスケープを描いています。カントリーやフォーク、ジャズ、クラシカルを基調とする音楽性は、LaufeyやMatt Maltese、そしてRex Orange Counttyのようなアーティストに続く才能に溢れています。


Uly

フィリピンにルーツにもつアイルランド・ダブリン拠点に活動するSSW/マルチ奏者Rafino Murphyによるソロプロジェクト、Ulyが新作ミックステープ『1822​.​demos』をリリース。
70年代〜90年代のソウルやジャズ、ファンク、ディスコなどを彼独特のフィルターに落とし込んだ、スムースかつノスタルジックな音楽性にまとめ上げています。全体的にローファイな音像で、そこにインディーやサイケ、Vaporwaveなどの要素も絡めた、現代的なベッドルーム・ポップの側面も感じられます。甘美で優雅なムードは、映画のような没入感もあって、非常に魅惑的な音楽を作り上げていますね。個人的にはTom MischやPuma Blue、Yellow Daysあたりがセッションしたような雰囲気のアルバムだな〜と感じました。

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