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Arny Margaret, Knifeplay...今週のおすすめ 5 Best Songs:2022-43

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

ポッドキャストも始めているのでぜひのぞいてみてください〜

Spotifyのプレイリストも更新しています〜

Arny Margaret

アイスランド北西部のウェストフィヨルド半島で生まれ育ったシンガー・ソングライター、Arny Margretがデビューアルバム『they only talk about the weather』をBjörkやÁsgeirなどを出しているレーベル〈One Little Independent Records〉からリリース。以前この企画で紹介したQuinn Christopherson(彼がアラスカ出身)と並んで、間違いなく今年の冬に必聴のアルバムです。彼女の生まれ育った場所はアイスランドでも暗く、寒いという天気が劣悪な環境なようで、孤独を極めるような場所で彼女は音楽というものに活路を見出したとのこと。6歳でピアノを始め、14歳でギターを持ったという彼女はGregory Allen Isakovが原体験で、その他Andy ShaufやAdrianne Lenker、Aldous Hardingなどから影響を受けています。
シンプルな弾き語りのアコースティック・ギターはアナログの質感のように温かく丸みを帯びたもので、そこに優雅で深みのある彼女の歌声が絡み合った美しい作品に仕上がっています。また曲によってはそのサウンドを囲むように、グランドピアノの優美な旋律やドラマティックなアンビエントサウンド、穏やかなドラムなどさまざまな旋律が融和し、極上のインディー・フォークの世界へと導かれるようです。本当に美しい。その一言に尽きます。


Knifeplay

このバンドのことは全くノーマークでした。USのフィラデルフィアを拠点に活動する5人組バンド、Knifeplayが2枚目となるアルバム『Animal Drowing』をリリース。今作のプロデューサーには、The War On Drugsの『Lost in the Dream』のメインのエンジニアを務めたJeff Zeiglerを迎えています。
アルバム全曲聴き終わったとき「なんだこれは…」と膝から崩れ落ちるほど衝撃的なバンドでした。何もかもが真新しく聴こえるような音像で、既に「Knifeplay」というジャンルを間違いなく確立しています。
全体的に荒涼とした退廃的なサウンドで物悲しく孤独な印象を受けますが、神々しくもドリーミーな質感のサウンドが交錯することで、絶望と希望の狭間を縫うような絶妙なバランス感覚で音楽を奏でています。そしてなんといってもボーカルTj Strohmerの透明感あふれるイノセントで中性的な歌声も彼らの唯一無二な音楽性たらしめているのでしょう。
個人的に彼らの音楽は、Alex GとCloud Nothingsをぶつけて、粉々になったものを拾い集めて、Cocteau Twinsみたいに再構築したような最高な音楽だと感じました。


keni can fly

USのラスベガス出身、現在はカルフォルニア拠点に活動して日本にルーツを持つベッドルーム・ポップ・アーティスト、keni can flyがデビューEP『cherimoya LUV』をリリース。今作ではBennettやWESなどが客演で参加しています。彼は既にAminéのライブのオープニングアクトを務めるなど注目を集めつつあるアーティストです。
影響源にはFrank OceanやTyler, The Creator、Jaden Smithなどを挙げており、やはり彼の音楽はOdd Future以降のような、さまざまなジャンルを横断したカラフルでノスタルジックなサウンドに仕上がっています。レイドバックしたメロウなサウンドに、心地よいブレイクビーツ、気怠げでポップなフロウ、どれをとってもいいですね。彼の作り上げるトラックはどれもユニークで、曲ごとに見せてくる表情も異なってくる多才ぶりはすごいです。


Jade Imagine

オーストラリア・メルボルンを拠点に活動するインディー・トリオ、Jade Imagineがニューアルバム『Cold Memory』をレーベル〈Milk! Records〉からリリース。
フォークやカントリーをベースした牧歌的で落ち着いたサウンドで、そこにインディーやドリーム・ポップなどのエッセンスを絡めることで、より滑らかで流麗な音楽へと昇華しています。またボーカルの甘美だけど冷淡な質感の歌声が魅力的で、その歌声によって彼らの音楽が少しダークで神秘的な音楽に様変わりするんですよね。そこがクセになるというか、何度も繰り返し聴いてしまう所以かもしれません。ちなみに序盤はとても明るめで爽やかさも感じますが、後半になるに連れて気だるく重もしいムードが滲み出てくるのも個人的には最高でしたね。


Beckah Amani

タンザニアで生まれ育ち、現在はオーストラリア拠点に活動するシンガー・ソングライター、Beckah AmaniがデビューEP『April』をリリース。父親が聖歌隊の指揮者など音楽一家で育ったという彼女。兄も音楽が詳しかったようで、その影響でNina SimoneからAvril Lavigne、Queen、Kendrick Lamarなどさまざまな幅広いジャンルを聴いていったようで、その多彩な音楽性がいまの彼女の根幹にあるようです。
そんな彼女の奏でる音楽はインディー・フォーク的なものから、ゴスペルやソウルなどをミックスし、そこタブやアフロビートなどのビートを加えた独特なグルーヴを感じる、ハートウォーミングな音楽に仕上がっています。そして何より彼女の表情豊かな歌声にはやられましたね。シルキーで繊細なボーカリゼーションから、包み込むようなソウルフルな歌声まで、レンジの広さには驚きました。今後も要注目なアーティストですね。

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