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Michl, ENNY…今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-14

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜


Michl

LA拠点に活動するシンガー・ソングライター/プロデューサー、Michlが待望どころか、最高に待ったデビューアルバム『Form Follows Function』をリリース。今作では客演にBrabdonが参加しています。
もう個人的には2016年のデビューEP『Michl』からずっと追っている才気あふれるアーティストで、記事でも前書いてます。Michlはその作品以降、Mura Masaや初期のBillie Eilishのツアーのオープニングアクトを飾るなど、早耳リスナーの中ではかなりカルト的な人気を誇るアーティストなんですよね。Mura Masaに至っては彼の楽曲「 Better With You」でプロデュースを務めるほど惚れ込んでいます。しかし2018年以降、急に活動がピタリと止まって、楽曲も出さなくなり、「もうアーティスト活動やめてしまったのかな…」と思った矢先に、2021年の「Holiday」で3年の時を経て大復活。最高に嬉しかったですね。
正直涙なしでは語れない最高のマスターピースです。インディーR&Bやエレクトロニックミュージック、アンビエント、エレクトロニカなどを織り交ぜた、鮮烈で多彩なベッドルーム・ポップ作品に仕上がっています。淡く儚げなムードが全体を覆い、そこに溶け合う、甘美で味わい深い歌声が紡ぐ美しい旋律は息をのむほど。
彼の今作のInstagramの投稿を見ると、いろんなことに苦しんで乗り越えて、ようやく作り上げられた作品なんだなと心の底から思います。本当にこの作品を届けてくれてありがとう。最高です。


ENNY

サウスロンドンを拠点に活動するラッパー、ENNYが新作EP『We Go Again』をJorja Smithなどを輩出したレーベル〈FAMM〉からリリース。そんなJorja Smithと共演した「Peng Black Girls」でも話題となりましたが、ENNYはなんといっても矢継ぎ早でオリジナリティーの高いラップスタイルが魅力で、それを武器にUKのラップシーンを席巻しています。今作ではあのLoyle Carnerもフィーチャリングで参加しているという最高の作品に。
ENNYはラップスタイルだけでなく、トラックも非常に趣向の効いたもの。R&Bやソウル、ジャズ、エレクトロニカ、Lo-Fiヒップホップ的なものなどを、クールで多幸感漂うサウンドにまとめ上げています。盟友でもあるPayaからEmil、Yogic、Baker Aaron、Beat Butcha、Linden Jayなどがプロデューサーで参加しているのもあってサウンドも洗練されてますね。M5「Champagne Problems」のリリックで"Priceless, just got them gems from Simz / There’s a war going on in my mental"とLittle Simzの「Introvert」から引用して敬意を示しているのもそうですが、もうENNYはネクスト・Little Simz的な、唯一無二なラップスタイルを確立していますね。


Good Health Good Wealth

ロンドンを拠点に活動するボーカリストBruce BreakeyとギタリストSimon Kuzmickasによるオルタナティヴ・デュオ、Good Health Good Wealthが新作EP『Everyone Feels Like This』をリリース。N.E.R.DやKanye West、Mac Miller、Daft Punk、The Streetsなど幅広いジャンルからインスピレーションを受けているという2人組。
しかし影響を公言していてもなかなか羅列したようなアーティストのサウンドはオリジナリティーが高く、さらに昇華するのも難しいですよね。しかし彼らはそのハードルを軽く超えてくるような才能とポテンシャルを秘めています。ヒップホップをベースにしつつも、トラックはディスコやファンク、ダンスミュージック、インディーなど、ジャンルレスで鮮やかなポップサウンドにまとめ上げています。そこにUK独特のスポークンワードからアンセミックでメロディアスな歌メロまでを見事に融和させるという、底知れぬアーティストです。The StreetsのDNAをしっかりと踏襲しつつも、Mac Millerのようなカラフルでメロウなムードまでも取り込んでしまう。本当にとんでもないデュオが現れたなと。


Kay Young

ロンドンを拠点に活動するラッパー/シンガー/プロデューサー、Kay Youngが新作EP『We Meet At Last』をConnie Constanceなどを擁するレーベル〈Play It Again Sam〉よりリリース。今作ではEgo Ella Mayが客演で参加。彼女は2020年の2nd EP『Middle Matters』がさまざまなところで高い評価を得てからというもの飛ぶ鳥落とす勢いで、Jay Electronicaのツアーへの参加や、Blue Noteのリイマジンのアルバムへの参加、全米ツアーなど、各所での活躍が目まぐるしいアーティストです。
今作ではストリングスやホーンの輝かしいアレンジが光るミドルテンポのM1や、Kayのアップリフティングで心地良いボーカルスタイルが印象的なM2。Ego Ella Mayを招いたメロウなムードに包まれた中での、Kayのドープなラップスタイルが光るM3など、音楽性や彼女のボーカルスタイルの幅広さを堪能できるEPに仕上がっています。ソウルやファンク、ジャズなどを、UKの唯一無二なムードで包むこみ、それぞれを彼女なりのスタイルで表現しているのが最高にクールですね。


néomí

南米のスリナム共和国にルーツを持ち、オランダ生まれのシンガー・ソングライター、néomíが新作EP『After』をリリース。今作は2022年のデビュー
EP『before』に続く作品となっています。彼女のルーツを辿ると、Bob Dylanといったクラシカルなアーティストや、Bon IverやBen HowardといったUSインディー周辺から、歌詞や音楽性を含め影響を受けているそう。
個人的にも最近ディグって出会ったシンガー・ソングライターの中でも、天賦の才とも言える神々しい歌声と、幻想的で幽玄なメロディーセンスに心惹かれました。透明感ありつつも、心の魂が揺さぶられるような熱を帯びた美声。その伸びやかで柔らかな声質と、フォークを基調にアンビエントやエレクトロニカなどをブレンドさせた牧歌的で耽美な音楽性の絡み合いが極上です。ダイナミックさがありつつも、静謐さも兼ね備えた音世界の絶妙なバランス具合も本当に素晴らしい…。2作通して聴いてみるとその美しい世界観に圧倒されるかと思いますのでぜひ。そして音源だけでなく、ライブパフォーマンスもやばいのでそのYouTubeのリンクも貼っておきます。

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