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Denitia, Alex Amor...今週のおすすめ 5 Best Songs:2022-42

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

ポッドキャストも始めているのでぜひのぞいてみてください〜

Spotifyのプレイリストも更新しています〜

Denitia

NY拠点に活動するシンガー・ソングライター、Denitiaが新作アルバム『Highats』をリリース。今作は共同プロデュースにBrittany HowardやJose Jamesなどでギターを務めるBrad Allen Williamsを招いているそうです。彼女はこれまでR&Bやソウル系(インディーR&Bの要素が多い)の楽曲を発表していたのですが、今作では自身のキャリアでは初となるフォーク/カントリー調の作品に仕上がっています。もともと彼女の音楽的なルーツをはアメリカーナ的なサウンドとのことで、そのルーツに立ち返ったアルバムになっています。
温かみのあるアコースティック・ギターのストロークに、伸びやかで優美な彼女の歌声が合わさることで、ゆったりと穏やかな気持ちになる音楽を奏でています。スティールギターやバンジョー、マンドリンなどさまざまな楽器の音も絡み合い、アメリカ特有の広大なトウモロコシ畑がゆらゆらと揺れる夕暮れ時を想起させるようなもの。秋の季節、ノスタルジアで感傷的な気持ちに浸る時にもってこいの最高の音楽です。


Alex Amor

グラスゴー出身のシンガー・ソングライター、Alex Amorが新作EP『The Art Of Letting Go』をCarmodyやConor Albertらが所属する〈Young Poet〉からリリース。客演にはマンチェスターのThe Deep Blueが参加しています。
Blood OrangeやHAIM、Porches、Men I Trustなどから影響を受けたというのも納得のサウンドで、ドリーム・ポップとオルト・ポップの境目を縫うようなカラフルで夢見心地な音楽に仕上がっています。シルキーで流麗な彼女の美声はとろけるように甘くも、時折みせるミスティーで神秘のベールに包まれたようなボーカリゼーションはとても美しいです。やはり印象的な部分は耳に残るポップなメロディーでありながら、幽玄なムードもまとっているところですね。


Cloth

こちらもグラスゴー拠点に活動するもともと3人組でしたが、現在は2人組のバンド、Cloth が新作EP『Low Sun』をリリース。2019年にデビューアルバムを発表していて、その少し前のタイミングのThe Great Escapeの時に彼らのライブを見ることができました。その時のステージは教会内で行われていて、その荘厳で味わい深い雰囲気にぴったりの音楽で最高でした。
そんな彼らの音楽性ですが、シューゲイザーやポスト・ロック、エレクトロニカ、アンビエントなどの電子音楽を織り交ぜた、ミニマルだけど空間に広がりを持つ美しいもの。たゆたうようで芯はしっかりとしたウィスパー・ヴォイスも魅力的で、それが重なり合うことでひんやりとメランコリックな音楽に仕上がっています。DaughterやLucy Rose好きにはたまらないバンドかと思います。


Cathy Jain

マンチェスターのサルフォード出身のシンガー・ソングライター、Cathy Jainが2作目となるEP『spacegirl』を〈YALA! Records〉からリリース。前作から世界のメディアで話題となったアーティストですね。
今作は彼女らしいポップさもありつつも、煌びやかさやキャッチーさが増して、より聴き応えありまくな作品でした。サイケやシンセポップ、インディー・サーフなどをいい塩梅で折り重ねたインディー・ポップ風味なサウンドが特に最高。独特の浮遊感が2000年後半から2010年代にかけてのインディーさが滲み出ていていいですね。


Emma Beko

ペルーをルーツに持つモントリオール拠点に活動するラッパー、Emma Bekoが新作EP『Superficial Stains』をリリース。幼少期のころは兄弟の影響でニューメタルやハードコアパンクを聴いていたようで、グランジやエモなどもよく聴いていたそう。そのインスピレーションもあってか、全体的にトラックはダークでメランコリックなムードが漂っています。リリックに関しても自身の不安に真っ向から向き合ったもので、内省的で感情揺さぶるものになっており、そこはハードコアやエモの系譜を感じますね。しかしその系譜を感じさせつつも、彼女の作り上げる音楽は、エモラップとは一線を画す、ニュースタイルなラップです。その他にもVegynやFKA Twigsにも影響を受けているようで、トラックの繊細で綿密な部分や、ダウナーなボーカルの感じも通ずるところがありますね。とにかくめっちゃかっこいいです。

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