見出し画像

Jonah Yano, C.S. Fulp...今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-3

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Jonah Yano

日本・広島出身で現在はモントリオールを拠点に活動するSSW、Jonah Yanoが驚愕の変貌を遂げた怪作『portrait of a dog』をリリース。彼を知ったのが、トロントのデュオMONEYPHONEのEP『Athletes』(2018年)に客演で参加していたのがきっかけ。そこから追っていて、BADBADNOTGOODのプロデュースの2020年デビュー作はインディーR&B寄りで個人的にも好みだったのですが、今作ではありえないくらいの進化を遂げています。
今作もBADBADNOTGOODのプロデュースですが、レコーディングはバンドのメンバー総出で、加えてSlauson MaloneとSea Oleenaがゲスト参加、Eliza Niemi、Leland Whitty(BBNG)、そして自身がストリングスアレンジを手掛けているそう。それもあって、まずサウンドプロダクションがありえないくらい洗練されてます。繊細で滑らかなドラムのロールと、浮遊感あるけどしっかりとしたグルーヴのあるベース、壮大で鮮やかなストリングス。そこにシルキーで優美なYanoの歌声が絡み合うことで、極上のハーモニーを生み出しています。
もちろん今までの作風を踏襲しつつも、フォークやサイケデリック的な要素も取り入れて、今までにない彼のソングライティングセンスが爆発したアルバムに仕上がっていますね。今年のベストアルバムがまた出てきてしまった…。


C.S. Fulp

テキサス出身で現在はLAを拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、C.S. FulpがデビューEP『Greenbrier』をリリース。すでにLYRICAL LEMONADEやOne To Watchなどのメディアなどでも取り上げられるなど注目が集まっているアーティストです。
カントリーやフォークの風味を感じられるアコースティックの温かなメロディーに、オルタナやグランジなどの先鋭的な歪んだギターも織り交ぜつつ、叙情的で甘酸っぱさ滲むサウンドに仕上げています。それがめちゃくちゃ良いんですよね。彼の甘く滑らかな美声も伸びやかで、それがあわさることで夢見心地のようなムードも加わって最高。Dreamer BoyやJames Ivy好きはすぐにハマると思います!


Swansea Skag

オハイオ拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティストMason Stoverによるプロジェクト、Swansea Skagがデビューアルバム『You Just Might Regret This』をリリース。
彼は結構厳しい家庭で育ったようで、世俗的な音楽は幼少期あまり聴けなかったそうですが、そのあとOasisやBloc Party、The Strokesを聴くようになって音楽に目が覚めて、独学で宅録技術を習得。DTMをいじるようになって、James BlakeやFlume、Kanye West、Jai Paulといった革新的で先鋭的なサウンドを作り上げたアーティストにも影響を受けたそう。たしかに彼の創り上げるサウンドは、ギターロックやインディーのバンド感あるサウンドと、後者であげた先進的なサウンドの狭間を上手に縫うような、独特な音楽性となっています。エレクトロニカやグリッチ、インダストリアル、ピッチシフトなどの要素をうまく活用して、そこにインディーやソウル、ヒップホップなどを組み入むというユニークなアプローチで、かつポップに表現しています。underscoresやBilly Lemos、Mk.geeとか好きな人におすすめです。


LINN

デンマーク拠点に活動するシンガー・ソングライター、LINNが新作EP『Femte Dimension』をリリース。
ゆらゆらと漂うような幽玄で幻想的なサウンドに、オブスキュアだが凛とした歌声が重なり合った独創的な音楽が魅力的。かなり実験的な試みもしていて、奥ゆかしいアンビエントや陶酔的でメランコリックなR&B、フォーク、ジャズ、ノイズ、インダストリアルなどをコラージュのように編み合わせて、エッジのある異次元な音像を奏でています。EPに収録されている1曲それぞれが異なったサウンドで構築されていて、作品通し聴くと彼女の異彩に気づくことになるかと思います。それこそTirzahやOkay Kaya、去年のベストEPにもあげたLéa Senにも通ずる才能かと思います。ぜひ。


khai dreams

オレゴン拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、khai dreamsがデビューアルバム『ABSOLUTE HEARTBREAK』をリリース。今までネクストRexとも言われた2018年のAtwoodとの共作の『Nice Colors』や、夏の暑さにぴったりなトロピカルなムードの2019年のデビューEP『Now and Then』などで、ベッドルーム・ポップ・シーンで何度も話題となってきたkhaiの待望のデビュー作がやってまいりました。
より今までの作風よりも洗練されたポップサウンドに仕上げていて、gabby startやpatchymate周辺のエレクトロ・ポップやエモ、hyperpop的な煌びやかでアップテンポなエッセンスも取り入れています。また近年のインディー・ポップやオルト・ポップ的なアプローチもしていて、全体的に跳ねるようにエネルギッシュな楽曲ばかりで、春とかに聴いたら最高なんだろうなという作品でした。


ここから先は

0字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?