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Bawo, Bug Teeth...今週のおすすめ 5 Best Songs:2023-4

今週も新人の新譜から厳選して5組のアーティストを紹介します。音楽ブログ「abstract pop」の「5 Best Songs」の企画では、国内の音楽メディアでは紹介されないような、海外の新進気鋭なアーティストを毎週紹介していきます。過去に紹介したアーティストは下記にまとめてあります。

Spotifyのプレイリストも更新してます〜

Bawo

ウェストロンドン出身のUKのグライムシーン期待の新人アーティスト、Bawoが新作EP『Legitimate Cause』をリリース。彼は今ではUK屈指のラッパーKnucksの昨年のツアーの前座を務め、またあのKojey RadicalもThe Great Escapeのイベントに彼を招き入れるなど、お墨付き感が強い、今後見逃すことのできないアーティストです。そして2022年のベストEPにも入れたLouis CultureのEPにも客演でも参加していました。
彼の最大の魅力は、低体温ながらもその中に密かな熱を帯びさせたメロディアスなラップです。そのクールで味わい深いフロウは唯一無二で、さらにポップなメロディーラインの歌唱まで担ってしまう幅広さにも驚いてしまいます。テクノやUKガラージなどのUK独特のダンスビートや808のトラップなど、さまざまなリズムを駆使したバウンシーなトラックから、ゴスペルやソウルなどを取り入れたしっとりとした幽玄な楽曲まで、そこのレンジの広さも最高です。(ちなみに「Not Just Yet」のMVは日本で撮影したそう。)


Bug Teeth

UKのリーズを拠点に活動するPJ Johnsonを中心としたバンド、Bug Teethが新作EP『Lucky me, Lucky mud』をリリース。PJは14歳の時辺りからGarageBandで独学で音楽を制作し始めて、2018年ごろからBandcampで楽曲を発表。同年10月にデビューEP『When All the World Has Gone to Bed 』をリリースして、各所から注目を集め始めて、ライブへの依頼やBBCで紹介されるように。そこから人脈が広がっていって、現在のバンドメンバーが集まり、今作をリーズにある自宅の地下室で1年以上かけて制作したそうです。
音楽的なバックグラウンドの広さが計りし得ないほど、豊かな土壌で作り上げていったことが目に見えてわかる作品に仕上がっています。冷ややかでダークなムードが漂いつつも、夢見心地のような優雅でキラキラしたサウンドが縫い合わさった、とても独創的なサウンドを奏でていますね。
例えると挙げ切れないですが、The Pastelsから脈々と受け継がれているグラスゴー的なローファイやインディー・ポップのテイストや、Yo La TengoのようなUSインディー、Sonic Youthの冷徹なオルタナさ、Cocteau Twinsのようなドリーム・ポップの煌びやかさなど。尋常じゃないほどのリファレンスがBug Teethの音像からは感じ取ることができますが、既に"Bug Teeth"という揺るぎないジャンルを確立していますね。これはとんでもないバンドがまたUKから出てきたのではないでしょうか?


Musa

アーティスト/プロデューサー、Musaがデビューアルバム『111』をリリース。正直どこ拠点とかは調べても全くわからなかったのですが、客演にgabby startやtorr、soupandreasが参加しつつ、共同プロデュースとしても参加しています。ちなみに全曲Musaのセルフプロデュースとなります。
全曲がセンスの塊と言いますか、brakenceとも少し近しい研ぎ澄まされた感性を持ち合わせたアーティストです。インディーやエモ、ポップ・パンクなどのギターを淡く儚げなエディットに仕上げ、そこにdigicoreやグリッチ、インダストリアルなどのエレクトロニック・サウンドを組み合わせた音楽性に。叙情的でエモーショナルなボーカルが歌い上げる、メロディアスでポップなラインもめちゃくちゃパンチがあって素晴らしいです。客演に参加しているアーティストの時点で間違いないのですが、aldnやpatchymate周辺好きな人にはばっちりと突き刺さるかと思います。


purpl

UKのブリストル拠点に活動するアーティスト、purplが新作EP『Freezing』をリリース。彼女は今作がBBC Introducingの"Record Of The Week"に選出されるなど、徐々に注目を集めつつあるアーティストです。
ベーシックはオルト・ポップやベッドルーム・ポップ的なサウンドを軸に、陶酔的で妖艶なR&Bや、シュワシュワとはじけるような淡いエレクトロ・ポップの音像をブレンドさせた音楽性を作り上げています。眩く煌びやかなムードに、儚く甘美な歌声が重なり合うことで、まるで夜空に羽ばたく幻想的な蝶のよう。Sci-Fiな雰囲気もありつつ、キャッチーなメロディーでリスナーの心を鷲掴みにしてくる才気あふれるアーティストだと思います。


Rosie H Sullivan

エディンバラを拠点に活動するシンガー・ソングライター、Rosie H SullivanがデビューEP『123° East』をリリース。もともとイギリスの北西部に位置するルイス島にずっと住んでいたそうですが、2020年に家族で引っ越しがありエディンバラに移り住んだそう。そのときの思春期を過ごした思い出のルイス島との別れや決別を込めた内省的な作品になったそう。
アコースティック・ギターの物憂げだけど少し希望にも満ち溢れたアルペジオと、幽玄なアンビエントサウンドが散りばめられた、牧歌的で優美な作品に仕上がっています。彼女のクールだけど太陽のような温もりのある美声が加わることで、より穏やかで安らぎを与えてくれるよう。Lucy RoseやLaura MarlingといったUK独特のフォークミュージックに追随するような才気あふれる方ですね。

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