見出し画像

abstract pop | 5 Best Songs...2022④

2022年4回目の「abstract pop」の更新です。この企画では国内の音楽メディアでは紹介されないような海外の新進気鋭なアーティストを紹介していく企画です。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新しています〜

deathcrash

ロンドン拠点に活動する4人組のスロー・コア・バンド、deathcrashがデビューアルバム『Return』をリリース。このアルバムまでバンド名は見かけることはあったけど、彼らのことを全く聴いたことはありませんでした。というか見逃していたことがとても悔しいくらい素晴らしいバンド。
ケンブリッジ大学で出会い結成、2018年ごろから活動。2020年の初頭には、Black Country, New Roadとツアーを一緒に回っていたとのこと。その影響もあってかコロナが蔓延した2020年にも関わらず、250枚限定で発売したEP『people thought my windows were stars』は24時間足らずで完売。リリース翌週に控えたライブも即完売という、UKでは話題の沸騰中であり、今回のアルバムは、今年UKのバンドシーンでも最も重要な立ち位置となる作品になるのではないかと思っています。
そんな彼ら音楽性は、ドローンメタル、ドゥームメタルといった重々しいサウンドから、フォーク/カントリー、エモ、スクリーモなどの要素を実験的に組み合わせ、最終的に”スロー・コア”というジャンルに落とし込み奏でています。
個人的にはThe Velvet Undergroundのインディーさや実験性、American Footballのエモ、Pavementのローファイさ、Bill Ryder-Jonesのようなフォーキーでアンニュイな歌声、それぞれの素晴らしさをいいとこ取りしたようなサウンドだと感じました。しかもしっかりとスロー・コアの代表的なバンド、Lowへの敬意も忘れない音作りも驚きです。もうとにかくアルバムの1曲目から聴いていただければその素晴らしさを実感するはずです。


wylie hopkins

wylie hopkinsは、あまり情報はないアーティストで拠点など不明ですが、Porter Robinsonのプレイリスト「cherished music」にセレクトされたり、彼の開催したフェス「Second Sky Festival」にも出演したWavedashの作品の曲「Don't Fight It」で客演で参加したり、各所から注目されているアーティストです。そんな彼がデビューEP『On the Way Out』をリリース。
彼の奏でる音楽性は、Elliott Smith〜Alex G系譜のアメリカのSSWの柔和で郷愁を感じるサウンドに、1975のようなエモーショナルでポップなメロディーが絡み合う、繊細で美しいもの。最近のHolly Humberstone、James Ivy周辺(ちなみにIGはフォローし合っている)とも共振するようなソングライティングセンスを持ったアーティストだと感じます。


lilo

マンチェスター出身で現在はロンドンを拠点に2021年から活動するChristie GardnerとHelen Dixonによるデュオ、liloがデビューEP『Sleep Country』をリリース。
アコースティック・ギターやピアノのシンプルな旋律を基調としたオーガニックな響きに、ストリングスや管楽器、アンビエント・サウンドを加えることで、音に厚みを持たせ、温かくも叙情的な音楽性が魅力です。そして何より透明感ありつつも伸びやかで天使のような美声です。2人の美しいハーモニーがアクセントとなり、彼女たち独特のカントリー・ミュージックを奏でているのでしょう。Sharon Van EttenやLucy Dacusなど好きな人にもおすすめです。


Iceboy Violet

マンチェスター出身で現在エレクトロニックシーンで猛注目されているアーティスト、Iceboy Violetが自身初のミックステープ『The Vanity Project』をリリース。Iceboy Violetは今までに、ayaLoraine JamesBlackhaineらの作品に参加してきましたので、注目している方も多かったかもしれません。
実験的なアプローチをした鮮烈でアヴァンギャルドな音楽性には、Iceboy Violetが天才的な才能の持ち主だとすぐにわかるかと思います。退廃的でSci-Fiな質感の電子サウンドに、鋭く突き刺すようなビートが絡み合い、そこにラップともいえるような独特なボーカルスタイルが脳内を侵食していくような中毒性のある音楽です。マジでやばい新人が産声を上げた感じですね。


Alix Page

南カルフォルニア出身のSSW、Alix PageがデビューEP『Old News』をリリース。収録曲の「Radiohead」で注目されたアーティストです。プレイリストの「Fresh Finds」に乗った影響で、Jeremy Zuckerなどが自身のプレイリストに追加したりとそこから人気に火がついたとのこと。
暖かい気候の海沿いのゆったりとした時間を感じられるようなサーフミュージックの要素も重なり合った、ローファイなインディー・ポップが彼女の特徴です。少し靄がかかったようなメランコリックだけど優美な歌声と、ファジーなサウンドの重なり合いがめちゃくちゃ良いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?