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Ray Laurél, TOLEDO...今週のおすすめ 5 best Songs:2022-39

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

ポッドキャストも始めているのでぜひのぞいてみてください〜

Spotifyのプレイリストも更新しています〜

Ray Laurél

個人的にベッドルーム・ポップは本当に大好きで、boylifeのアルバムで一旦そのムーブメントが落ち着いたと思っていますが、僕は常に世界中のどこかにまだ最高なベッドルーム・ポップが存在すると思ってディグり続けています。まだまだそのアーティストは増え続け、今年も素晴らしいアーティストに出逢い続けています。
そして今回紹介するロンドンのシンガー・ソングライター/プロデューサーのRay Laurélもその1人。一言でやばいです。今年の4月にデビューシングル出すや否や、速攻でベッドルーム・ポップ・シーンに食い込んできた逸材です。そんなRay LaurélのデビューEP『MANIC PIXIE DREAM BOY』をリリース。インドににルーツを持ち、クィアでもあるRayは、そんな自身が南アジア系のクィアとして生きてきた悩みや苦痛、そして開放、セルフラブを表現した作品になっています。EPにはドラマ『Euphoria』の登場人物"Jules"に捧げ、役者の名前をそのまま取った「HUNTER SCHAFER」が収録。
Rayの音楽の原体験はJames Blake、Sampha、Jai Paulがベースとなっており、特にJai Paulはルーツのインドが同じということと、革新的な音楽を打ち出したことに感銘を受けたとのことで一番尊敬していると語っています。そのほか17歳のときに出会ったBon IverとJoni Mitchellが衝撃的で、そこからギターを手に持ち、ソングライティングにも影響を与えたそう。
たしかにRayの作り上げる音楽からは、その両者のJai Paul的なエレクトロニックミュージックの荘厳さと革新的な部分、Bon Iverのギターサウンドとシンプルな歌メロを持ち合わせていると感じます。アコースティック・ギターの弾き語りをベースに、さまざまな電子音を組み合わせ、そこにRayの優美で独特なボーカリゼーションを効かせた歌声が重なり合う、とても心地良い音楽に仕上げています。本当にシンプルに弾き語りだけでも最高なんですが、そこにボーカルのピッチシフトを取り入れたり、趣向を凝らした電子音を加えたりして独創的な音楽を作り上げていますね。
僕個人的にはboylifeに継ぐ、天才的なアーティストだと感じました。これは事件ですね。


TOLEDO

NY・ブルックリン拠点に活動するインディー・ポップ・デュオ、TOLEDOがデビューアルバム『How It Ends』をJordanaやHovvdyなどが所属するレーベル〈Grand Jury Music〉からリリース。またRunnnerのライブのオープニングアクトを務めていたりしました。
幼馴染の2人、Dan Álvarez de ToledoとJordan Dunn-Pilzによって結成したTOLEDOの奏でる音楽は、瑞々しくもドリーミー、そして牧歌的なフォーキーさも感じるサウンドに、彼らのとろけるような甘美な歌声が溶け合い、ノスタルジアを感じさせる仕上がりとなっています。両親の影響でFleetwood MacやLed Zeppelinなどを聴いて育ったそうで、その後ソングライティングに影響を与えたのはFeistやMac DeMarcoとのこと。やはりそれもあり、70年代のフォークからロックを基盤にしつつ、現代的なUSインディーやインディーロックを織り交ぜて、アルバムのジャケットのような淡く煌めく夏のひと時を感じる、秋の訪れを感じるこの季節にはぴったりです。レーベルメイトでもあるHovvdy的な感じもありますよね。


Dutchie

UKのブリストル拠点に活動するDJ/プロデューサー/SSW、Dutchieが新作EP『Saint Planet』をリリース。BonoboやDJ Shadowから強く影響を受けた彼女。その他にもジャングルやダブステップなどでも知られているBoxcutterやAphroditeにもとてもインスピレーションを受けているとのこと。
そんな彼女の作り上げる音楽は、ジャズやブルース、R&B、エレクトロニックミュージックを織り交ぜつつ、そこにダブなどの深みのあるビートを合わせることで、ダークで荘厳なサウンドとなっています。サックスやトランペットといった管楽器も加えており、より鮮やかで彩のある洗練された音楽に仕上げています。また彼女の少し気怠げでシルキーな歌声が素晴らしいです。やはり全体的にブリストルだな〜と感じるこのメランコリックで渋いムードがあっていいですね。


Couch Prints

NY拠点に活動するJayanna RobertsとBrandon Tongによるシンセポップ・デュオ、Couch Printsが新作EP『Waterfall』をリリース。ドリーム・ポップやチルウェイヴ、インディー・ポップ、近年のエレクトロニックミュージックを通過した印象を受けるスタイリッシュなサウンドを奏でる彼ら。正直最近のバンド系の中でも一味違い、一線を画すような世界観を放っています。
2人それぞれ影響を受けた音楽は、The Carpentersから始まり、80年代のシンセポップであったり、90年代のMazzy Starsなど、そして近年のエレクトロニックミュージックのスウェーデンのThe Knifeなどにも影響を受けているらしいです。やはりその幅広さが物語っているように、Men I Trustばりに磨き抜かれた浮遊感のあるインディーサウンドに、OPNのような退廃的な電子音を重ね合わせ、そこに乗るボーカルのたゆたうような淡いウィスパー・ヴォイスがとても印象的です。


Tapir!

サウスロンドン拠点に活動する5人組の奇妙なバンド、Tapir!がデビューEP『Act 1 (The Pilgrim)』をリリース。このアー写の赤い被り物をして実際にライブもやるとのことで、普通に怖いですよね(笑)。でもそんな印象とは真逆の音楽で、フォークやブルースのルーツを感じるような、のびのびとしたUSインディーのようなサウンドを奏でています。ちなみに今回のEPを含めたフルアルバムを2023年の頭に発表予定となっているとのことです。
主にアコースティックの温かみのあるサウンドをベースに、ピアノやエレキギターの爽やかなサウンド、ドラムマシーンなどの少しチープでストレンジな電子音も絡み合い、実験的な部分も感じさせる音楽性に仕上がっています。Black Country, New Roadのような不思議な空気感に、Bibioような爽快な風を吹かせたようなおもしろバンドですね。今後の動向が個人的にとても楽しみです。

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