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Saya Gray, Lutalo, Hamond...今週のおすすめ 5best Songs:2022-24 | abstract pop

今週の新作で個人的な思い入れも含めて大号泣してしまった、Lissの初となるフルアルバム『I Guess Nothing Will Be The Same』。フロントマン、Søren Holmが亡くなる前に制作したもの。そんな彼に敬意を捧げた今作は、作品全体に2015年のデビューシングルから変わらないSørenの才能が存分に詰め込まれており、美しくそして活気に満ちた傑作と言っても過言ではないポップな仕上がりをみせています。彼の歌声をこうやって作品でまた聴けるなんて、終始涙が止まらなかった。本当にこの世に素晴らしい音楽をありがとう。安らかに眠ってください。

それでは、今週の個人的なおすすめ新人アーティストを紹介していきます。
ちなみに最近友人からの勧めでポッドキャストも始めてみました。このnoteで更新している「5 best Songs」の内容を話したりしているのでよかったら覗いてみてください。先週の更新が以下になります。

音楽ブログ「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Saya Gray

〈Dirty Hit〉 から彗星の如く現れた次世代を担う、トロントを拠点に活動し日本とカナダをルーツに持つSSW/プロデューサー/マルチ奏者、Saya Grayがデビュー作『19 MASTERS』をリリース。彼女は今までにさまざまなアーティストのサポートや、Willow SmithやDaniel Caesarの音楽監督としての活動を経て、今回のソロとして動き始めたそう。
今作は彼女自身の精神面での苦悩や、音楽業界の中に存在する有害性を作品の中に込めたとのこと。また今作自体、冒頭や作品の中の日本語のナレーションは彼女の母親、ギターは兄、トランペットは父親という家族総出での作品協力のもと制作しつつ、そのほかは全て彼女が手がけています。
音楽性自体はインディー、R&Bやソウル、ジャズ、ヒップホップ、アンビエント、ニューエイジなど、さまざまなジャンルを折り重ねた実験的な面を持ちつつも、しっかりとポップなサウンドに仕上げています。また音像は非常にローファイな質感で、それこそベッドルーム・ポップ的な部分も感じられます。全体的にアコースティックな響きが多く、ナチュラルかつミニマルにまとめ上げているのも彼女の才能かと。インタールードも含め、たっぷり19曲収録の作品ですが、1曲目から最後まで壮大な音楽の旅に出るような、没入感たっぷりな作品で最高です。
また最重要な新人アーティストが爆誕という感じですね。


Lutalo

USのミネソタ出身、バーモントを拠点に活動するプロデューサー/マルチ奏者、LutaloがデビューEP『Once Now, Then Again』をリリース。彼はBig ThiefのAdrianne Lenkerのツアーに同行していて、そのポスターで彼を知りました。掘り下げていくとなんと、彼はAdrianne Lenkerと親戚関係というおもしろアーティストでした。ちなみにFleet FoxesのRobinの大ファンらしい。
そんな余談は置いておいて、それより彼の作り上げる、自然豊かで柔和で温かみを帯びたサウンドは最高の癒しですね。アコースティックギターのソフトな響きと、渋くもレイドバックする彼の歌声が混じり合い、まるで優雅な森林浴している気分になる作品に仕上げています。ほどよい電子サウンドやアンビエント、パーカッションなどが加わることで、作品の良さをより引き立てています。繊細で深みのあるサウンドですが、わざとざらついた荒い質感でまとめ上げているのも個人的に大好物。


Hamond

テキサスのヒューストン出身でLA拠点に置くアーティスト、Hamondがデビューアルバム『Pirate Radio』を、Pigeons & Planesのスタッフが立ち上げたレーベル〈No Matter〉からリリース。彼の音楽の原体験は、11歳ごろに姉に連れて行かれたPassion Pitのライブとのこと。そこから姉のススメでMGMTを聴き、The NeptunesやJustin Timberlakeなどのポップスやヒップホップにハマっていったらしい。もともとは祖父が交響楽団に入っていたらしく、クラッシックやジャズにも囲まれて育ったという素養もあります。
そんな音楽環境を経た彼の奏でる音楽が、エレクトロニック・ミュージックとインディーの間を漂うような興味深いものです。Vaporwaveっぽいノスタルジーな要素や、ダンスミュージック、サイケポップ、R&Bを織り交ぜた、淡く光り輝く美しい作品に仕上げています。
作品の名前にも刻まれているように、ところどころラジオっぽい世界観を醸し出していて、"どこか忘れ去られてしまったラジオ局から流れている楽曲"みたいな逃避行的な音楽性が個人的に最高なんですよね。Frank OceanやBlood Orangeみたいな部分も感じるし、Mk. geeやVegynみたいな雰囲気も感じられるんすよね。いやー全曲通してかっこいいいいい。


Yoshi T.

NYを拠点に活動する日系アメリカ人のラッパー/プロデューサー、Yoshi T.がデビューEP『SANDBOX』をリリース。彼はCisco SwankやMAVIなどとライブで共演したりしているらしいです。
ヒップホップやネオソウル、インディーR&Bを混ぜ合わせた、メロウで程よく力の抜けたトラックから、アッパーでファンキーなナンバーまで詰め込んでいます。ラップのフロウも少し気怠げですがメリハリのある感じがとてもいいです。海のさざなみをサンプリングしていたりして、夏の浜辺でダラっとしながら聴きたい作品です。easy life好きにはおすすめです。


Brandon Banks

LA拠点に活動するアーティスト、Brandon Banksが新作EP『Natural Progressions』をリリース。彼の作品は以前、2020年の個人的なベストEPでもセレクトしています。彼はその作品でUMIやMerebaを客演に招いたり、その他にCharlotte Day Wilsonの「Mountains」や、Drakeの「Fair Trade (with Travis Scott)」といった曲で共同作曲しているという音楽家としても実力派なアーティストです。
作品全体に染み渡るドリーミーでドラマティックなネオ・ソウルサウンドに、彼の独特の甘美でメランコリックな歌声が絡み合い、極上でメロウな仕上がりになっています。このスロウでオーガニックな質感が本当にたまらないです…。

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