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abstract pop | 5 Best Songs...2022⑩

今週はもう誰もが待ち焦がれたであろうRex Orange Countyの新作がリリースされて、私は週末ずっと感無量でした…。今作も本当に心に寄り添ってくれるような彼の優しさが滲み出たポップ作に仕上がっていて最高でしたね…。
なんでこんないいんだろう?って毎回考えるんですけど、一聴するだけで覚えてしまう親しみやすい、The Beatlesのような普遍的なメロディーを持ちつつ、彼も影響を挙げてるStevie Wonderの跳ねるようなポップさが根底にあるからなんだろうな…とも考えつつ、これからの彼の活躍も楽しみです。

それでは今週の「abstract pop」の方に行きます。ここでは国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Nick Mono

Dominic Fikeが出てきた時以来の衝撃的な新人があらわれました。ロンドン出身のSSW、プロデューサー、ラッパーでもあるNick MonoがデビューEP『The Sun Won't Stay After Summer』をリリース。すでにNMEなど各種メディアからも注目されているアーティストです。昨年リリースしたデビューシングル「Effy Stonem」がTikTokでバイラルヒットとなり、Loremなどに入ったりと、活動を始めてすぐに頭角を現していました。
幼い頃からMichael Jackson,やKanye West、Foo Fightersなどを聴いて育ち、ビジュアルなどにも影響受けたそうです。そのあとは自発的に Tyler, The Creatorや BROCKHAMPTON、Frank Oceanにとても影響を受けたそうで、そこからGarageBandで楽曲を制作していったとのこと。
やはり彼の音楽を聴くと近年のベッドルーム・ポップ・シーンと共振するような、前述したDominic Fike〜DijonやOmar Apolloのようなサウンドで、そこにKing Krule〜BakarといったUK土着の独自のエッセンスを加えた、彼にしか奏でることのできないような独創的な音楽に仕上げています。ヒップホップからインディー・ロック的な多彩なローファイ・ビートに、メロウなギターが重なり合い、特に彼の気怠げで渋い歌声がアクセントとなって、独特な空気感を放っています。とにかくやばいです。


Viji

ロンドン拠点に活動するSSW 、Vijiが新作EP『Cali』をDirty Hitからリリース。beabadoobeeみたいに2020年からEPを出しまくっている彼女ですが、今作がいままで1番洗練されたギター・ポップ・サウンドで最高でしたね。
The Strokesからの影響を受けて楽曲制作をしたとも語る「Mercy」を含めて、インディー・ロックやインディー・ポップを基調としつつも、00年代のエモ〜ポップ・パンク的なサウンドや、Teenage Fanclubを彷彿とさせるパワー・ポップ〜グランジのエッセンスを加え、楽曲によって見えてくる色が異なってくる、飽きさせない作品に仕上げています。
今作で彼女の片鱗がだんだんと浮き彫りになってきた気がして、今後Dirty Hitの中でも頭角をどんどん露わにしていくのではとめちゃくちゃ期待しています。


Nemahsis

トロント拠点に活動するSSW、Nemah Hasanによるプロジェクト、NemahsisがデビューEP『eleven achers』をリリース。彼女はファッションや美容、そして歌を通してTikTokで人気を博して、世界的にも注目されているアーティストで、なんとデビューシングル「what if i took it off for you?」はMustafaとの共作…。もうそれだけでゴクリと喉が鳴りそうですが、それだけ彼女の実力がお墨付きということもわかるかと思います。今作では収録曲の「i'm not gonna kill you」でMatt Malteseが関わっています。
彼女の流麗で艶やかな美声が映えるようなサウンドで構成されていて、基本的にオーガニックでミニマルな音楽に仕上げています。インディー・フォークともとれるようなアコースティックの温もりと、ソウルやアンビエントを織り交ぜたサウンドで、どの曲をとっても磨き抜かれたクオリティーの高いものばかり。天賦の才を持ったそのソウルフルでシルキーな歌声は、心が洗われるようで、一度聴けばその魅力に取り込まれるはずです。


Elanor Moss

UKのリーズを拠点に活動するアーティスト、Elanor Mossが新作EP『Citrus』をリリース。彼女は現在Benjamin Francis Leftwichのツアーに同行しているとのことで、注目を集めています。
70年代のアシッド・フォークやアメリカーナからインスピレーションを受けた彼女の音楽は、そういった土臭さや牧歌的な面もありつつ、洗練された美しいサウンドスケープで描かれ、そこに優雅で夢見心地な美声が絡み合う極上の音像に仕上げています。Angel OlsenからAdrianne Lenkerに通ずるようなしっかりと世界観が確立されているシンガー・ソングライターだと感じます。


Hot Flash Heat Wave

サンフランシスコの3人組バンド、Hot Flash Heat Waveが新作アルバム『Sportswear』をリリース。2017年以来のアルバムでかなり久々ですね。彼らはBanes WorldやInner Waveが出てきた辺りで注目されたバンドの一つで、煌びやかでメロウなサイケポップサウンドが最高で、ストリーミングサービスでもめちゃくちゃ再生されている印象があります。
ビジュアルもとてもカラフルで色鮮やかなのも彼らのアイデンティティーですが、音楽もカレイドスコープのように色とりどりで華やかなサウンドに仕上げています。ドリーム・ポップやサイケデリック・ロック、チル・ウェイヴ、トリップ・ホップ、Vaporwaveなどさまざまな要素が重なり合い、幻想的な世界観を作り上げています。


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