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Arima Ederra, Ev Bird...今週のおすすめ 5 Best Songs:2022-41

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

ポッドキャストも始めているのでぜひのぞいてみてください〜

Spotifyのプレイリストも更新しています〜

Arima Ederra

エチオピアにルーツを持ち、LA拠点に活動するシンガー・ソングライター、Arima Ederraがデビューアルバム『A Orange Colored Day』をリリース。当時の音源は消えてしまっておりますが、彼女は2016年頃からさまざまなメディアに注目されつつ地道に活動してきたアーティストです。今作はプロデューサーにAnna Wiseとも親しいJon Bapや、Teo Haimなどを招いています。
今作は全体的にトラックの作りがジャズやR&B/ソウル、ゴスペル、ラテンビートやレゲエ、ダブなどそれぞれの要素を組み合わせた、とてもアブストラクトなものに仕上がっています。そこに軽快でイノセントな歌声が交わり、親しみのある穏やかな音楽性にまとめ上げていますね。彼女のArloParksのような無垢だけど、深みもありつつも優美という、独特なボーカルには一瞬にしてやられてしまいましたね…。keiyaAやLiv.e、Nick Hakim、Tirzahあたりが好きな方には刺さる音楽かと思います。もしArima Ederraが気になった方は、ここに最新のインタビューが載っているのでぜひ覗いていみてください。


Ev Bird

カナダ・モントリオール拠点に活動するアーティスト、Ev BirdがデビューEP『Puff Piece』をリリース。全て彼自らミックスやマスタリング、プロデュースまで手がけています。今作は過去にはHOMESHAKE、現在はMETZやWild Pink、Alvvaysなどをリリースしているカナダのインディペンデントレーベル〈Royal Mountain Records〉からのリリースとなります。ちなみに作品にはデトロイトのラッパー、Boldy Jamesが「The Ring」で参加しています。
これがデビューEPなのかと驚くぐらいクオリティーの高いもので、彼の自由な発想が存分に詰め込まれた作品になっていますね。インディーやR&B、ジャズ、ヒップホップなどをトイポップのようにまとめ上げ、脱力感あふれるメロウなサウンドを奏でています。そこに彼の甘美でとろけるようなファルセット・ヴォイスがまたこのサウンドに合うんですよね。
Mac DeMarcoやHOMESHAKE、Mild High Clubのインディー系のものから、近年のベッドルーム・ポップ系のStill Woozyやeasy lifeまでを包括したようなカラフルでゆる〜い作品で最高です。


Contour

2020年の個人的なベストEPにもセレクトしたサウスカロライナ拠点に活動するシンガー・ソングライターKhari Lucasによるプロジェクト、Contourが待望のデビューアルバム『Onwards!』をUKの新鋭レーベル〈Touching Bass〉からリリース。作品にはシカゴを拠点とするラッパー/プロデューサーのSemiratruthが「Repossess」で参加。今作は彼の過去から現代までのブラックアートの旅を描いた12曲が詰め込まれているそう。彼は先ほど名前をあげたkeiyaAのライブのOPを務めたり、ロンドンのNTS Radioへの出演(これがTouching Bassから出したきっかけ)など多方面で活躍しています。
彼は今までもコラボ作や、自身のシングルやEPを通して刺激的な音楽を発表し続けてきており、今作はそんな歩んできた音楽の集大成的な傑作であると感じました。全曲が磨き抜かれた純度の高いサウンドで、R&B/ソウルそしてジャズ、アンビエントやIDMなどを織り交ぜた実験性に満ちたもの。彼のメランコリックでシルキーなボーカルがまた表現豊かで、ダークで幽玄な音楽性へと昇華しています。ぜひアルバム全曲を聴いてみてください。彼の途轍もない才能に触れることができるかと思います。


haer

NYのブルックリンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、haerがデビューEP『Why It Ruled』をリリース。プロデューサーにはJae Lunaなどを招いています。アジアをルーツに持つ彼女ですが、Spotifyを見るとタイやシンガポール、台湾などでも人気っぽいですね。デビューシングルあたりから応援していて正直ネットで調べても全く情報はないのですが、めちゃくちゃフォロワー数を伸ばしていっています。
その所以として淡く煌びやかなサウンドがとても親しみやすく、清らかだけどレイジーな美声がとても印象的です。音楽性はインディー・ロックやグランジなどに、UKガラージといったエレクトロニックサウンドなどをミックスしたベッドルーム・ポップ系のサウンドに仕上がっています。彼女の気怠げで甘美な歌声も特徴的で、Deb NeverからLava La Rueあたりが好きな人におすすめしたいです。


Danny Dwyer

ミズーリ州出身で現在はLA拠点に活動するベッドルームポップ・アーティスト、Danny DwyerがデビューダブルEP『Losers』をリリース。彼はベッドルーム・ポップ・シーンが形成された初期から頭角を表してきたようなアーティストで、2017年のデビューシングルあたりは見かけたことある人もいるかと、そのほかBilly Lemosの2020年の『Wonder』に客演で参加もしています。
そんな彼の待望のデビューEPですが、解放された若者のエモーショナルさを描いているとのことで、若さ特有の儚さや青春の淡さを詰め込んだようなムードが全体的に漂っています。インディー・ロックやインディー・ポップをベースとしつつ、R&Bやヒップホップ、ダンスミュージック、マッドチェスターなどをジャンルを横断したエッセンスを混ぜ合わせ、多幸感あふれる鮮やかなポップサウンドに仕上げています。
個人的にはGus Dappertonみたいな、初期はとてもナードだけど、途中からハイセンスでスタイリッシュな姿に変化していったイメージが、Dannyにもあって、やはりその自身の変化について今作に落とし込まれているのかなとも思いました。デビューシングルのMVと今のMVを見比べてみてください。

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