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Jeshi, HAAi...今週のおすすめ 5best Songs:2022-22 | abstract pop

今週は個人的にも伝説であり大好きなLiamの新譜が出ましたね。正直彼の全盛期の片鱗も感じられるような「あのLiamが戻ってきた!」という仕上がりを見せていて目頭が熱くなりました。

その他にも去年の個人的なベストEPにも選んだサウスロンドンのマルチ奏者/SSWのQuinn Oultonがデビューアルバムをリリースしていました。Moses Boydも参加していて彼の作品は毎回彼のロンドンでの関係性を垣間見れるような感じになっています。
渋く滑らかな美声ととろけるようなジャジーなサウンドが最高でした。Jordan Rakeiのようで今後も楽しみです。

それでは今週の個人的なおすすめ新人アーティストを紹介していきます。
「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotify更新しています〜

Jeshi

イーストロンドン拠点に活動するアーティスト/ラッパー、Jeshiがデビューアルバム『Universal Credit』をリリース。客演にはObongjayarや、実の兄弟でもあるFredeaveを招いています。ロンドンの貧困地区で育った彼は、そこでのイギリスが現在置かれている現実や不平等、緊縮財政の中での生活やソーシャルメディアによって侵食される自己価値などを作品の中で表現しているとのこと。ちなみにタイトルの"Universal Credit"は、イギリスの低所得層向けの給付制度のことを指しています。今作のジャケットが、作品制作中に仕事を解雇されて、その際に彼が実際に"Universal Credit"を受け取ったときのものを表しているそうです。。
音楽的には、UKガラージ的なダンサブルなビートから、現代的な硬質なトラップビート、陶酔的なトラックまで幅広く今作で詰め込んでおり、そこに彼のアンニュイでクールなラップが乗る最高な作品に仕上げています。UKのグライムと、USラップのちょうど中間を縫うような、Jeshiの独特なフロウは、UKの中でも群を抜いており、唯一無二の存在だと感じます。


HAAi

オーストラリア出身で現在はロンドンを拠点に活動するDJ /プロデューサー、HAAiがデビューアルバム『Baby, We’re Ascending』をリリース。今作では、Jon HopkinsやHot ChipのAlexis Taylorなど豪華な布陣を迎えています。彼女自身、既にキャリアのあるアーティストで、先日Fred again..とThe xxのRomyとタッグを組んだシングル「Lights Out」を発表していたり、以前Romyのソロのリミックス作やThe Horrosのリミックス作品にも参加していたりと、既にその才能を開花させています。
今作はかなり音楽的にもエキセントリックな作風に仕上げており、テクノやハウス、ドラムンベース、ダウンテンポ、エレクトロポップなどを組み合わせた、彼女なりの多彩な電子音楽を作り出しています。インダストリアルを織り交ぜた硬質で近未来的なムードを感じさせるダンスビートが非常に陰鬱な雰囲気を醸し出しつつも、一貫して多幸感も感じさせる音楽に仕上げているのも本当に素晴らしいです。1曲1曲の落差がすざましく、まるでジェットコースターのようであっという間に1時間経ってしまいます。個人的には"ディストピアの中にある幸福"というような不思議な感覚を覚える作品でした。


700 Bliss

フィラデルフィアを拠点に活動する、DJ /プロデューサーのDJ Haramと、Black Quantum Futurismのメンバーとして活躍するMoor Motherによるデュオ、700 Blissがデビュー作を〈Hyperdub〉よりリリース。作品にはLafawndahやOrion Sunなどもフィーチャリングで参加。
作品は自由な発想と実験的な追求を兼ね備えたスリリングな仕上がりとなっていました。クラブミュージックやアブストラクト・ヒップホップの間を縫うようで、アフリカ系の民族音楽の要素、パンクやハードコア的なアプローチ、ジャズ、ノイズなども混ぜ合わせ、自由度の高い音楽性を奏でています。しかしさまざまなエッセンスが入って散乱している感じもなく、しっかり彼らなりの統一された、オリジナル性の高い芯の通った音楽を奏でているのが素晴らしいです。全曲ヒリヒリするようなドープなサウンドで、フジロックの深夜枠で踊り明かしたい感じもありますね。


Boyish

NY・ブルックリンを拠点に活動するIndia ShoreとClaire Altendahlによるデュオ、Boyishが新作EP『My Friend Mica』をリリース。今作は、大人になる過程での難しい時期に、自分たちの拠り所となった人たちに捧げられたものとのこと。
全体的に煌びやかなインディー・ポップサウンドと、甘美でとろけるような歌声が重なり合った作品にに仕上げています。ドリーミーで清涼感漂うメロディーは淡い青春群像劇のようで、そのシネマティックな音像が彼らの魅力です。囁くような独特なボーカリゼーションも美しく、より楽曲をロマンティックにしていますね。


USNA

リーズ拠点に活動するベッドルーム・ポップ・アーティスト、USNAがデビューEP『HELL YEAH』をリリース。彼はBROCKHAMPTONやJay-Z、Pharrell Williams、Billie Eilishなどから影響を受けているとのこと。BBC Radio 1の「introducing track of the week」を獲得したりと注目されつつあるアーティストです。
彼の作り出す音楽は、インディー・ロックやエレクトロポップ、ヒップホップなどを織り交ぜたベッドルーム・ポップサウンドを特徴としています。1曲目からBROCKHAMPTONから影響を受けているのも納得でもありつつ、Dominc FikeやJean Dawsonの片鱗も感じる、パンキッシュなサウンド作りやラップのフロウなどが最高です。でも3曲目の「LIKE IT LIKE THAT」や4曲目の「BOO」はUKのダンスミュージックの系譜やストレンジな感じも要素としてしっかりと入っており、その折衷するソングライティングセンスと、中毒性が半端ないです。今後の活動も楽しみであり要注目なアーティストです。



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