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Lil Silva, Polly Money...今週のおすすめ 5best Songs:2022-29 | abstract pop

音楽ブログ「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

そしてポッドキャストも始めてみました。今回で8回目となります。このnoteで更新している「5 best Songs」の内容を話したりしているのでよかったら覗いてみてください。先週の更新が以下になります。

Spotify更新しています〜

Lil Silva

UKのベッドフォード出身のプロデューサー/ソングライターTJ Carterによるプロジェクト、Lil Silvaが10年の歳月をかけて完成させて自身初のデビューアルバム『Yesterday Is Heavy』をリリース。
もともとグライムクルーMacabre Unitのメンバーとしてシーンに登場し、UKファンキーと定義されるきっかけにもなった「Seasons」などで10年代のダンスフロアを沸かせていたDJでもあるそう。そこからAdeleやDamon Albarn、Mark Ronson、Kanoといった名だたるアーティストと仕事をしたという、界隈では有名なアーティスト。そんな傍らで地道に作り上げたという今作にも素晴らしいアーティストが客演に連ねており、Little DragonからCharlotte Day Wilson、BAD BAD NOT GOOD、Sampha、Ghetts、serpentwithfeetなどが参加。もう名前を聞いただけで名作間違いないが、下手したら幕の内弁当的な仕上がりにもなりかねない中、Lil Silvaのさすがのプロデュース力で、それぞれのアーティストの魅力も引き出しつつも、しっかり彼らしい音楽に落とし込んだ最高の仕上がりになっています。
NMEのインタビューで「このアルバム全体は、今を生きることとその希望についてだ」と語る今作は、まさにFred again..の『Actual Life』の高揚感に似た感覚を覚えるムードが作品全体に行き渡っており、いまの時代にフィットしたアルバムと個人的に感じました。洗練された音楽性ですが、ハウスやテクノといったダンスミュージックから、ダブ、ラテン、アフロポップなど多彩なビートに、ソウルやファンク、ジャズ、ポップスなど様々なエレメントを掛け合わせており、それを彼の独特の感性(本人曰く”Silva Sound”と形容している)に落とし込んだサウンドに仕上げています。さらに彼自身の透明感のあるファルセット・ヴォイスも素晴らしく、この作品のアクセントにもなっています。とにかく今年の年間ベスト確定です。


Polly Money

UKのコンウォール出身で現在はウェスト・ロンドン拠点に活動するアーティスト、Polly Moneyが新作EP『It's Not That Deep』をリリース。既にMuseなどのオープニングアクトを務めたり、ギターリストとしてLet's Eat GrandmaやPriya Raguなどのサポートをするなど、徐々に話題になり始めているアーティストです。
彼女の作り上げる音楽は、キラーチューン並みの親しみやすいポップなメロディーを奏でており、このEPに収録されている中でも、ミドルテンポのR&B的なスタジアムポップソング「Street Side」や、トロピカルで跳ねるようなラテンビートを絡めた「Water」を聴くだけで虜になること間違い無しです。滑らかでスキルフルなギターに、シルキーでソウルフルなPollyの美声が本当に素晴らしいです。
余談ですが、Museのオープニングアクトを務めるきっかけになったのは、2013年の小さなコミュニティーフェスに通りかかったMatt Bellamyが、彼女のパフォーマンスを見かけて、それに感銘を受けたMattが数日後に声をかけたのがきっかけらしい。やはりイギリスはどんなに名だたるアーティストでもこういう風にしっかりと、しかも気軽に新人アーティストをフックアップしてしまう文化は最高すぎますね。


hunjiya

韓国出身で現在はNYを拠点に活動するAlice Kimによるプロジェクト、hunjiyaが新作EP『KHAMAI』をリリース。個人的な2020年のベストEPでindigoworldとコラボしたEP『FOLD』を選出しています。
そんな彼女の新作ですが、オーガニックな質感を感じるフォークとR&Bをブレンドした、とろけるような優美な音楽性がたまらないですね。ソウルフルで優雅な彼女の美声に、時折ダイナミックなポップサウンドも織り交ぜた楽曲展開もクセになります。Charlotte Day WilsonやAmber Mark周辺が好きな人におすすめしたいアーティストです。
今作は「"自分らしさ "は1つではなく、何人もの自分がいる」というカメレオン的な意味合いを込めており、カメレオンの語源でもある、ギリシャ語で”大地(KHAMAI)”を今作の題名にしたそうです。


Alex Gough

アイスランド出身のアーティスト/ラッパー、Alex Goughが新作EP『Lemon****_EP』をリリース。Pharrell WilliamsやKendrick Lamar、J Dilla、D’Angeloなどに影響を受けているようです。
オールドスクールな硬質なビートに、レイドバックした緩いサウンドや、グルーヴィーなムードが重なるトラックに、渋く低い声が響くフロウが特徴的な音楽となっています。彼のラップがかなり中毒性があって、それこそOnly Realやeasy lifeを彷彿とさせるもの。楽曲によっては、ピッチアップ/ダウンでエディットされた彼の声が印象的で、それも彼の一つの魅力かもしれません。


Holdan

フロリダ出身でLA拠点に活動するプロデューサー/SSW、Holdanがデビュー作『Swan』をリリース。正直それ以外の情報が皆無でなんとも言えないのですが、Deb Neverと関わりがあるようです。
全体的に瑞々しく淡い仕上がりを見せているポップサウンドに、彼の温かみのある叙情的な歌声が重なり合う作品でした。ジャズやR&B、ソウル、ヒップホップ、フォーク的な要素を散りばめた、ベッドルーム・ポップ好きにはたまらない音楽ですね。


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